青少年問題特別委員会

(2005年3月15日)

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南野国務大臣に対する一般質疑



○水島委員
 民主党の水島広子でございます。
 きょうは、本会議を挟みまして午前と午後とに二分割されておりますけれども、専ら南野大臣に質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 南野大臣、この青少年担当の大臣になられてかなり日がたつわけですけれども、きょう、こうして初めて質問をこの委員会でさせていただくことになりまして、今国会はぜひ、足しげくこの委員会に足をお運びいただきまして、この青少年のことについてしっかりと審議をしていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、ちょっと時のテーマでございます中西一善自民党の衆議院議員の強制わいせつ事件について、冒頭に大臣のコメントをいただきたいと思うんです。
 性犯罪というのは、政治的に現在大きなテーマとなっておりまして、今国会でも大臣は、法務大臣として法案の審議にも当たることになっているわけでございます。
そんな中このような事件が起こったということも大問題ですけれども、私がきょう問題にしたいのは、それに対するいろいろな方たちの反応の中にも問題を感じるものがあるということでございます。
 酒の勢いというふうに同情するような声が主に男性から上がっているというふうにも聞きますけれども、例えば三月十一日の朝日新聞を見ますと、石原慎太郎都知事は、「お酒の飲み方を知らないんだね。
飲み過ぎたんだよ。
」というふうに発言をしています。
 ここに決定的に欠けているのは、やはり被害者側の視点だと思うんです。
道に立っていたら突然性犯罪の被害者になった、それは長期にわたって心の傷を残し得る。
これは大臣も女性であるのでおわかりいただけると思うんですけれども、このような性犯罪、これは明らかな性犯罪ですが、これを文化の一部のようにしてお酒の勢いとして許容しようとするような姿勢や、また被害者側の受けとめとの温度差というものが今まで性犯罪を生んできた温床ではないかと私は思っております。
また、これだけ注目される事件ということになりますと、子供たちに与える影響というのも無視できないわけでございます。
 こういう点も踏まえまして、今回の事件の位置づけを青少年担当大臣といたしまして総括をしていただいて、子供たちにメッセージを発していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○南野国務大臣
 本当に、性犯罪、被害者の人権を踏みにじるようなものであり、決して許されるものではないと思っております。
その点、先生のお考えと同感であります。
また、お酒をたしなむ上では、お酒の勢いでという話もありましたが、やはり他人に迷惑をかけるというのはいけない行為であります。
お酒に飲まれてはいけないということであり、ちゃんと節度を持つというものも、人間であれば、大人であれば考えていかなければならないことだろう、そのように思っております。
 私の立場としての見解ということでございます。
 青少年の問題は大人社会の問題の反映であるということを踏まえまして、大人は、青少年の健全な育成を図る上で望ましいものとなるよう、絶えず自分自身の生き方や大人社会のあり方について見直していく必要があるだろうというふうに思っております。
 私たち大人一人一人が青少年のよい見本となるように努力しなければならない、我々の歩き方が子供にとって後ろ姿を見せているというような形になるのではないかな、一人一人が健全に歩いていかなければいけない課題であろう、男性も女性も同じであると思っております。

○水島委員
 ぜひ、これから青少年に関する施策を講じられる上では、今の視点を本当に大切にしていただきたいと思うんです。
 私も、以前からこの委員会におきましても、子供たちにとって重要なのは一貫性だということを訴えてきたわけでございます。
大人社会から一貫性のない気まぐれなメッセージを受け取るということは、子供たちを混乱させることになりますし、それがひいては子供たちの倫理観や規範意識を養っていく上でも問題となるわけです。
片方ではこれはいけないことと言いながら、自分の仲間のことになるとそれをひいき目で見てしまったりと、そういう大人の一貫性のなさというものについては子供たちはしっかりと見ております。
 今回の事件につきましても、被害者側の視点というものをきちんと、常に、バランスをそこで欠くことがないように、きちんと被害者側がどんな目に遭ったのかということを忘れられないように、このようにお酒の勢いといって許容するような発言が出ましたときには、しっかりと、南野大臣としましても、そのような発言はちょっと被害者側の視点を欠くのではないか、そのようなことを必ず申し添えていただきたいと思っておりますけれども、よろしいでしょうか。

○南野国務大臣
 大変難しい課題といいますのは、いろいろなところで起こっているところに、すべてに対応というのはなかなか難しい問題であろうかと思っておりますので、私のスタンスは変えないで生きていこうということで御了解いただきたいと思います。

○水島委員
 もちろん、すべての人がいろいろなところで発言していることに対して抗議をしろと言っているわけではなくて、少なくとも南野大臣の目の前でそのような発言がなされたときにはきちんと対応していただきたいということでございますので、今深くうなずいていらっしゃいますのでお約束いただけたと思います。
よろしくお願いいたします。
 さて、民主党では、子ども家庭省を設置することをマニフェストに掲げております。
子供についての政策や家族政策に包括的に取り組むための省庁として提案をしているわけでございますけれども、これは縦割り行政から子供を守るために必要だと思って考えさせていただいております。
 この子ども家庭省を設置することの必要性について、まず大臣の御意見を伺いたいと思います。

○南野国務大臣
 我が国の将来について、子供たちを立派な大人に育てていくというような観点からは、健康の確保だとか教育の充実、就業の支援、非行対策などさまざまな分野の施策について、まさに省庁を挙げて取り組む必要があるというふうに思っております。
 このために、全閣僚が参加する青少年育成推進本部、また少子化社会対策会議におきまして、青少年育成施策大綱や少子化社会対策大綱を推進し、関係行政機関の各種施策の調整を図っているものでもございます。
 子ども家庭省を設立するという先生の御提案がございましたが、私といたしましては、青少年育成及び少子化対策を担当する特命担当大臣として、このような仕組みも活用し、関係省庁の総合調整を図りながら、子育てや青少年の健全育成の総合的推進に今全力を注いでいるところでございます。
 先生のおっしゃっておられる家庭省の設置というようなことについて、現在、関係省庁のもとにある子供や家庭に関する諸施策を所管する部局を切り出して統合し、子供や家庭の問題に対する観点から新たな省を設けるということの御提案と思いますけれども、例えば、これらの諸施策を社会保障制度全体や教育制度全体の中でどのように位置づけていくのかといった調整の必要もあり、御提案がうまく機能するかどうかについては、私としては慎重に検討すべき問題と考えております。
 ノルウェーの子ども家庭省という図式を見させていただいておりますが、これにつきましても、私は、今内閣府の中で取りまとめてやっている課題と似ている、またはこの中身を今精いっぱいやらせていただいているというふうに理解したいと思っております。

