国会報告 その83(2002.2.25発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(02.2.17〜2.23)



■2月17日(日)
治ったと思っていた風邪がぶり返し、最悪の体調。

14時からは何とか労組の講演に行く。
「労働法制の改悪問題やリストラが家庭内の子どもに与える影響等につい て」というテーマ。リストラやそれによる親の自殺などが、経済だけでは なく子どもたちの精神面に大きな影響を与えるという観点から話した。

講演を終えて帰宅してから熱がどんどん上がる。頭痛と節々の痛みのため (さらにそれでも授乳しなければならないため)ろくに眠れずに夜を越す。
インフルエンザを疑う。




■2月18日(月)

体調は悪いまま。こじらせるとさらに各方面に迷惑をかけてしまうので、 迷ったがマンデーリポートは断念。

熱が下がらず、上気道感染症状もひどく、節々の痛みも相変わらずひどい。
インフルエンザの疑いがいよいよ濃厚になる。ワクチンを接種していたた め、インフルエンザにはならずにすむかと思ったが、先輩耳鼻科医に電話 をすると「今年はワクチン接種者でも発症・症状軽快例が多い」とのこと。
こうなると気になるのは家族への感染。夫と娘はワクチンを接種している が、5カ月の息子は当然接種していないため不安である。母乳の免疫力に 期待するしかない。

午後、耳鼻科を受診してインフルエンザの検査をしてもらったところ、や はりインフルエンザであることがわかり、抗ウイルス薬をもらう。
以前はインフルエンザに効く薬はなかったが、今は発症後48時間以内に 抗インフルエンザウイルス薬を投与すれば、かなり経過が良くなる。

朦朧としたまま、マスクをして連合栃木議員懇談会「第3回政策研究会」 へ。国会議員団を代表して今日は私が出席することになっていたのだが、 この体調ではとてもきちんと出席することはできない。17時からは知事 の講演会もセットされていたのに、本当に残念。
16時すぎに顔を出し、簡単な国政報告をし、女性副知事、子ども病院、 障害児の保育・学童保育について要望を述べて退席させていただく。

今日中に東京に行かなければならないため、18時に夫の運転する車で東 京へ出発。




■2月19日(火)

まだまだ本調子ではないが、抗ウイルス薬のおかげかだいぶ楽になる。
8時からの内閣部門会議で女性政策草案について説明する予定になってい たが、昨晩のうちに連絡して今日は勘弁してもらった。
政策秘書の鳥居さんも昨日からダウンして休んでいる。

ブッシュ大統領が10時から参議院で演説しているが、まだフラフラする ため中継を見るにとどめる。

11時から、司法と精神医療の連携に関するプロジェクトチーム。
「重大な触法行為をした精神障害者に対する新たな処遇制度(案)の骨子」 について、法務省および厚生労働省より聴き取り。
今回政府が作っている法案は触法精神障害者の再犯予防を目的とするもの だが、実は一般刑法犯の再犯率の方が精神障害者の再犯率よりもずっと高 い。こういった基本的なデータを踏まえずに立法するのはおかしいと私た ちは主張しているのだが、法務省は質問に正面から答えようとしない。す っかり紛糾したため、次回までに基本的なデータを用意するよう要求して 今日のところは終了。

12時40分から代議士会。

13時から本会議。 各種委員等の選挙(実際は議長指名)。
2002年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律 案、租税特措法等の一部改正案について、財務大臣からの趣旨説明。その 後、民主党、自由党、共産党、社民党の各党からの質疑。民主党の中川正 春議員の質問は大変良かった。社民党からは原陽子さんが質問に立った。

しばらく事務作業をしてから今日は早めに宿舎へ。17時に議員会館を出 る宿舎行きのバスに初めて乗れた。
宿舎で、ダウンしていた間にたまった事務作業を片づけようとするが、ま だまだ追いつかない。




■2月20日(水)

