法務委員会
(2001年11月16日)




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民法改正(子どもの姓)、裁判官の育児休業




○保利委員長
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水島広子君。

○水島委員
 民主党の水島広子でございます。
 裁判官の育児休業制度というものは司法の場における男女共同参画を進めるものであると思いますし、大変歓迎すべきものだと思います。
本日は、この育児休業に関する質問に入ります前に、まず冒頭に、男女共同参画の象徴とも言える民法改正について若干質問をさせていただきたいと思います。
 五月十八日にも私はこの法務委員会で森山大臣に質問をさせていただきまして、大変前向きな御答弁をいただきました。
その後、内閣府の世論調査の結果も出ました。
また先日は、自民党の山崎幹事長からも前向きな発言があったとのことです。
さらに、きのうの新聞では十四日に政府案骨子が明らかになったということが報道されておりましたけれども、内閣府の世論調査の結果を受けて、現時点での政府としての対応はどうなっているのか、法務大臣にお尋ねしたいと思います。

○森山国務大臣
 先生が今おっしゃいましたように、いろいろな動きがその後ございまして、世論調査、さらには、内閣府にあります男女共同参画会議の専門調査会等でのまとめもできまして、それにも、民法の改正についてぜひ取り組むようにということを特に言っていただいております。
それを受けて、男女共同参画担当大臣である官房長官のコメントもございまして、次第に多くの方の御意見が収集されつつあるかなというふうに考えているところでございます。
 今までいろいろと御説明に努力をしてまいりました成果も次第に上がってまいりまして、疑問を持っておられた方々の御理解も進んできたかなと思いますし、きのう、また先週、ここのところ続けて自民党の中の法務部会も具体的にこれを取り上げて議論をしていただいているようでございますので、それらの御議論をぜひ集約していただきまして、かねて私が願っておりましたような方向でできるだけ早く具体化ができればいいなというふうに思っているところでございます。
 御存じのように、今国会の会期末も次第に近づきつつありますので、この国会で必ずということを今申し上げることは難しいのでございますが、最後まで望みを捨てないで頑張りたいというふうに思っております。

○水島委員
 ぜひその姿勢でさらに進めていただきたいと思うのですが、きのうの新聞では子供の姓をどうするかということも大きく報道されておりまして、法制審議会の答申の段階では子供の姓は婚姻時に決めるということであったけれども、それを出生時に決めることができるというのが今回の政府案の骨子だというように書かれておりました。
そのあたりも、今どのような検討段階にあるのかを教えていただければと思います。

○森山国務大臣
 選択的夫婦別姓の問題で一番具体的に懸念されるのが子供の氏をどうするのかということで、それが一番のネックというか問題点であったわけでございます。
それでいろいろと工夫をいたしまして、審議会の御答申は尊重しなければいけないのですけれども、あのとおりではなくて、少し柔軟性を持たせた方がいいのではないか、それによって御理解を得やすくなるのではないかというふうに思いまして、報じられているような内容にちょっと工夫をしたというのが現状でございます。
 ですから、まだまだ案の、しかも骨子でございますので、これからいろいろ皆さんのお知恵も拝借しなければならないとは思いますけれども、生まれたときの子供の名前というのはできるだけ同じ姓が望ましいのではないかというふうに思っております。

○水島委員
 そうしますと、確認させていただきますと、出生時に決め直すこともできるけれども、ただ、兄弟間では名字は統一されていることが望ましいのではないか、今の段階ではそのような状態になっているというふうに理解してよろしいのでしょうか。

○森山国務大臣
 そのような御理解をいただいて結構でございますが、例えば、ことしの八月に発表されました世論調査におきましても、選択的夫婦別姓には大変御賛成の方がふえましたが、その中でも子供の氏は統一するべきであるという御意見が多数を占めておりまして、やはりその辺のところが皆さんの考えかなというふうに私も感じております。