○水島委員
 今、関係する省庁から子供の部分を切り出してというふうに大臣はおっしゃったのですが、ちょっとそれは答弁書をつくられた官僚の方がよく理解されていないのではないかなと思うのです。
 あくまでもそれぞれの、教育にしろ社会保障にしろ、もともとの役所の中に当然子供を担当する部署というのは残った上で、子ども家庭省というのがそれを統括するためにございまして、もともと原省との連携なくしてそんなものが進められるわけはございませんので、そんなとっぴなことを申し上げているわけではないのです。
 ぜひ、もう一度お持ち帰りいただいて、お勉強いただければと思うのですけれども、例えば、これは子供だけではなくて、男女平等担当大臣なんというのがいるようなところでも、あるいは韓国にできました女性部なんかもそうなんですが、本当に省庁そのものは非常にスリムな、スタッフだけを抱えていて、ただ、それが、例えばスウェーデンなんかですと男女平等の担当大臣というのはいるのですけれども、そのほかに各省庁に、例えば、私、この前、法務副大臣で男女平等担当の方というのにお会いしましたが、そうやって今度は、各省庁にきちんと連携する人を配置して、そして全体の行政のレベルを上げていくというふうにやっていきますので、日本で子ども家庭省をつくるときにも当然そういうスタイルになってくると思います。
 子供に関するところをほかの省庁から全部切り取って一カ所に集めようなどという、そんなことを考えているわけではございませんので、そこは御心配をいただかなくていいと思うのです。
 その上で、ちょっと前提をきちんとした上でもう一度伺いますが、大臣今おっしゃったように、青少年と少子化というのを担当されていますので、所管する範囲としては私たちが考えている子ども家庭大臣に近いと思います。
ですから、大臣は、今ある資源の中で何とかできるのじゃないかというふうにおっしゃっているわけですけれども、これは、本当に今の大臣のお立場で、子ども家庭省というものをきちんとつくらずに成果を上げられるというふうに今大臣は考えておられるというふうに考えてよろしいのでしょうか。

○南野国務大臣
 先生がおっしゃったように、それだけでというようなことではなく、今のこのあり方、このシステムの中におきましても、ちゃんと関連する大臣、閣僚とはしっかりと検討し、その各省庁がその必要な分野に応じてはちゃんと行動をともにし、施策をつくっているところでございますので、今これで十分やっていけるのではないかな、またシステムが変わります場合にはそのようなことを考えられてもいいのかなと思っておりますが、今精力を上げて今のシステムでやっていこうとしているところでございます。

○水島委員
 それでは、例えば二〇〇五年度の予算で、各省庁がどのような予算を子供のために組んでいるか把握をしていらっしゃるでしょうか。
そして、青少年と少子化を担当する大臣として、各省庁にその予算についての要望や注文というのは出しておられるのでしょうか。

○南野国務大臣
 その予算に関連してでございますが、平成十七年度の政府予算案における青少年関係予算及び少子化社会対策関係予算につきましては、各省庁の御協力のもと取りまとめ、関係省庁相互の情報の共有を図り、連携して取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
 昨年十月二十五日に私が主宰させていただいた青少年育成推進本部の副本部長会議におきましても、各省の概算要求を踏まえながら、主要課題である児童虐待、少年非行、若者の社会的自立について、関係大臣の間で情報、意見交換を行い、関係省庁が全力で取り組んでいくことを確認したというところでございます。
 また、事務レベルでは、青少年育成推進本部のもとに設けられた青少年育成推進課長会議等の場におきまして、概算要求やら予算案について情報交換を行い、予算の確保を含め、関係省庁が連携して着実な施策の推進に取り組んでいくことを確認したところでございます。
 また、各省庁におきましては、厳しい財政状況のもと、青少年育成と少子化対策の重要性にかんがみ、予算額の充実に尽力いただいたものと考えております。
 私といたしましては、青少年育成と少子化対策の重要性にかんがみ、さらに平成十八年度の概算要求におきましても、青少年育成施策大綱と少子化社会対策大綱をさらに推進するため、関係閣僚からもよく御意見を伺いながら、関係施策の充実に向けた予算の確保に努めたいと思っております。
 先生が幾らかとお話しになられましたので、青少年関係予算は、予算額が特定できるもののみを合計した総額でございますが、約四兆四千五百十七億円であり、対前年度約三千百九十五億円の減額とはなっておりますものの、一方、少子化社会対策関係予算は約一兆三千百二十五億円であり、前年度約六百八億円の増額となっております。

○水島委員
 今、大臣は、きちんと連携をしている、予算についても承知をしている、要望もしているという御答弁でございましたので、それがきちんと成果を上げられたかどうかというのを、またぜひ後日伺いたいと思っております。
 御承知のように、ノルウェーの子ども家庭大臣というのは、独自の予算を持つとともに、各省庁の子供関連の予算を掌握して、この省庁では子供に使っているお金が少な過ぎるとか、ここはもっとこういうふうに使うべきだというようなことを、かなり強力に注文をつけたりしているということでございます。
そのようにして、そのくらい強力に進めていかないと、実際には縦割り省庁をきちんと統合して包括的な取り組みをしていくということは難しい。
ただ単に内閣府に青少年担当の特命大臣を置いたからといって、この縦割り行政が打破できるわけではございません。
 これは実は、今までも南野大臣と同じ職に当たられた方たちが、私もこの委員会でずっと質問をしてきましたけれども、最終的には、これは厚生労働省だから、これは文部科学省だからという形で、結局なかなか打破してくることができなかったところでございますので、今、南野大臣がかなり自信を持ったお答えをしてくださいましたから、今回はでは期待をさせていただいてよろしいのかな、きょうのところはそのように伺っておきたいと思います。
 ぜひこれから、例えば幼稚園と保育園の問題など、そういうことも含めまして、ぜひ、縦割り行政、省庁のどこが担当だからということが言いわけとなって子供の視点が置き去りとされないように、その点については南野大臣が責任を持って省庁との連携を図っていただけるということでございますので、ぜひ、これからも個別のテーマについてまた伺ってまいりたいと思っております。
 そして、そのようにして包括してやっていくときには、当然、予算のチェックということも必要なんですけれども、やはり先ほども申しましたように一貫性というのがとても重要だと思っております。
 各省庁が全く逆方向を向いたような施策を考えているようでは、本当に子供の体は一つですから、子供は大変混乱した育ち方をしてしまうわけなんです。
大臣は、青少年育成と少子化対策を担当されているわけでございますけれども、この青少年育成、そして少子化対策というのは、私はこれにあえて児童虐待防止も含めさせていただきたいのですけれども、この三つはいずれも同じことを扱っているというような御認識を大臣はお持ちでしょうか。

○南野国務大臣
 当然持たせていただいております。

○水島委員
 それは大変心強い御答弁なんですが、何か、健全育成というと全く違う方向を向いてしまったり、虐待防止というとまた違う方向を向いてしまったりという政治家の方が多いように思いますけれども、結局、扱っているところは全く同じというところだと思います。
 今の社会は、もう皆さんも御承知のように、地域の子育て力というのが落ちておりまして、私はこれは、家庭の子育て力が落ちているんじゃなくて、地域の子育て力が落ちているから、その地域の中における家庭の子育ても難しくなっているんだと思っております。
例えば、そんな中では、テレビを長時間見ると暴力的になるという、これはかなり信頼できるデータもございますけれども、密室育児で、あるいは近くに頼れる大人がいなくて、親が忙し過ぎて、そして地域に家庭が開かれていなくて、そしてテレビの前に子供が放置されているというのは、これは一種のネグレクトと言ってよい状況だと思います。
そのような状況に置かれている子供が、現実には大変多くなっていると思います。
 地域においてどれだけいろいろな大人が子供にかかわれるかということが子育てにおいて一番重要なことだと私は考えておりますけれども、この地域の子育て力を高めるということが、実は子育て、また少子化、虐待防止、いずれにとっても重要であって、すべてに対する解決策ということになるわけでございますので、結局、その基盤は同じということだと思います。
このためには何が必要かというと、これは男女を問わず、大人がもっと自分の地域に帰れるようにしなければいけないということでございます。
 きょう、この部屋にいらっしゃる方も皆さん仕事が忙しい方ばかりですので、地域にどれだけ帰られているかというと、多分一番帰られていないんじゃないかなと、官僚の方も含めてそのように思いますけれども、つまり、そういう状況を変えていかなければいけないわけであるわけです。
いわゆるワーク・ライフ・バランス、つまり仕事と生活の調和というものをすべての人が図っていくということが重要であって、そこを突破することなくして子供たちだけ健康に育ってもらいましょうというのは、余りにも一貫性のない、手前勝手な希望だと思うわけです。
 このような目で各国のデータを見てみますと、男女共同参画と子供への支援の両輪、つまり、男女共同参画というのは、男性にとっても女性にとってもワーク・ライフ・バランスをきちんととっていくということを意味するわけですけれども、その男女共同参画と子供そのものへの支援というものの両輪を強力に進めてきた北欧のモデルというのが最も少子化抑制効果が高いということになっているわけです。
 南野大臣も、この少子化というものに取り組む上で、また青少年の育成、虐待防止、こういったところ全部考えていく上で、基本的には、男女共同参画と子供への支援を両輪で進めていく、このようなスタンスに立っておられるということでよろしいでしょうか。