体調はかなり快方に向かってきたが、周りの人にインフルエンザを移すわ けにもいかないのでまだマスクはとれない。
鳥居さんは今日も休み。

8時から厚生労働部門会議。
各種事務連絡。
「戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正案」について厚生労働省より聴 き取り。恩給法等について総務省より聴き取り。普通恩給および扶助料の 最低保障額の一部引き上げを行い、恩給の改定に準じて遺族年金等の額を 引き上げるもの。
「公的病院等の現状と当面の課題」について厚生労働省より聴き取り。

8時半に中座して、教育基本問題特別調査会(民主党)へ。
昨年2月に中間報告を出して以来活動が休止していたが、この度新役員の もとに再開されることになった。民主党の中には、「民主主義教育をきち んと定着させるべき」という人たちと、「民主主義教育が、自由と権利を はき違える人たちを生んできた。日本人としてのアイデンティティを持た せる教育が大切」という人たちの両者が存在する。(ちなみに私は前者で あり、日本の教育現場が民主主義をきちんと消化できていないために「自 由と権利のはき違え」問題が起こると思っている。)
この両者の微妙なバランスの上に教育政策が論じられていくため、例えば、 教育基本法問題についても、「改正すべき」という人たちと、「教育基本 法の理念が生かされないことこそが問題」という人たち(私はこちら)が 平行線の議論をすることになる。
本日は中央教育審議会委員・ゼンセン同盟会長の高木剛氏より聴き取り。

10時から取材。労働行政について。

11時過ぎに取材を終え、医療費3割負担に反対して議員会館前で国会行 動をしている連合の皆さんを激励。栃木からも見えていた。

13時からテレビ取材。こちらも医療費自己負担率問題について。

15時から税調総会。
政府のデフレ対策について、税制の観点より聴き取り。財務省、経済産業 省、国土交通省より。

16時から総括副大臣会議。

今日は話題の田中真紀子元外相と鈴木宗男氏の参考人招致が予算委員会で 行われた。外務省に対するさらなる疑惑が深まった一日だったが、参考人 招致を取り扱ったニュースを見ていて気になったことが一つあった。
一般市民が「どっちもどっち。ますます政治不信が強まった」と冷めた感 想を述べていたのをキャスターが「すばらしい」と誉めて、「この呆れた 声が永田町に届くと良い」というような趣旨のことを述べていた。

私もこの国会報告で書いてきたが、今回の問題には、日本の様々な問題が 凝縮されている。政官業の癒着構造、その中で政治家たちが目先の利権を むさぼったため政治に長期的なビジョンが無縁だったこと、また、大臣と 事務次官の答弁が完全に反するという国会答弁の軽視、そして何よりも、 「そんなことよりも今は予算を通すことが先決」という理屈によって何度 も重要な問題にふたがされてきたこと。これらにきちんと手術をしていか ないと日本にまともな政治は訪れない。ということは、日本にまともな民 主主義が定着することもないし、日本に未来がないということになる。

ニュースキャスターの方には、政治不信をあおるだけのコメントをするの ではなく、何が問題で何を改善しなければならないのかをきちんと分析す る態度をとってほしい。
自民党の長老議員たちは「こんなにレベルの低い参考人質疑は初めてだっ た」「無駄な一日だった」などとコメントしていたが、早くこの問題にふ たをしたいという態度が明らかだった。彼らがやってきた「レベルの高い」 「無駄のない」政治とは何だったのかということを振り返ってみれば、一 緒になって呆れているわけにはいかないということがよくわかると思う。




■2月21日(木)

今日から鳥居秘書が復活。私はすっかりマスク生活が板についてきた。

8時から緊急事態法制に関する外務・安全保障・内閣・国土交通部門合同 会議。
「緊急事態法制について:基本的人権等との関係、シビリアン・コントロ ールのあり方、各国憲法の比較など」と題して駒澤大学教授の西修氏より 聴き取り。

9時半から法務部門会議。
各種事務連絡。

11時から第二回の女性政策検討会議。今日で女性政策草案の説明を全て終え、後は次回全体的な締めくくり議論をして党内の意見をまとめていくことになる。

13時に来客。

14時から司法と精神医療の連携に関するプロジェクトチーム。
政府案への反対意見を日弁連から聴き取り。

16時に党本部へ移動して選対小委員会。
引き続き候補者スカウトの現状と公募についての議論。政権交代をするに は、とにかく空白選挙区を埋めなければならない。それも、女性候補者の 比率を高めるのが私の仕事だ。

