国会報告 その66(2001.10.22発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(10/14〜10/20)



★10月23日より、国会に復帰します

9月11日の出産以来、産後休暇をいただいていましたが、一カ月検診で 医師の許可もおりたため、予定通り、10月23日から国会に完全復帰し ます。
折良く、この週から「仕事と家庭の両立支援法」の審議に入る予定で、私 も早速質問に立ちます。
その他、産休中から準備を進めてきたことを、実 行に移していきたいと思っています。
民主党の幹事長補佐として、また、 男女共同参画担当の総括副大臣として、市民が主役の民主党を作るために 引き続き活動してまいります。
産休中も、ボランティアの方たちのお力に よってチラシの配布を続けることができましたが、マンデーリポートは 10月29日朝より再開予定です。
議席を与えていただいた議員としての責任、乳飲み子と三歳児を抱えた親 としての責任をしっかりと果たすことで、生活者にとってより暮らしやす い社会を実現していきたいと頑張ってまいります。
今後ともどうぞよろし くお願い申し上げます。



●米国同時多発テロについて(その5)

テロ特措法について、与野党党首会談が決裂して、民主党が反対に回りま した。
衆議院での造反はわずか2名と、民主党にしては、まとまることが できました。
鳩山代表は、党所属国会議員からの「一任」を取りつけて小泉首相との会 談に臨んだわけですが、文民統制の生命線である「国会の事前承認」を譲 りませんでした。
現場にいることができなかった私は、ほっと胸をなで下 ろしています。
そうは言っても、法案は衆議院を通過し、参議院を経て成立してしまう見 通しです。
でも、法案の具体的な法的根拠など、今までに指摘されてきた 点はいずれも曖昧なままです。
法案の主旨の是非以前の問題として、こん なことで法律が成立してしまうのであれば、法治国家としての日本が危う いと思います。

さて、テロ問題については、実に多くの方たちからメールやファックスで のご意見をいただいてまいりました。
そのほとんどが、私の考えに対する 共感のメッセージだったり、「特措法案に反対してください」というよう な内容でしたが、中には「これだから女は困る」という意見を寄せられた 方もいらっしゃいました。
今まで、安全保障の問題でいろいろな方と意見交換させていただいてきま したが、本日は、私なりに気づいた傾向を報告させていただきたいと思い ます。

「あなたのようなことを言っているから日本が国際社会でバカにされてし まうのだ」「女の理想論では解決しない」「平和ボケ」。
一部の批判的な コメントには、このような語句が踊ります。
人を批判するのですから、賛 同する方たちよりも厳しい表現になるのは仕方のないことですが、全体に、 一方的な断定口調で感情的であるという傾向が見られます。
私が国会報告の中で触れてきた種々の問題について具体的な意見や解決方 法を書いてくださるわけでもなく、単に「国際社会でバカにされる」「女 の理想論」「平和ボケ」などの使い古された表現を一方的に投げかけられ ても、こちらも「ご意見を読ませていただいて考えが変わりました」とな るわけがありません。

安全保障の問題で意見交換をしていて、このような方たちと「意見が交換 できた」と思えることは極めて稀です。
コミュニケーションを専門として いる立場から見ると、あまりにもコミュニケーションが一方通行で成立し ないのです。

「これが武力行使の実態ではないか」、と私は改めて思っています。
一般 社会でも、言葉によるやりとりが十分にできない人は、暴力に訴えがちで す。
自分の伝えたいことが伝わらないから暴力でわからせてやる、となる のです。
暴力を振るわれた側は、言葉でも理解できないことを暴力で理解 するなどということはあり得ませんから、結局暴力で返すことになります。
武力行使も実は同じ次元で行われているのではないかと、本当に情けない 話です。

ところで、「国際社会でバカにされる」という点については、10月1日 発行の国会報告で、寺島実郎氏のコメントを紹介していますが、私も同意 見です(寺島氏は、さらに、11月号の中央公論に「世界史の深層底流は 何か」という論文を寄稿されています。大変すばらしい論文です)。
この ような意見については、どう答えてくださるのか、未だに聞くことができ ません。