○南野国務大臣
 ぜひそのようにお考えいただきたいと思っております。
 先ほど、保育園と幼稚園のお話も先生されました。
今のように、男女共同参画社会のあり方ということもお話しになられました。
先ほど佐藤先生の御質問にも答えさせていただいた中には、やはり切れ目のない社会的な環境づくり、応援というのが必要だ。
 そのために、昨年の十二月に、これは副本部長会議で決めたネーミングでありますが、私、厚生労働大臣といろいろと話をしながら決めたものの中に、テーマとして子ども・子育て応援プランという形で今展開していこうと思っています。
子供だけを育てるんじゃない、支援するんじゃない、子育ても支援していかなければいけないという形の中には、やはり大人が子供をどのように身近に感じてくれるかということであり、子供は親を選べないわけであります。
選ばれる親になっていただくために、どのような自分の身の振り方があるのか、子育てができるのかということも真剣に考えていただきたい。
子供、親とのきずなが一番大切な問題になるのではなかろうかな。
 子供さんの育っていく変化を確かめたい、自分のこの手でそれを育てたいと思われる方は、どんなに職場が忙しくても、やはり寝ている顔だけを見るんじゃなく、子供が起きているときに少しは帰られる、ともに食事をされる、そういった環境を自分の職業を通しながらみんな考えてくださっているのが親業であろうと思っております。

○水島委員
 今、子ども・子育て応援プランのことを大臣はおっしゃったわけですけれども、その思想そのものは全く私も異存はないんですが、ただ、この子ども・子育て応援プラン、全体を見ますと、事業主の理解が得られないことには進まないものばかりが実は一番重要な部分を占めておりまして、ここが私が実は一貫性というふうに申し上げたいところなんです。
片方ではもっと親はうちに帰らなきゃいけませんと言いながら、もう片方ではこの不景気のときに何を言っていると言う大人がいる。
この一貫性のなさから子供は一体何を受け取るかというと、ああ、やはり子育てというのは二の次の問題なんだな、そういうふうに感じ取ったり、あるいは、混乱したメッセージの中で自分がどれほど大切な存在かがわからなくなってしまったりというようなことにもなっていくわけなんです。
 実際には、今また南野大臣は親業という言葉でおっしゃったんですが、これは実は子供を持つ親だけの問題ではなくて、子供を持たない方も、地域でぜひ御自分のお子さん以外の方とかかわってほしい。
先ほど私、地域でどれだけいろいろな大人とかかわれるかというふうに申し上げましたのは、家庭で自分の親とだけかかわっていればいいというわけではない。
地域で自分の親以外の大人とどれだけかかわれるかということが、例えば南野大臣のお子さんだった時代のことを思い出していただいても、それはかなり人間性を養っていく上で重要なところだったと思っております。
 そのことを確保していくためには、子供がいるいないという、今までの仕事と家庭の両立、仕事と育児の両立というその狭い枠にとどまることなく、すべての人が本当に仕事と生活を調和させるという、このワーク・ライフ・バランスの考え方が非常に重要なのだと思っております。
 そのときに、ただ、そうはいっても、なかなかちぐはぐになってしまって、常に子供の視点から見ている人からすれば、もっと親はうちに帰るべきだ、大人は地域に帰るべきだと言う。
もう片方は、いやいや、経済のためにはそんなことは言っていられないと。
ここを何とかしていくのが実は南野大臣に要求されている仕事なんだと私は思っております。
 例えば、男女共同参画との連携ということでいえば、男女共同参画は、今所管されているのは官房長官ということになっています。
これは、ノルウェーの子ども家庭省では両方同じ大臣がやっているんですけれども、日本の場合には官房長官と南野大臣というふうにそれぞれ担当が分かれていますので、ここできちんと連携をしていただくことも必要ですし、また、実は子育てというのは、今まで厚生労働とか文部科学の枠だけで語られてきましたけれども、実際は私は経済産業とか総務とか、そちらの担当している領域の方がずっと大きいんじゃないかと思っております。
そういったところにも体当たりでぶつかっていって、子供のために何とかしてくれというふうにやっていくのが南野大臣の職責ではないかと思っているんですけれども、そのあたりについては、ちょっと一言御決意をいただけますでしょうか。

○南野国務大臣
 先ほども申しました、それについて全力で取り組んでいるわけでございまして、副本部長会議が一回あったから、それだけで私の役割は終わりということではありません。
閣僚とは火、金会っておりますし、閣僚懇談会の中でもそういうテーマを投げることもございます。
そういう形の中で、全閣僚が取り組んでいただきたい課題であるということでございますので、また先生からいろいろ御指導いただきながら、どういうことを取り上げていくかということも踏まえまして、しっかりと自分なりの職責を果たしていこうと思っております。

○水島委員
 実は、私、十二月に韓国に行ってまいりまして、韓国では子供ではなくて女性部、女性省ができたので、そこも見てきたんですけれども、その女性部の大臣が、結局、閣議で各省庁の男女共同参画にかかわるところを常にチェックしていて、いろいろとかみつくもので、もうそろそろ女性部の影響から逃れることが各省庁ともできなくなってしまったということなんです。
 ですから、ぜひ南野大臣には、閣議におきまして、子供のための番犬としての役割ですね、子供にとって子供を後回しにするようなものを出してしまうと、南野大臣といううるさい人がいていつも何かかみつかれるから、これからは子供のことを真っ先に配慮して考えようと、各大臣がちょっと震え上がっていただくような、そんな大臣として御活躍をいただきたいと思いますし、南野大臣ならそれができるんじゃないかと思いますので、ぜひ、これはこれからまたおいおいその成果を伺ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、子供を中心に据えて行政を進めていくというのが子ども家庭省として私たちが提案をしているものなんですけれども、もう一つ、子供の代弁者として、行政をチェックしたり提案をしたりしていくというものとして、子どもオンブードが必要だということも提案をしております。
子どもオンブードを設置する必要性については、大臣はどうお考えになりますでしょうか。