引き続き党本部で17時から鳩山代表と税調の少数メンバーとの意見交換 会。税制の議論を進める上で代表の希望を聞いておこうとするもの。党内 の政策議論の積み重ねと幹部の発言との整合性をとることも目的の一つ。




■2月22日(金)

8時から医療問題ワーキングチーム。
民主党の医療制度改革案に対するパブリックコメントを踏まえて、今後に 向けての議論。

9時半から人権・消費者調査会。
障害者差別/人権侵害の実態と現行法制の限界について事例研究。

日本の文部科学省(文部省)は、一貫して、障害児と健常児の分離教育が 望ましいという立場をとっている。
1981年8月には、


1.障害の重い子どもに対しては、小・中学校では適切な教育ができない。
2.一般の子どもたちの教育に支障が生ずる恐れがある。
3.多額の財政負担を強いられる(学校施設の改善、職員配置、養護学校 との二重投資、など)。
4.現行の特殊教育制度、ひいては学校教育制度全体の根幹に触れる大き な問題となる。

という柱からなる「障害の重い子どもを小・中学校で教育することの問題 点」が文部省から出されている。

一方、世界的には統合教育が流れだ。小さい頃から当たり前のように障害 を持つ友人とともに生きることが、偏見を廃し、自然に共生する基盤を作 る。統合教育は、障害を持つ子どもの権利であると同時に、障害を持たな い子どもにとっても教育上大きなプラスがあると言われている。

1994年に開催された「特別なニーズ教育に関する世界会議」において 採択されたサラマンカ宣言は、「万人のための教育」の理念をめざし、す べての子どもの教育を受ける権利を保障するとともに、インクルーシブ (排除しない)教育の原則を提言している。
例えば、「特別な教育的ニーズをもつ子どもたちは、そのニーズに合った 教育を通常の学校で受けるべきであり、このインクルーシブ志向をもつ通 常の学校こそ、万人のための教育を達成する最も効果的な手段である」と 述べられている。

今日の会議の中では、障害児の問題にとどまらず、『進む「能力」による 指導』として、教育改革国民会議最終報告と学習指導要領の例が挙げられ た。
障害児を分離して教育するという発想は、障害の有無に関わらず子どもた ちを能力によって分離して教育するという発想に極めて近い。そして、最 近の日本はどうもそちらの方向に進んでいるのではないかというのだ。
参考までに、斉藤貴男著 「機会不平等」(文芸春秋刊)から、以下のコ メントを抜粋しておきたい。こういう人たちが日本の教育の根本を決める 第一線にいるのが現状だ。

「人間の遺伝情報が解析され、もって生まれた能力がわかる時代になって きました。これからの教育では、そのことを認めるかどうかが大切になっ てくる。僕はアクセプト(許容)せざるを得ないと思う。自分でどうにも ならないものは、そこに神の存在を考えるしかない。その上で、人間ので きることをやっていく必要があるんです。
ある種の能力の備わっていないものが、いくらやってもねえ。いずれは就 学時に遺伝子検査を行い、それぞれの子どもの遺伝情報に見合った教育を していく形になっていきますよ」(江崎玲於奈・教育改革国民会議座長。 ノーベル物理学賞受賞者)