○水島委員
 よく聞きます御意見には、子供の姓が兄弟間で異なっているとかわいそうだ、そのようなことを言われるのをよく耳にするわけですけれども、このかわいそうかどうかというのは、それ自体にそういう価値があるのではなくて、周りの人がかわいそうだと言うとかわいそうになるというのが現実だと思っております。
今までこの選択的夫婦別姓を認めたがらなかった方たちの中には、両親の名字が異なっていると子供がかわいそうだという意見もかなり根強くございましたけれども、例えば中国のように原則的に別姓という国では、別に両親の姓が異なることがかわいそうなわけではないということからも、これは、両親の名字が一緒かどうかということではなくて、周りのその他大勢の人たちと同じかどうかというところが本質的な問題なのじゃないかと思っております。
 自分と異なる他者をいかに認められるかということが、またその多様性を尊重できるかということが今の日本社会において死活問題ではないか、この閉塞的な状況を打破していくためには、多様性を尊重し合うということが社会を復活させるキーポイントになるのではないかと私は思っております。
 事この問題に関しましては、既に、おじいさんのおうちの養子になったりですとか、いろいろな事情で兄弟間で名字が異なっているというケースも現実には少なくないわけですけれども、では、そういった子供たちはかわいそうなのかということにもなってくるわけでして、そのあたりの、かわいそうかかわいそうではないかというあたり、大臣の個人的な御意見で結構ですので、お聞かせいただけますでしょうか。

○森山国務大臣
 水島先生のおっしゃりたいことも私も理解はできますが、この法律改正に関してということで申し上げれば、やはり子供の氏は一つの姓にまとまっていた方が世間には受け入れられやすい、多くの方に御納得いただきやすいというふうに思っております。

○水島委員
 この問題で大切なこの法改正をつぶしてしまうわけにもいかない、大臣のそういうお気持ちもよく理解できるところですけれども、ただ、現実には本当にさまざまな家庭によってさまざまな事情があるわけでございまして、私自身も先日二番目の子供を産んだばかりですけれども、私自身は、子供の名字を、異なっていなければいけないというよりは、あえて全部そろえていく合理的な理由を全く思いつかないというようなところもございまして、またそれぞれの家庭の事情というのもございますので、ぜひ、法改正の暁には、家庭でもちゃんと何らかの手段でみずからが思うような家庭像を実現できる、そのような御配慮をいただければとこの場でお願いを申し上げたいと思います。
 さて次に、本題の、裁判官の育児休業についてお伺いしたいと思います。
 まず、裁判官の育児休業制度が始まりましてから大分たちますけれども、今までに男性裁判官の育児休業取得は一人だけと聞いておりますけれども、そのデータは本当でございましょうか。
できましたら、女性裁判官の育児休業の今までの延べ数と男性裁判官の延べ数ということで教えていただきたいのです。

○金築最高裁判所長官代理者
 この育児休業制度が施行されましたのは平成四年の四月一日からでございます。
それから本年の九月一日現在まででほぼ十年弱でございますが、育児休業をとった裁判官は合計百十四人でございます。
その後、現在までにまた数人ふえております。
 男女別で申しますと、今申し上げました九月一日までの百十四人は全員女性の裁判官でございまして、その後現在までに取得した数名の中の一名が男性でございます。

○水島委員
 ということは、パーセンテージにしますと、男性の取得率というのは、一名と百十数名でございますので、当然一%未満ということになるわけでございますけれども、なぜ男性の裁判官の取得がこんなに少ないのか。
つい最近まではゼロであったわけですけれども、その理由をどのように分析しておられますでしょうか。

○金築最高裁判所長官代理者
 夫がとるか妻がとるか、これは個々の裁判官の家庭事情で、夫婦で話し合ったりしてお決めになっていることだと思います。
 夫と妻とどちらがとるかということを、どういう理由でそうしたのかということを調査しているかということなんですけれども、これは家庭のプライバシーのことでもありますので、今までそういうことを調査したことはございません。
分析は、家庭事情によるのだろうなという以上に、ちょっと私どもの方ではいたしかねておる。
 いずれにいたしましても、これまでの育休自体の取得状況から見ましても、裁判所において子供を持った裁判官が育休をとりにくいという環境にはないというふうに考えておりまして、男性裁判官についてもこの点は基本的には当てはまるのではないかというふうに思っております。