○南野国務大臣
 先生がおっしゃっている子どもオンブードの問題については、ノルウェーのことがお考えの中にあるのかなと……(水島委員「ノルウェーだけじゃなくて、あちこちあります」と呼ぶ)あちこちございますか。
 ノルウェーの問題であるならば、国の機関として設置された、児童の権利にかかわる事項として、議員が提出する法案についての意見具申や新たな法案の必要性の提案、また、政府に対しては子供の権利擁護の観点から必要な意見を述べること、または児童及びその親権者等からの情報に対して返答することなどの機能を持っていると承知しておりますが、こういうような観点で、我が国ではそのような意味での子どもオンブードということはわざわざつくってはおりませんが、私といたしましても、いろいろな場面において、青少年に携わる人々を初め、多くの御意見をちょうだいし、政策への反映に努めてきておりますし、子供の観点を重視した取り組みを進めていきたいと思ってもおります。
 また、政府におきましても、子供の人権侵害の調査、または処理及び人権相談などの活動を行う子どもの人権専門委員の仕組みを活用し、子供の人権を守っていくとともに、諸外国の例も踏まえ、我が国に適した子供の人権を守る仕組みについて絶えず検討してまいりたいと思っております。
 さらに、子どもの人権委員会というのがあるのは先生も御存じだろうと思っておりますが、法務省では、平成六年度から、子供の人権にかかわる問題を専門に行う子どもの人権委員を設置しております。
この子ども専門委員は、法務大臣から委嘱された人権擁護委員の中から選任されております。
子供の人権相談所や子どもの人権一一〇番等を通じて、常に子供の人権に関する情報の収集に努めているとともに、PTA、子供会、民生児童委員等との連携を深めながら、子供が発する信号を早くキャッチして、その問題の解決に努めていこうということでございまして、これは平成十六年四月一日現在で、今全国で六百九十人が配置されております。
 そのような観点で、縦割りでなく横で、いろいろな、協力できる省庁は協力していこうという形の中で展開しておりますので、御理解いただきたいと思っております。

○水島委員
 人権相談という観点からいえば、今の機能を充実させていけば何とかなるのかもしれないんですけれども、この子どもオンブードに期待されている役割というのは、個別の相談に応じるということだけではございません。
 私も、二〇〇三年にこの委員会の派遣でノルウェーに行かせていただきまして、またその翌年には、ノルウェーから子どもオンブード御本人にも日本に訪ねてきていただいたりいたしましたけれども、例えばノルウェーでは、前にこんなことがございました。
 政府が、子供に対して性的虐待を加えた者は五年間は保育園等で働くことができないという法律改正案を国会に提出いたしました。
オンブードはこれに反対をいたしまして、五年間ではなく永久に働くことができないようにすべきだというふうにさらに厳しい提案をいたしました。
これについては、民主主義の根幹に反するなどという反対意見も強かったそうですけれども、オンブードは子供の権利が優先されるべきだというふうに考えまして、その修正意見というものを主張したそうです。
結局、そのオンブードの熱意にも突き動かされまして、世論も動いたんだと思いますけれども、国会はオンブードの意見を採用して、現在の法律は、子供に対して性的虐待を加えた者は保育園等で働くことができない、そのようになっているそうでございます。
子どもオンブードが子供の代弁者としてどれほど大きな力を持っているか象徴する出来事だと思います。
 法案提出権はオンブードにはないんですけれども、ただ、国会に提出された法案についてこれだけ強力に意見を言うことができる、そういう存在が、日本政府に対してもきちんと独立して意見が言える強力な子どもオンブードが必要だと思うんですけれども、もう一度そういう観点からお答えいただけますでしょうか。

○南野国務大臣
 その観点からでございますが、政府の法律や施策におきましては、子供の観点を重視して取り組んでいくことについては、すべての府省庁において心していくべきものである、これはまず最初にお答えしたいと思っております。
 我が国には今先生がおっしゃったオンブードの仕組みはございませんが、青少年育成に携わる方々から御意見を伺ったり、パブリックコメントや青少年電子モニターの仕組みを活用して、子供の観点を重視する立場から御意見を多くの方々から聞きながら、青少年育成施策の推進に努めてまいる所存でございます。

○水島委員
 多分それでは全く足りないと思いますので、私たちはさらに子どもオンブードが必要だということを訴え続けてまいりたいと思っております。
 きょう午後にももう少し個別のテーマを伺おうと思いますが、これからいろいろと個別のテーマを議論していく中で、だれがちゃんと子供の代弁者として意見を言えているのかということをきちんとチェックさせていただきたいと思いますし、今の御答弁でいけば、南野大臣が恐らく子どもオンブードの役割も同時に果たしてくださるというような感じですが、政権の一員であって、またその影響下にある南野大臣がどこまで独立して子供のために機能できるのかというあたりはお手並みを本当に拝見したいところだという、大変失礼ながらそんな言い方をとりあえずさせていただきます。
 なぜかというと、私たちは、幾ら南野大臣が有能な方であっても、やはり、これは第三者機関として独立していなければ、政権の影響下にある人にそこまでの仕事を期待することはできないのではないかというふうに考えているから子どもオンブードが必要だというふうに提案しているわけでございますので、そこの趣旨をよくお酌み取りいただいて、また御検討いただきたいと思います。
 また、前の小野清子大臣のときからですか、ずっと同じ質問を続けているんですけれども、その都度、日本にとって一番適切な子供の人権を守る仕組みを考えたいというふうな御答弁で、この辺でそろそろ結論をきちんと出していただいて、一度お示しいただいた方がいいんじゃないかなというふうに思っておりますので、子どもオンブードをつくるということをちょっと優先課題として頭に置きながら、先ほど言ったような、国会に提出されている法案に意見を述べるくらいの強力な力を持った存在として何がつくれるのかということは、ぜひお考えをいただきたいと思います。
 そして、午前中の最後の質問にさせていただきたいと思いますが、大臣は、今回、法務大臣と、また青少年担当と、それから少子化対策というものを兼任されているわけでございますけれども、実は、法務大臣と子供関係の大臣というものの兼任はこれが初めてということになります。
南野大臣がやっておられる仕事は、最初は官房長官がされていて、官房長官が官房長官と青少年担当というのは、両方だと忙し過ぎて委員会に来られないんじゃないんですかなんて私が質問しましたら、官房長官はそのときは大丈夫ですとお答えだったのに、その後、今度特命大臣になって、鴻池大臣になりまして、それであの暴言がございまして、その後、今度小野清子大臣になりまして、そして今度南野大臣になったというような、そんな歴史的な変遷を経てきていると思うんですけれども、そんな中で、法務大臣が兼任されるというのは初めてのことでございます。
 これで、日本でもようやく法務行政を子供の視点から見ていただけるのかなというふうに私たちは期待してよろしいんでしょうか。
それとも、法務大臣というのは本当に忙しい仕事ですから、法務大臣などという忙しい大臣が片手間にやるのだから余り期待できないというふうに失望すべきなんでしょうか。
どちらなんでしょうか。

○南野国務大臣
 先生からいろいろお話しでございますが、片手間でやっていると言われる私はどんな顔をすればいいのかなというふうに思います。
 一つ一つが大切でございますし、問題としてはオーバーラップしているものもございますし、どちらがどちらで優先ということは申し上げられない。
すべてこれは人にかかわる課題でございます。
国にかかわる課題でございます。
そういう意味では全力を挙げてやっているわけでございまして、といっても、私一人で何ができるかわからない、全閣僚とともにこれは歩いていかなければならない分野もあるということでございます。
 特に、関係する省庁とは連携を密にしていかなければならないということでございますが、法務大臣の所掌事務については、人権の擁護、青少年の保護矯正、親子の関係に関する法制など、青少年にかかわる重要な事項が多く含まれております。
御存じのとおりだと思います。
法務大臣とあわせ、内閣府の特命担当大臣として青少年育成及び少子化対策を担当しておりまして、私といたしましては、法務大臣としての職務を遂行するに当たっても、青少年の育成という観点を十分に踏まえながら、少子化ということも念頭に置きながら取り組んでいっているところでございますので、どうぞ御了解いただきたいと思っております。
頑張ります。