私自身も、外国で、不戦を誓った日本の憲法と武力非行使の理想論につい て常々論じていますが、尊敬されるこそあれ、バカにされたことなど一度 もありません。
「バカにする」のは、すべて日本人。
それも好戦的な中高 年男性がほとんどです。

「女の理想論」ということですが、世論調査の結果を見ても、武力行使な どを支持するのは、女性よりも男性の方が多いようです。
男性ホルモンの なせるわざなのか、社会的な慣習のせいなのかは不明ですが、何と言って も「戦争の本当の被害者は女性と子どもたち」という現実は無視できませ ん。
武力行使の影には、常に女性や子どもへの残虐行為や性暴力がありま す。
戦争のない国でも女性や子どもの経済力は低いわけですが、戦時下と なると、最も深刻な影響を被るのが、こういう立場の人たちです。
タリバ ンは女性の人権を抑圧していることで有名ですが、そのタリバンを攻撃し ようとして、結局のところ生命や人権が最も脅かされてしまうのは、女性 や子どもたちであるというのは皮肉な話です。

このような事態を何としても防ぎたいというのが「女の理想論」であり、 これこそが「正論」なのではないでしょうか。
女性の有権者がもっと声を上げる、女性の政治家をもっと増やす、という 地道な努力によってしか、女性や子どもが安心して暮らせる社会を作るこ とは不可能だと思います。

常々言っていることですが、理想というビジョンに向けての現実政策をど のように作るか、というのが政治家の仕事だと思います。
「理想では解決 しない」ではなく、「理想のために解決する」のです。

「平和ボケ」ということですが、武力行使に反対する人には必ずこの呼び 名がつきます。
でも、本当にそうなのでしょうか。
戦争の愚かしさを訴え、武力行使に反対する人たちのには、広く戦争の現 実を見てきた人が多いのも事実です。
日本でも、ある年齢以上の戦争経験 者の方たちは、「自分たちが生きているうちに戦争の現実を知ってもらい たい」と行動を起こされています。

私は戦争経験世代ではありませんが、国連監視下のゴラン高原にも行きま したし、戦争の傷跡が深く残るレバノンなどにも行きました。
戦車によっ てペシャンコに破壊された家々。
自分の歩いているすぐ横は地雷が無数に 埋まる平原。
町中は銃弾の穴だらけ。
これらを見ただけでも、戦争の悲惨 さをかいま見ることができるのですが、実際に体験された方々の話をうか がって、ますますその気持ちを強めています。
今、国会で政府に反対して 論戦を張っている人の中にも、戦争の現場を見てきた人が目立ちます。
「平和ボケ」などでは決してないと思うのです。

一方、戦争を戦争ゲームの中でしか考えられない人たちは、「いけいけど んどん」になってしまうのかもしれません。
実際に伴う痛みを実感できな いのでしょう。
私はむしろこういう人たちこそ「平和ボケ」なのではない かと思います。
私自身も、戦争ゲームや英雄ものに夢中になっていた子ど もの頃はもっと好戦的でした。




イベントのお知らせ

★第一回 WINWIN シンポジウム

●テーマ「女性議員が増えれば社会が変わる」

●パネリスト
赤松良子(WINWIN代表)、有村はるこ、上田けい子、鎌田さゆり、黒岩ちづこ、幸田シャーミン、下村満子(WINWIN副代表)、 田嶋陽子、東門美津子、円より子、水島広子、吉川まゆみ(敬称略・五十音順)

司会・岸井成格(毎日新聞論説委員)

●日時  2001年11月1日(木)
     第一部 シンポジウム 15:00〜17:00
     第二部 懇親会    17:30〜19:00

●場所  憲政記念館 講堂(地下鉄国会議事堂前)
    (千代田区永田町1-1-1 TEL.03-3581-1651)

●会費
    シンポジウムのみ   \1,000円
    懇親会のみ      \3,000円
    シンポジウム+懇親会 \4,000円

※お申し込みは、住所、お名前、連絡先電話番号、第一部・第二部参加人 数を明記の上、WINWIN事務局 までファックスでお願いします。
   ◆WINWIN事務局 FAX 03−3556−8790

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