○水島委員
 後ほど法務大臣にもお伺いはしたいんですけれども、今、男性の育休取得が全体の一%未満、そのような現状を見て、これは家庭の事情、話し合いの結果であって、特に男性がとりにくいということではないんじゃないか、そのような御答弁をいただいたわけでございます。
 裁判官の方というのは、実際の裁判の現場でそういう、例えば男性と女性でこれだけ傾向に差がある場合に、これは女性差別に当たるんだろうかとか、職場として何らかの配慮が足りないんじゃないかとか、そういったことを判断されるお立場にあるんだと思うのですけれども、では実際に、裁判官の方というのは、現実の裁判の場で、ある企業が男性の育休取得が全然ないというような場合に、これもそれぞれの家庭の話し合いの結果だったんでしょうねというような判決を出されているんでしょうか。
そのあたりの意識はそんなことでよろしいんでしょうか。

○金築最高裁判所長官代理者
 仮定の裁判事件での結論の問題で、ちょっと私の立場でお答えするということが難しいかと思います。
 先ほど申し上げましたのは、家庭事情によるんだろうというのはあくまでも推測でございまして、男性がとりにくい状況にはないというのはいわば制度的な面を申し上げましたので、それはいろいろ社会的な、それ以外のいろいろな事情で男性の取得率が低いという理由はもちろんいろいろなところにあるかというふうに思います。

○水島委員
 そのいろいろな理由について、ぜひこれから法務大臣に裁判所の方に御指導いただきたいと思うところでございます。
 先日も、民間企業を対象とした育児休業、介護休業法が改正をされまして、その中で、やはり男性の育児休業取得が非常に現状で低いということを厚生労働省としてもきちんと問題意識として持たれまして、男性の育休取得促進に向けて調査をして必要な措置を講ずるですとか、そのようなことが附帯決議にも盛り込まれているわけでございます。
ですから、今の御答弁を聞いた限りでは、どうも厚生労働省の方が裁判所よりも現実をよく御存じなのかなという感じもいたすわけです。
ただ、今、御答弁でおっしゃいましたように、制度としてはできているけれども社会的ないろいろな影響があるのではないかという御答弁で、まさにそのとおりで、それは社会のあらゆる領域について言えることだと思うのです。
 労働行政にも非常にお詳しくいらっしゃる法務大臣の御意見といたしまして、裁判官の男性の育休取得がこれほど低いということ、そこにどのような社会的な要因が働いているか、そのあたりを分析していただきまして、ぜひ御指導いただきたいと思うのです。

○森山国務大臣
 裁判官に限らず、先ほど先生も御指摘になりましたように、民間の企業におきましても男性が育児休業をおとりになるという例は非常に少のうございますね。
それはやはり基本的には、男性は仕事をして女性が家庭を守るという、長年続いてきた一種の固定観念といいますか、それが今でもなお根深く多くの人の心の中にある、そういうことが一番基本だろうと思います。
最近は随分そうではないという主張はもちろんありますし、社会的にも理解は進んではきておりますけれども、まだ一〇〇%、全く両方ともが自由に考えるというようなことが十分できていないということは率直に認めなければいけないと思います。
 私も、今お話を伺っていて思い出したのですけれども、十年余り前に育児休業制度の最初の法律案をつくるとき、男性、女性、どちらかがとるという内容にしておりまして、それを報告したときに、そこにいた議員の皆さんがええっと驚いた、そのときの声を今でも思い出しております。
議員の皆さんも、男性もとる可能性がある育児休業ということは思いつかなかったようでございますが、今はそういうことはない。
だから、随分世の中変わってきたと思いますけれども、そういう長い間の思い込みがなお尾を引いているということは否めないと思います。
そういうことに、裁判官ばかりでなく、世間一般の男性方が多少縛られていらっしゃるということはお気の毒なことだと思うわけでございます。

○水島委員
 ありがとうございます。
 その時代から、私からしますとある意味では想像もつかないような時代からパイオニアとしてこの領域に取り組んでこられた大臣に、本当に心から敬意を表するものでございます。
 それで、大分よくなってきて、今はもうこの議場からも笑い声が出るくらいに、それが当たり前のことになってきているという一方で、まだまだパーセンテージとしては上がってこないわけでございまして、先ほども裁判所の方に申し上げたように、まず、正当性を判断していく司法の場からそういう感覚をきちんと持っていっていただきたいものであると思っておりますけれども、裁判所として、男性裁判官も育児休業を取得すべきだというような啓発活動はされておりますでしょうか。