○水島委員
 何となく少しわかった気もしますけれども、元来というか、今まで法務大臣というのは法務大臣職に専念されてきておられまして、それはそれで本当に忙しい仕事だなと、私も前、法務委員会にいましたのでよくわかっているつもりなんです。
 あえてその忙しい法務大臣にプラスアルファでこういう仕事が兼務されるということになったのは、これは最終的には任命権者の小泉総理大臣に伺わなければいけないのかもしれませんけれども、やはり南野大臣としては、法務行政というものにも、青少年の観点とかあるいは今日本が抱えている家族政策の全体の観点とか、そういった観点をもっと盛り込んでほしいというような期待も込めて南野大臣がこのたび兼任ということになられたというふうにとらえていらっしゃるんでしょうか。

○南野国務大臣
 最初からそう思ってこの仕事につかせていただいたわけではありませんし、歩いていきながら、いろいろな問題点をとらえていく姿勢というものを自分なりにつくっていこうと思っているところでございます。

○水島委員
 そうすると、任命された時点では、特に小泉さんの方から、南野さんはこのために兼任にしているんだというような、そういう説明とか注文は何もなかった、ただぽろぽろと個別に任命されたというふうに考えてよろしいでしょうか。

○南野国務大臣
 それはどうお答えしていいのかは私もわかりませんが、最初には法務大臣ということで認証をさせていただいたわけですが、それから、内閣の役割として、内閣府にある特命担当という形を仰せつかったということでございますので、それはころころ方針が変わったとかそういうことではない、総理の頭の中には一貫したものがあったのだろう、今から推察すればそのようにも思います。

○水島委員
 あったのだろうということなんですけれども、今までの法務大臣は、法務大臣ということで任命されてそこでおしまいだったわけで、その次の、内閣の中の仕事としてというそこが追加されなかったわけなんですけれども、南野大臣の場合にはそれが追加されている。
 ちょっとこの点、しつこく質問していて申しわけないんですけれども、やはり法務大臣というのは今まで本当にずっと法務大臣だけをされてきた。
そこに、今回こうやって新たに、内閣の中の、今度は内閣府の特命大臣としての役割が追加されたということは、やはりちょっと注目に値すべきことだと思っておりますので、その点について、それを拝命されるに当たって何か事情を聞かれたりということは特になかった、またその法務大臣の職責とどのようにバランスをとっていくかというようなことについても特に何もお話はされていないというふうに理解してよろしいんでしょうか。

○南野国務大臣
 我々の仕事の中にはあうんの呼吸というものもあろうかと思います。
こういう問題点についてはこのような対策を立てるという気持ちも、これがなければ議員として務まらない部分もございます。
 そういう意味で、総理の任命をいただいたその問題について、私なりに真剣に考えて今歩いているところでございます。
そういうところでございますので。

○水島委員
 では、また午後に質問を続けさせていただきます。
 ありがとうございました。

○藤村委員長
 この際、休憩いたします。

午前十一時五十四分休憩
――――――――――――――――――
午後三時開議

○藤村委員長
 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
水島広子君。

○水島委員
 それでは、午前に引き続きまして質問をさせていただきたいと思いますので、南野大臣、よろしくお願いいたします。
 午後は少し各論について伺いたいと思います。
まず、児童ポルノについて伺いたいと思います。
 先日、ヨーロッパにおけるペドファイル情報ネットワーク根絶プロジェクトであるコピンプロジェクトの副代表のクエール博士が、外務省のオピニオン招聘プログラムで来日され、お話を伺う機会がございました。
内閣府からも法務省からもいらしていたので、よく御存じだと思います。
 まず、児童ポルノの規制についての大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○南野国務大臣
 児童ポルノにつきましては、そこに描写されております児童の尊厳を害しているばかりではなく、児童を性の対象としてとらえる風潮がある、そういうことについては非常に有害なものであるというふうに思っております。
 警察当局におきましても、平成十一年に制定され昨年改正された児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律を厳正に運用するなどして、児童ポルノに係る行為の規制を行っているものと承知しておりまして、私としても児童ポルノが一日も早くなくなることを望んでおります。

○水島委員
 今、そこで描写されている子供本人の人権ということのほかに、子供を性の対象として見る風潮というふうにおっしゃったわけですが、そういう観点からいきますと、議員立法では見送りになっております漫画とか疑似ポルノなどについては、大臣はどうお考えになりますでしょうか。

○南野国務大臣
 現行でありますいわゆる児童買春、児童ポルノの禁止法、これは児童を性的描写の対象とした表現物のうち、実在する児童を描写したもののみを規制対象としているということでございます。
 実在する児童を描写したものでないポルノの規制、それの要否につきましては、平成十一年に同法が制定された際及び昨年に同法が改正された際にも、児童の保護や表現の自由との関係などから法案を提出する議員の間でさまざまな議論があったと承知いたしておりますので、今後ともこのような議論を踏まえながら規制の要否が決せられる問題であると考えております。
 なお、漫画でありましても、刑法のわいせつ物に当たるものとして、その販売をした者を起訴し、第一審において有罪判決が言い渡された事例があるとも承知いたしております。

○水島委員
 今の御答弁では、とても午前中、子供の利益を代弁して大臣みずからが子どもオンブードのように活躍してくださるというのからは、ちょっと違うのではないかというふうに思います。
 あくまでも子供の利益を代弁して発言していただくのであれば、いろいろな議論があるうちのやはり子供の視点に立った方の観点から御答弁なさるべきではないかと思うんですけれども、きょうは、ここへ青少年担当の大臣として来られているわけですから、その点についてもう一度答弁をし直していただきたいと思うんですね。
 といいますのが、今、子供を性の対象として見るような風潮というふうにおっしゃいましたけれども、そういう雰囲気だけではなく、実はこの児童ポルノを規制しなければいけない理由の一つとして、これはきちんとしたデータがございますが、一部の人にとっては児童ポルノに触れる機会が多ければ多いほど性犯罪に至る可能性が高くなるというデータがございます。
 日本ではいまだに、児童ポルノがあるおかげで犯罪が減っているんじゃないかなどという意見を堂々と主張する人もいるようですけれども、これは基本的にきちんとしたデータに基づいて考えれば、一部の人にとってですけれども、そういう児童ポルノに触れる機会が多ければ多いほど性犯罪を起こす確立が高くなる。
 そのようなことを考えますと、児童ポルノを、これは漫画や疑似ポルノであっても規制しないでおくということは、当然それらに触れる機会を一部の人たちにとってふやすことになって、結果として子供を対象とした性犯罪をふやすということにもなるわけで、これは青少年担当の大臣としてはきちんと規制の対象としてその可能性を検討していただかなければいけないと思うんですけれども、もう一度御答弁いただけますでしょうか。

○南野国務大臣
 子供の利益というのは、それはもう本当に重要なものであると思いますけれども、いろいろな課題について、自分の立場ということについても、これはバランスをとって考えないといけないということになってまいりますので、そのような形で答弁させていただきます。

○水島委員
 バランスをとってというのは、最終的に政治決着の場でバランスをとればいいわけであって、やはりまず提案する人がいなければ議論にならないわけなんです。
 ちょっとまた午前中の質問みたいになりますけれども、そうすると、大臣は、青少年担当の大臣としては子供の利益を代弁してきちんとやってくださると先ほど御答弁を下さったので、この場合は、子供の利益を考えれば、児童ポルノ、それは漫画や疑似ポルノであっても根絶に向けて規制をすべきである、そのように大臣は答弁されるべきだと思うんですが、もう一方では恐らく法務大臣としての頭があって、そちらではバランスをとらなければいけない、表現の自由云々ということを考えられる。
 一人の人格でそのように二つの違うものの利益を代弁するという場合に、これはどういうふうになるんでしょうか、この児童ポルノの問題などはどうなるかというのをもう少しきちんと御答弁いただけますか。