「学力低下は予測しうる不安と言うか、覚悟しながら教課審をやっとりま した。いや、逆に平均学力が下がらないようでは、これからの日本はどう にもならんということです。つまり、できん者はできんままで結構。戦後 五十年、落ちこぼれの底辺を上げることにばかり注いできた労力を、でき る者を限りなく伸ばすことに振り向ける。百人に一人でいい、やがて彼ら が国を引っ張っていきます。限りなくできない非才、無才には、せめて実 直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです。
(中略)
今まで、中以上の生徒を放置しすぎた。中以下なら”どうせ俺なんか”で 済むところが、なまじ中以上は考える分だけキレてしまう。昨今の十七歳 問題は、そういうことも原因なんです。
平均学力が高いのは、遅れてる国が近代国家に追いつけ追い越せと国民の 尻を叩いた結果ですよ。国際比較をすれば、アメリカやヨーロッパの点数 は低いけれど、すごいリーダーも出てくる。日本もそういう先進国型にな っていかなければいけません。それが”ゆとり教育”の本当の目的。エリ ート教育とは言いにくい時代だから、回りくどく言っただけの話だ」(三 浦朱門・前教育課程審議会会長。”ゆとり教育”を深化させる学習指導要 領の下敷きになる答申をまとめた最高責任者。この人の妻・曾野綾子氏は 教育改革国民会議のメンバー)

11時半から財務金融部門役員会。私は財金の役員ではないが、税調事務 局として参加。
不良債権と規制緩和について、ゴールドマン=サックス証券会社のアトキ ンソン氏より聴き取り。

13時から本会議。
地方税法改正案・地方交付税法等改正案について、民主党・自由党・共産 党・社民党による質疑。

15時半に文部科学省の方に来室してもらい、「特殊教育」の現状と学校 教育法施行令改正問題について聴き取り。今日の聴き取りは昨日から依頼 しておいたものだが、たまたま朝の人権調査会と同じテーマになった。
現在、学校教育法施行令の基準を満たす障害を持った子どもが普通学校で 教育を受けるか養護学校で教育を受けるかの決定権は校長にある。親(子 ども)が主体的に選択できるようにすべきではないかという議論をしてい たときに、文部科学省の初等中等教育局特別支援教育課企画調査係長が 「選択どころか、1979年に養護学校ができるまでは学校にも行かれな かった。学校に行けるようになっただけまし」という趣旨の発言をしたの で大変呆れた。
発言そのものが時代錯誤的であるのももちろんだが、戦後まもなくできた 学校教育法には全ての子どもを就学させなければならないという規定があ るのに、1979年まで就学することができなかったのは、むしろ行政不 作為と言いたいくらいだ。

明日東京で会合に出席するため金曜日だが東京泊。




■2月23日(土)

13時半から帝国ホテルで「加藤シヅエさんを偲ぶ会」に出席。各界から 大勢の方が見えて加藤さんを偲んだ。私は告別式にも出席したが、今日は 加藤さんの大きな写真が華やかな花に包まれて、とても加藤さんらしく素 敵だった。

土井たか子さんが、1946年の国会の議事録を持参され、加藤シヅエさ んの質疑を披露。「男女平等というのは男性も女性もその人格が等しく尊 重されなければならないということ。女性には妊娠・出産・育児という尊 い使命があるのだから、働く権利を考えるときに、それらへの配慮が明文 化されていなければならない」というような趣旨の一説を紹介された。よ うやく今頃になって雇用機会均等法や産休・育休などが整備され始めたわ けだが、1946年にしてすでにその法的必要性をはっきりと指摘されて いた加藤シヅエさんに改めて感動するとともに、そんな加藤さんだからこ そ、人生の最後の瞬間まで、発言が全く「古びなかった」と言える。

宇都宮に戻って19時から工藤正志市議の新年会に出席。






★とちぎ子ども学会健康部会研修会

摂食障害の病理と治療



◎とき:3月2日(土) 午後2時〜

◎ところ:宇都宮大学 国際学部1121教室(教室が変更になりました)
(栃木県宇都宮市峰町350)

※JR宇都宮西口バス乗り場3番で乗車約15分「宇大前」下車

★どなた様でも参加できますので、お気軽にご参加ください。




■女性のための政治スクールのお知らせ

少しでも多くの方に、政治への関心をもっていただくために、原則として毎月1回、「女性のための政治スクール」を開講しています。スケジュールは以下のとおりです。もちろん、男性の方やお子様連れの方も大歓迎です。4月以降のテーマについてご意見を募集しております。

◎3月16日(土) 14:00〜
◎最近の国政について
◎宇都宮市総合コミュニティーセンター(明保野町)にて



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