○金築最高裁判所長官代理者
 育児休業制度についての裁判官に対する啓発活動につきましては、裁判官に任官した直後に新任判事補の集中特別研修というのがございますが、その際に裁判所職員制度の概要を説明して、その中で育児休業制度に関する法律でありますとかいろいろな規則でありますとか、そういうものを配付いたしまして説明をしております。
その中でもちろん男性もとれるということは説明しておりまして、こういう形で裁判官に対する周知徹底を図っております。
また、そのほかの若手判事補に対する研修中でも、育児休業制度やその問題点に関する講演も設けております。

○水島委員
 裁判官になられるような方たちですから大変聡明な方でいらっしゃるのじゃないかと思いますが、そのような現時点での指導の結果これしかとらないということは、理解力の問題というよりも、どちらかというと啓発の手段の方の問題ではないかなという気もしておりまして、ぜひ今後もっと積極的に、いろいろ書いてある中にそれも書いてあるというのではなくて、その問題意識を持って啓発活動に取り組んでいただきたいと思っております。
 裁判官は、差別の問題ですとかまた公序良俗などを判断するお立場ですので、高い見識を持っていることが期待されているわけでございまして、男性の育児休業取得がほとんどないというような状況を見て問題意識を持たないということは、裁判官としてやや問題があるのではないかとも私は思っております。
ジェンダーや人権という観点からは一女性として首をかしげざるを得ない判決も目についておりまして、まずは、自分自身の職業領域に問題意識を持って改善していくような姿勢がぜひ必要であると思いますけれども、いかがでございましょうか。

○金築最高裁判所長官代理者
 委員御指摘のとおり、まさにそういう点について裁判官は十分な意識を持って取り組んでいかなければならないというふうに考えております。

○水島委員
 ぜひよろしくお願いいたします。
 また、この件も含めまして全体的なジェンダー教育が必要ではないかということを、先日、司法制度改革のときにも質問の中で取り上げさせていただきましたけれども、その後、裁判所として、そのジェンダー教育の必要性をどのように考えられて、どういうふうに実践していこうとされているかをお尋ねいたします。

○金築最高裁判所長官代理者
 ジェンダー教育についてでございますが、裁判官は、日々具体的な事件を扱っておりますので、その具体的な事件、あるいは裁判官個人の日常の社会生活もございますが、そういうものを通して、各自、自己研さんで、裁判官としてふさわしい人格、識見の涵養に努めていくということが基本でございます。
 裁判所といたしましては、そういう自己研さんを助けるために多くの研修を設けているところでございまして、男女共同参画社会の実現を目指す現在の社会におきましてジェンダーという概念が非常に重要なものとなっているというふうに承知しておりますので、裁判官に対する各種研修、研究会におきまして、国際人権規約、日本国内の差別問題、人権擁護推進審議会の動きなどを中心とした講義、セクシュアルハラスメントの防止等に関する講義、また、少年事件や家事事件の問題研究などのように、女性の権利保護または福祉に関する具体的な諸問題を含んだテーマを取り扱ったカリキュラム、こういったものが実施されております。
これに加えまして、最近では、DV法に関する講義を実施いたしましたほか、男女共同参画社会のあり方を中心とする講演も新たに設けております。
 今後とも、ジェンダーの視点の重要性にかんがみまして、裁判官に対するこの面からの研修をより一層充実させるように努力していきたいと思っております。

○水島委員
 ありがとうございました。
 さて次に、育児休業を取得したことを理由とする不利益取り扱いの禁止でございますけれども、この育児休業法の第六条におきまして「裁判官は、育児休業を理由として、不利益な取扱いを受けない」とされております。
裁判官本人が不利益取り扱いを受けたと思った場合の申し立ての手続が具体的にどうなっているのかをちょっと教えていただきたいと思います。

○金築最高裁判所長官代理者
 裁判官育児休業法六条にいいます「不利益な取扱い」は、裁判官の意思に反する免官、転官、転所、職務の停止等が考えられるわけでございますが、こうしたことは、裁判官につきましては原則として「その意思に反して、免官、転官、転所、職務の停止又は報酬の減額をされることはない」というふうに規定されておりますので、そういう取り扱いは本来あり得ないところではございます。
 しかし、仮に育児休業を取得した裁判官が育児休業を取得したこと自体を理由としてそういった不利益な取り扱いを受けたということになりました場合には、それが行政処分に当たります場合には、行政不服審査法に基づく異議申し立て、あるいは行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟の提起をすることができるというふうに解されております。
また、その不利益な取り扱いが行政処分に当たらないという場合には、権限を有する者に事実上の申し出をするとか損害賠償請求等の民事訴訟を提起するといったことも考えられるということになります。
 以上でございます。