○南野国務大臣
 児童ポルノ、そういう問題についてはこれは余り好ましくない、いけないことだと思いますけれども、それを法的にどうするかというと、それはまた別問題という形になります。

○水島委員
 そうすると、大臣は、青少年担当大臣というそのような立場をもっても、この児童ポルノ、子供をそういう性の対象として見るようなものとして、漫画とか疑似ポルノとかそういうものについても、何とかこれを根絶できるように工夫をしたいというふうには御発言いただけないということなんでしょうか。

○南野国務大臣
 そういうことではなく、それを御議論していただきながらということで、それを加味して考えを整理していくということでございます。

○水島委員
 この表現の自由と、実際に、ただ子供の権利を優先させなければいけないということについては、きちんと議論をして法的な整理が必要だと思うんですけれども、その議論を始めることができない状況にあるわけでございます。
 そのときに、やはり子供の権利から考えるとこうだということ、きょう午前中に私、ノルウェーの子どもオンブードが性的虐待の加害者が保育所などで働けないようにする、その期限を五年ではなくて一生働けないようにするんだというふうに子どもオンブードが意見を言ったということを御紹介しましたけれども、やはりそのような意見を言ってくださる方が必要だと思うんです。
 南野大臣がそういうふうに今の児童ポルノのことについてもおっしゃっていただけないということであれば、やはり子どもオンブードというものをつくらなきゃいけないという結論になると思うんですけれども、それでよろしいんでしょうか。

○南野国務大臣
 それを言っていないということではないということでございます。

○水島委員
 大変わかりにくいですね。
 法的にどうこうというと議論があると言って、でもそれを言っていないわけではないということなので、そういう単純な法律をつくるかどうかは別として、今すぐ法規制の対象にするかどうかは別として、何とか子供が、漫画であっても疑似ポルノであってもそういうものの対象として描かれないようにしていくために何か工夫を講じていただく、そのための努力をしていただけるということなら多分御答弁いただけると思うんですけれども、いかがですか。

○南野国務大臣
 悪は悪という形に対して努力していく、行動を努力していくということは当然だと思います。

○水島委員
 何かだんだん珍問答になってきてしまいましたので、ちょっと先に行きたいと思うんですけれども、そのようなお気持ちがあるということは今伺わせていただいたつもりですので、この点についてまた個別の議論のときにもう少し伺いたいと思います。
 先ほど言ったように、日本は、児童ポルノに触れる機会が多ければ多いほど一部の人にとっては性犯罪に至る可能性が高くなる、そのような当たり前のデータも案外知られていなくて、どうも議論のレベルが低いように私は感じております。
 先日も東京拘置所に行ってまいりましたけれども、東京拘置所では、所内で服役している既決囚の処遇類型別指導の一つとして、性犯罪者に対して異性問題教育指導というのを行っております。
現場の刑務官の方の熱意には大変感銘を受けましたけれども、その内容といえば、現場の手探りで試行錯誤的に行っているという感じでございました。
 カナダやヨーロッパなど性犯罪問題についての先進国では、認知行動療法を中心に行動コントロールに効果のある治療法の研究がずっと進んでいるわけでございますけれども、こうした世界の流れとは、この東京拘置所で行われていることというのは、かなり隔絶された感がございました。
難しい領域だからこそ、専門的知見に裏打ちされた処遇が必要であると思っております。
 例えば、そのコピンプロジェクトは、EUなどの財政支援のもと、この専門分野での世界的に主要な機関として知られ、インターポールともそのデータベースを共有しているということでございますけれども、日本は、このような国際的な活動にきちんとアクセスできているんでしょうか。

○南野国務大臣
 青少年に関する施策の立案のためには、青少年の現状と問題の所在ということを的確に把握する必要があるということはもちろんであります。
 委員の御指摘の研究や外国との情報交換は非常に意義が大きいものと考えておりますし、性犯罪に対する研究につきましても、青少年の育成といった観点から見た場合、青少年が加害者となる性犯罪と被害者となる性犯罪の両面があると思います。
それぞれ異なるアプローチが必要になるものと考えております。
そして、それぞれにつきまして、いわゆる刑事の側面からの研究、医療や環境的側面からの研究などさまざまなものが考えられ、必要に応じて担当府省で実施することが適当と思われております。
 私としましても、研究や外国との情報交換の点を含めまして、関係府省の調査研究が円滑になされるよう問題意識を持って見守ってまいりたいと考えております。
 なお、法務省について申し上げるならば、これまで複数回にわたりまして強姦事犯等の調査研究を行った例がございます。
また現在も、職員を米国等に派遣しながら、性犯罪者に対する施策や処遇について情報の収集に努めているものと承知しており、先ほど先生がおっしゃられた類型別の処遇についてもこれから検討が進んでいきますので、そのことも申し上げておきたいんですが、エテル・クエール博士、この方の講演については法務省も協賛させていただいております。

○水島委員
 ここから先、どれだけ国際的な知見を取り入れて政府が工夫してくださるかというのは、これからは法務委員会の審議になってくると思いますので、ぜひ、またそちらできちんと御披露いただきたいと思っております。
 次に、子供の立場からまた御答弁をいただきたい問題といたしまして、懲戒権のことについて質問させていただきます。
 日本も子どもの権利条約の批准国ですけれども、国連子どもの権利委員会は、子供に対する暴力についての勧告を、二〇〇〇年、二〇〇一年と二年続けて採択をしておりまして、二〇〇一年の勧告では、従来からの委員会の姿勢を反映して、家庭及び学校におけるあらゆる形態の暴力、しつけ及び規律の維持の形をとるものも含むとされておりますけれども、たとえ軽いものであっても禁じるということが勧告をされております。
 ところが、日本の民法では、親の懲戒権について何の制約原理もございません。
このようなむき出しの懲戒権というのは、少なくとも先進国では珍しくなっていると言ってもよいと思います。
 例えばドイツのような国では、一九七九年の民法改正によって、従来の親権概念を廃止して監護という概念を採用して、そこに始まりまして、一九九七年九月、二〇〇〇年七月の改正を経て、現在は、身上監護は、子を世話し、教育し、かつ居所を指定する義務と権利を包含する、子供は、暴力を行使しない教育を受ける権利を有する、体罰、精神的に傷つけること及びその他の屈辱的な手段は許されないなどとされているわけでございます。
ドイツでは二十年の間にこれだけの法改正が行われまして、親子の関係が根本から問い直されていると言えますけれども、ほかの国でも、親子の関係は、法律上、さまざまな形で見直されてきております。
 ところが、日本の民法は明治以来手つかずで、親子関係について真剣に検討されてこなかったと言えるのではないかと思います。
そもそも、親権者として子供に対して何をすべきであり、何をしてはならないのかという点の社会全体の検討が進んでいないために、家庭内虐待も施設内虐待も起こってきていると私は思っておりますので、そろそろきちんと整理すべきだと思いますけれども、この懲戒ということについての大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○南野国務大臣
 民法では、親権者は必要な範囲で懲戒することができるというふうになっているわけでございます。
何が必要な範囲の懲戒かにつきましては、これは健全な常識によって判断されるべきものであるというふうに思いますが、児童虐待と言えるようなものまで懲戒権の行使として許されることはないというふうに考えております。
 したがいまして、児童虐待を防止すべきであること自体には全く異論はなく、このための施策を広く検討したいとは思いますが、現在のところ、このために、民法上の懲戒権についての規定、その見直しを検討するというところまでには至っていないというふうに考えております。
 児童虐待という問題につきましても、DV法それ自身、夫婦の、両親のけんかというもの自身も、DVということも、児童にとっては虐待のものであるということについては、もう改正の段階で入れさせていただいている課題であります。

○水島委員
 今のが従来の政府答弁だと思うんです。
ただ、常識的な範囲で懲戒と虐待というのは区別すべきだ、虐待防止法で定められている虐待の定義でないものが正常な懲戒だ、そのようなことをおっしゃっているんですけれども、実際に虐待防止法の定義している虐待であったかどうかというのは、どれほどその人格形成に著しい傷を残したかということは、後になってみないとわからないというところもありまして、ちょっとその定義だけでは不親切だと思います。
 また、虐待をした親の少なからぬ数が、しつけのつもりでやったという事実がございます。
しつけを言いわけにしているという事例もあると思いますけれども、本当にしつけと虐待の違いがわからないという不安を訴えてくる親御さんも少なくないわけでございます。
 懲戒のことに触れずして、虐待防止を本当の意味で行うことはできないと私は思っているわけですけれども、例えば、常識的な範囲という不親切な言い方ではなく、もう少しきちんとした原則論、例えばドイツのように、親権者は必要な範囲で懲戒することができる、ただし、体罰、精神的に傷つけること及びその他の屈辱的な手段は許されない、そのように書き込むということは決して難しいことではないと思うんです。
虐待と懲戒とのわかりにくい関係を考えれば、そのくらいの踏み込んだ表現が必要ではないかと思いますけれども、そのように書き加えることはできないでしょうか。

○南野国務大臣
 先ほど申し上げましたように、私個人が法律を書きかえる、これはできないと思います。
これはいろいろな方々の検討が必要であろうかと思っておりますので、どうぞ大きなお声を出して、その方向で先生の御意見も出していただきたいと思っております。

○水島委員
 何か、民法を所管している法務大臣である南野大臣が法律の改正案を出せないというのは、内閣には法案提出権があるのかないのか、ちょっと心配になってきましたけれども、何か、政権かわりましょうという声も今上がっていたようですが、本当にそのときには、政府提出でこの懲戒権をきちんと変えていけるんじゃないかと思うんです。
 これはぜひ、議論していくためにも、きちんと、これは南野大臣個人がというよりも、今まで法務省に繰り返し質問してきて、結局それを踏み越えることができなかったわけですから、これは大臣として、特に青少年も担当していらっしゃる法務大臣として、ぜひ乗り越えていただきたい一線なので、ここはきちんと御検討いただきたいと思っております。
 私、南野大臣に大変期待をしているんですけれども、なぜ期待しているかといえば、何といってもDV防止法の成立に向けての御尽力者であるわけでございますし、この家庭内の暴力ということについては第一人者であるわけでございますから、そもそも、では大臣は、家庭における暴力、子供に対して、しつけという名前であったとしても暴力を加えるということについては、大臣はどのようにお考えになっているんでしょうか。

○南野国務大臣
 何が虐待であり、何がしつけであるかというのは、まさしくそれは親の感覚でありまして、その親がどのように育てられたかというような問題点も考慮しなければならないというふうに思っております。

○水島委員
 今、すごいことをおっしゃったんですけれども、何が虐待で、何がしつけであるかというのは、その親の感覚であるというふうに御答弁くださって、それはだめ。
それは違う。
それはちょっと大変な発言をされてしまったわけなんですが、ちょっとこれは、今までの虐待の議論を一からやり直さなければならないんじゃないんでしょうか。
もう一度、どうぞ。

○南野国務大臣
 先ほどのは取り消させていただきたいわけでございますけれども、親がどのようにしつけをするかというのが基本でありということを申し上げたかったわけであります。

○水島委員
 いや、まだ言い直していないですね。
親がどのようにしつけをするかというのは親の問題ということだと、客観的に見て明らかに虐待であるようなものでも、親がしつけと言うのであればそれはこの親がそうやってしつけていることというふうに今のだと理解できてしまいますけれども、南野大臣はそういうお考えなんでしょうか。

○南野国務大臣
 先ほどお話ししましたように、しつけにとって何が必要な範囲なのかというのは、それはおのずから親の愛情で決めるものであろうというふうに思いますが、それが虐待的な方向に行くという、それはもうだめなことは決まっております。

○水島委員
 まだきちんと御答弁いただいていないんですが、それが虐待的な方向に行くのはいけないと。
今、私はずっと懲戒と虐待の違いということについて質問をしてきているわけなんですけれども、今のような答弁をされてしまうと、ますます懲戒と虐待が一体化したものになってきてしまうんですけれども、きちんとそこを、一般国民がわかるようにもう一度きちんと説明していただけますか。

○南野国務大臣
 お答えすると、何が必要な範囲の懲戒かにつきましては健全な常識によって判断されるものでありますが、児童虐待と言えるようなものまで懲戒権の行使として許されることはないと考えておりますということでございます。

○水島委員
 だんだんわからなくなってきましたけれども、例えば、では、私が法務大臣に、法務大臣じゃなくても内閣の大臣、国務大臣でいいんですけれども、質問するとして、私は自分の子供はたたいて育てておりませんけれども、仮に私が子供を持つ母親で、大臣、私はしつけのつもりで、毎日、子供が悪いことをすると顔を五十発ぐらいたたいています、これは私は必要なしつけだと思っているんですけれども、私は非常に子供を愛しているんですけれども、これはしつけですよねと言ったら、どうですか。

○南野国務大臣
 それは、その行動を客観的に観察できると思います。

○水島委員
 客観的に観察すると、五十発はたたき過ぎ。
それでは、例えば、悪いことをするので、大体毎晩一回は顔をひっぱたいていますと。
これはどうなんでしょうか。

○南野国務大臣
 そういう問題点について個別のことになろうかと、もし何かの問題点があれば。
 でも、一般論として言うならば、何が虐待で何がしつけかということは、その親の常識、親の愛情がどのようにその子供に向かっているかということになろうかと思います。
社会通念によって判断されるものであろうと思っております。
 私は、親の主観によって決まると申し上げたわけではございませんが、社会的通念でどのようになるのかということになろうと思います。

○水島委員
 本当にきょうの御答弁では、せっかく虐待の防止に向けて動き始めている現場が、また何かスタート地点に戻されてしまうんじゃないかというふうに大変心配になるわけなんです。
 やはりこれは、そのような個別の、そこに込められている愛情がとか、例えば、先ほど自民党席の方から、感情に任せてやるのが虐待なんだ、そういう声も出ていたんですけれども、懲戒と虐待というのは、懲戒権で暴力を認めてしまう限り、そこに感情がこもっていたかどうかとか、判断が物すごく難しくなって、グレーゾーンがかなり広くなってしまって、その結果として、虐待を防ぐことができないということになってしまう領域なんだと思いますので、ここはきちんと、大臣なんですから、子供に対する暴力はいけない、そして、子供はたたかなくてもちゃんと育てられるんです、そういうやり方を私は教えてあげますと、本来の大臣の専門分野を考えれば、そのようなことをきちんと教えていただけるお立場なんじゃないかとも思うんですけれども、そのくらい毅然とした態度を示していただくことはできませんか。
 大臣は、例えばDVのことについては、どんな暴力であっても暴力はいけないと多分言ってくださると思うんです。
それが、相手が配偶者だったらどんな暴力でもいけない、でも、子供の場合にはそのグレーゾーンが無限に広がりますよという答弁を今されているわけで、本当にそんなことでいいんでしょうか。

○南野国務大臣
 子供の人権を尊重するという前提のもとに、社会的一般常識に照らして判断するべきものであり、私の気持ちはそのような観点でありますけれども、先生がおっしゃるように、たたくとか罰を加えるとかいう、社会常識から外れるような問題、これは許してはいけないのではないかと思っております。