○水島委員
 そうしますと、不利益な取り扱いをする主体も裁判所であって、訴訟を起こしたときに判断するのも裁判所である、そのような構造と理解してよろしいのでしょうか。

○金築最高裁判所長官代理者
 同じ裁判所でございましても、司法行政上の立場で処分をする裁判所と、裁判になりましたときはそれを訴えとして取り扱う、訴訟を取り扱う裁判所でございますので、これは一応概念的には別のものでございますが、委員がおっしゃるような意味でしたら、同じ裁判所が両方に関与するということではございます。

○水島委員
 本当は、人事を決めている主体と不利益を判断する主体が同じだというのは一般的におかしいと考えられるわけで、もちろん違う裁判所が扱うにしても、最終的な責任というのは最高裁に帰属しているというふうに理解してよろしいわけですね。

○金築最高裁判所長官代理者
 そのとおりでございまして、行政処分を行うのも司法行政に責任を負う立場としての最高裁判所、裁判になりましたときはこれは裁判体を構成する最高裁判所、こういうことになると思います。

○水島委員
 そうであればあるほど、その透明性や正当性というものがわかりやすくなっていなければいけないと思うのですけれども、裁判官の方は一般企業などの不利益取り扱いを裁判で判断するお立場であるわけですから、ぜひその見本となるような、透明性のある、不利益取り扱いの具体的な処理というのをしていただければと思います。
 次に、復帰の問題ですけれども、育児休業を取得した裁判官が復帰する場合には、休み始めたときのポジションに復帰するのでしょうか、それとも同期の他の裁判官と同じポジションに復帰するのでしょうか、それをお伺いしたいのと、同じテーマですけれども、経験九年の判事補が育休に入られた場合に、三年間取得をして、三年後にどのような立場に復帰されるのかということをお答えいただきたいと思います。

○金築最高裁判所長官代理者
 復帰するときのポジションという御質問で、判事補が育児休業をとりまして、任期内であればまた判事補に戻る、それから、育児休業中に異動をさせるということは普通は考えられませんので、例えばある裁判所に配置されている裁判官であれば、同じその裁判所の裁判官として戻るということになると思います。
ですから、原則として同じポジションに戻るということになりましょうか。
 今例としてお尋ねになりました、九年目の判事補が三年間育児休業を取得してどういう形で戻るのかという御質問だったかと思いますが、この場合は、途中で、判事補の任期が十年で終了いたしまして判事へ任命する、俗称は再任と申しておりますが、この問題がちょっと絡みますので、こうした点についても育児休業を取得することによる不利益を負わせないという基本的な姿勢で考えていくべきものかと思いますけれども、再任自体については、これは裁判官に対しての新しい任命でございますので、いろいろなほかの問題もございまして、総合的な見地から判断して決定していかなければならない。
ですから、九年目で三年やった場合にはどういう形で戻るかということを一律に申し上げるということがなかなかできないんじゃないかと思っております。

○水島委員
 ただ、その理由が育休を取得したということだけであれば、むしろ一律にお答えいただけることなんじゃないかと思うんですけれども、今の御答弁だと、何がおっしゃりたいのかというか、では現実にどうなるのかということが、そこで不利益取り扱いとみなされるかどうかというようなことも含めまして、ちょっとよくわからなかったのですけれども、質問時間がもう終わりでございますので、ぜひ、そのあたりについてはもう少し詳しくわかるようにしていただきたいということ。
 また、裁判官の方が、みずからがまずそのような不利益取り扱いということを考えていただくことによって、普通の民間企業で働いている人の不利益取り扱いに関しましても当たり前の感覚が持てるのではないかとも思っております。
裁判官に普通の市民としての感覚を持っていただくためにも、育児のみならず、普通の生活をどんどんしていただきたいと思っております。
 また、政策決定の場のみならず司法の現場での男女共同参画は、社会全体の男女共同参画を進めていくものであると思っておりますので、ぜひ今後とも必要な施策を講じていただけますように法務大臣にも改めてお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。



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