○水島委員
 今のような御答弁を続けなければならないのは、これは懲戒権のところに手を加えない限り、多分大臣は何度聞かれてもそういうあいまいな答弁を繰り返していく運命にあるんだと思いますし、大臣御本人もそんなことが言いたいわけではないので、今非常に不愉快な思いだと思うんですね。
 ですから、ぜひ法務大臣在任中にこの懲戒権のところをきちんと手を加えていただいて、しつけは、もちろん一貫性のあるしつけというのはとても重要だと思います。
でも、それが絶対に虐待の言いわけになってはいけない。
やはりどんなに小さな子供であっても、屈辱的な手段でしつけを受けるということは私はいけないと思っておりますので、常に人間としての尊厳、子供としての権利を尊重されて育っていけるような子育てがきちんと日本で法律上認められるようにしていただきたいと思いますので、ぜひ今のその不愉快なお気持ちを法改正へとつなげていただきたいと思っております。
 もっといろいろ聞きたかったんですが、何かここで紛糾して時間がなくなってきましたので、最後にちょっと非嫡出子の差別のことだけ。
 これも子供の立場から御答弁をいただきたい問題なんですけれども、民法上の非嫡出子の差別については、選択的夫婦別姓と並んでかなり議論が長い歴史になってしまっているわけですけれども、本当にそろそろこれもきちんと終止符を打たなければいけない議論だというふうに思っております。
 まず、この非嫡出子の差別の撤廃をしていただけるかどうかについて、大臣のお考えをお願いいたします。

○南野国務大臣
 民法第九百条第四号ただし書きにおきまして、嫡出でない子供の相続分は、嫡出である子供の二分の一ということで定められております。
この規定につきましては、嫡出でない子供を差別するものであり、相続分を同じにすべきであるという御意見が今あることは十分承知いたしております。
 しかしながら、この問題につきましては、国民の間でいろいろな御意見があります。
これが多くの意見ですよということになるまで、我々はしっかりと論議しなければならないと思っておりますが、各方面での御議論が一層深められるようになればいい、そういう方向の必要性があるということを思っております。

○水島委員
 そういうふうになればいいと今他人事のように答えられたんですけれども、大臣が青少年担当の大臣で、先ほど子どもオンブードとしての機能も持ってくださると言ったわけですから、子供の立場から、この議論をもっともっと巻き起こさなければいけない立場なんです。
議会を説得しなければいけない立場なわけです。
 これは、今まで従来の政府答弁では、婚姻制度を守るための合理的な区別ではないかというようなことを答弁されてきているんですが、婚姻制度を守るのは結構なんですけれども、それはあくまでも大人の責任においてすべきことであって、子供にそのツケを回すような問題ではないわけです。
ですから、これは青少年担当大臣として、子供の立場に立って考えていただきたいわけです。
 無国籍児などの問題もそうですけれども、自分には何の責任もないことによって生まれながらにして差別されるということを、子供にどうやって説明することができるのか。
大人社会の不始末を子供に押しつけているだけではないかというふうに私は考えております。
これは本当に、国会の議論とか世論調査とかそういうことに逃げずに、その議論をきちんと変えていけるように、それこそ子供の代弁者として、南野大臣に体当たりで説得の努力をしていただきたいというふうに思っております。
 やはり、先ほども申しましたけれども、ここでも一貫性ということが問題なのだと思いますけれども、今必要なのは、子供たちを健康に育てていくために大人社会がしっかりと決意を持って、一貫性を持って取り組んでいるという姿勢なのだと思います。
自分たちの都合に合わせて一貫性のないメッセージを送る大人が子供たちの成長を損ねているのだという事実を見据えなければいけないと思います。
 児童ポルノはいけない、子供を性的な対象にしてはいけないといいながら、一方では子供の目に触れるようなところにそういうものを垂れ流しているような現状があったり、あるいは、すべての子供は平等だ、みんなひがんではいけないといいながら、生まれながらにして、みずからの努力で乗り越えられない差別の壁を最初から持って生まれてくる子供がいたり、それをまた、これはいろいろな議論がありましてねと言っているのでは、とても子供は救われないと思うわけなんです。
 ぜひ、これは、大臣が青少年問題を担当されているわけでございますので、子供の立場に立って、大人社会の一貫した決意というものをきちんと示していただかなければいけないと思いますし、それをすることが、南野大臣が青少年担当大臣という特命を受けたということにつきまして南野大臣に要求されていることなのではないかと思いますけれども、それをきちんと、最後に、この点も含めまして御決意をお聞かせいただけますでしょうか。

○南野国務大臣
 法務省といたしましては、民法などの基本法を所管しております。
これはもう当然御存じだと思いますが、国民のだれもがかかわりを持つ重要な法律であります。
今のテーマも同じくそのとおりでございます。
こういった法制度は国民意識に支えられて初めて成り立つものでありまして、法改正のためには国民の議論が必要だと申し上げているわけであり、どうぞ御議論をしてくださいという意味でお願いしているところであります。
 我々の社会には、いろいろな大切にすべき価値観というものがあります。
価値もあります。
これらの価値をどのようにバランスをとって、そして制度をつくり上げていくのかが大事な課題であろうかと思っております。
 子供は大人のつくった社会の中で生きていくしかありません。
この子供が次の社会の担い手なのであります。
そういった意味で、子供の人権が社会のあらゆる場で取り入れられ、子供が尊重される社会であるべきことは、これは当然だというふうに思います。
 ただ、法制度といったものを考えた場合には、これが国民生活に深いかかわり合いがある問題であるだけに、子供の法定相続分、それから法律婚という婚姻制度、家族のあり方などなど、そういうさまざまな価値をどう考えて、どういうバランスをとって制度設計をしていくのか、国民の間で議論を深めてもらいたいと思っているわけでありまして、嫡出でない子の相続分の問題については、これを同等とすべきとの法制審議会の答申が出された後も、これは御存じですね、出されたこと。
その後も、なお国民の中に反対意見も強い状況にあります。
 各方面での議論が深まりまして、国民の理解が得られるような状況になることを切に願っております。

○水島委員
 また他人事のような御答弁をいただいてしまったんですが、この問題も、大人の問題が子供にツケ回しされているという構造をきちんと説明すれば、直接お話しした方はほとんど、それはやはり変な法律だというふうにおっしゃるわけです。
だから、やはりきちんと子供の権利を代弁する、あるいは法の正義を実現する立場にある大臣としての説得の量の問題というのがあると思うんですね。
この世論調査を受けている国民の側も、本当にその辺のことを正確に知って、子供の立場がわかった上で答えているかといえば、それよりも、漠然と婚姻制度を守っていきたいということで答えている人も多いわけですから、そこをきちんと区別してほしいというのを私は歴代の法務大臣に申し上げてきているんです。
 今回、こうして青少年担当と法務大臣兼任というのは本当に初めてのことですので、この法務の領域には、今の非嫡出子のことだけでなく、また懲戒権だけでなく、無国籍児の問題、また親権の問題、本当に、子どもの権利条約に反するようなことがそのまま放置されているというものが実は結構ございますので、これは、南野大臣が両方兼務されている間に一度きちんと総点検をしていただいて、子供に堂々と説明できるような形にしていただきたいと思います。
 冒頭に大臣が言ってくださいましたように、子供というのは大人を見て育っていくわけですから、まずは大人が正しい姿を見せていかなければいけない。
ぜひ、子供のための議論を逃げない大臣の姿を子供たちにしっかりと見せてあげていただきたいということを最後にお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。





 
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