国会報告 その218(2005.02.12発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回、発行しております



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国会報告



■障害者グループホーム視察




 2月8日、横浜市のグループホーム「本牧生活の家」を訪問し、入居者 の暮らしを見せていただくと共に、日本グループホーム学会代表でもある 室井滋樹氏から話をうかがいました。 今国会で審議される予定の「障害 者自立支援法案」の参考にするためです。

 「本牧生活の家」では、女性3名、男性2名の計5名が暮らしています。 脳性マヒの方たちで、皆さん車椅子です。それぞれの部屋を持ち、共有ス ペースを持ち、昼間はそれぞれの作業所に出かけ、生活をしておられます。
 私は今まで、高齢者のグループホーム、精神障害者のグループホームを 訪問したことがありますが、いずれも、いわゆる「施設」とは全く異なっ た、自然でゆったりした空気が流れており、入居者それぞれの個性が十分 に発揮されています。
今回も、入居者の皆さんが快く見せてくださった居室は、まさに「人そ れぞれ」の特徴を持っていました。  

今回の「障害者自立支援法案」については、身体障害・知的障害・精神 障害と3障害に分かれていたものが一本化されるという、評価できる点も ありますが、精神障害者の通院公費負担制度の廃止など、深刻な問題も含 まれています。グループホーム学会からもいくつもの懸念が示されていま す。

  何と言ってもまず、根本的な問題として、障害者の「自立」とは何か、 という立法に当たっての思想です。 かつて「自立」とは「就労すること」と考えられていた時代があり、例 えば歩けない人は歩けるようになることを至上目的とし、人生の大半を訓 練に費やしていました。そして、「自立」できない人は、社会の片隅に追 いやられてきたのです。
  しかし、国際障害者年をきっかけとして、また、ねばり強い障害者自身 の運動や、ノーマライゼーションという理念が普及する中で、重い障害を もつ人たちも含めた「自立」という概念、つまり「障害の種別や程度にか かわらず、障害者自身が自分で自分の暮らし方、生き方を決めること」が 確立してきました。
 1日24時間という限られた時間で、時間がかかっても自分でできること は自分でやる道を選ぶのか、時間のかかることは人の手を借りて、作り出 した時間を様々な活動や仕事の時間に当てるのかはその人が決めることで す。
 それを自分で考えて選ぶのが自立であり、援助を受けることと自立する こととは対立する概念ではないはずです。

 今回の障害者自立支援法案では、精神障害者の通院公費負担制度の廃止 ということ一つとっても、「制度に依存していないで自分でできることは 自分で」という考えが透けて見えます。
 でも、そもそも不安を強く感じやすい精神障害者の方たちに新たな不安 を植え付けることが、結果として「自立」を阻むことになるということに は思い至らないのでしょうか。
 グループホームについても、障害程度に応じて、障害の重い人は共同生 活介護、中・軽度の人は共同生活援助、軽度の人は福祉ホームか居住サポ ート事業という新体系に概ね5年かけて移行するとしていますが、現在障 害程度が異なる人たちが暮らしているグループホームの入居者は、希望し なくても、別々のホームに移動することになります。
 単に制度が変わったからと言って、慣れ親しんだ環境を離れなければな らなくなるのです。
 また、加齢にともない障害が重度化したときに、慣れたホームで暮らし たいと本人が望んでも介護給付のホームに移らなければならないことにな ってしまいます。
 長い人生の間には一時的に障害が重くなってしまうこともあります。
 障害が変化するたびに住む場所を転々としなければならないのでは、安 心して暮らすことはできません。
 これでは、自己選択を基盤とした「自立」という概念が逆戻りしている のではないか、という不安があります。
 国会においてしっかり審議をしていく必要があります。



■ノルウェー国会委員長と懇談




 2月9日、ノルウェー国家の家族・文化・行政委員会委員長であるソニ ア・イレーネ・ショーリ議員が私を訪ねてきてくださいました。

 2003年夏にノルウェーを訪問したときにお会いしたのですが、今年は日 本・ノルウェー修好100年に当たり、札幌の雪祭りでノルウェー国会議 事堂が造られたことから国会議長団の一人として訪日されました。

 男女共同参画という点では日本よりもずっと前を走っているノルウェー ですが、「家庭における父親の役割」が大きなトピックになっているそう です。
 4週間のパパ・クオータ制は80%の男性が利用するようになったとのこ とですが、「一夜にしてここまできたわけではない」と私たちを激励して くださいました。

 日本における少子化や児童虐待などについても話し合いましたが、家庭 を取り巻く状況については、やはり労働時間の短さ(つまりは日本の労働 時間の長さ)が本質的な違いにつながっていると感じました。
 また、日本における育児休業中の所得保障の不十分さにも注目しておら れ、「それでは父親が育児休業を取れないではないか」とおっしゃってい ました。

 私は子ども家庭省設立準備ワーキングチームの座長をしていますが、ノ ルウェーは子ども家庭省の先進国です。
 日本で子ども家庭省を作るために情報提供やアドバイスがほしいという ことを伝えると、帰国して必ず大臣に伝えて役に立ちますと喜んでくださ いました。



■女性議員プラスワン会議発足




 2月10日には、女性議員プラスワン会議発足会が開かれました。
 これは、民主党の女性地方議員が中心となって立ち上げられたもので、 「あなたの地域にプラス1の女性議員を!」という趣旨のものです(もち ろん、1人増えればまたプラス1、とどんどん増やしていくという趣旨で す)。

 日本では現在、育児・介護の9割を女性が担い、同時に経済活動を担っ ています。
 しかし、国会における女性議員の割合(衆議院では7.1%、参議院で は13.6%)も先進国中最低ですし、地方議会においてはさらに深刻な 状況です(都道府県議会では6.9%、町村議会では5.6%)。
 女性議員がゼロの県議会が2県、一人の県が8県もあります。
 これでは当然、女性の声は政治には届きません。また、今の日本の行き 詰まりを打開するためには、女性の視点が必要だと私は常々思っています。
 女性議員プラスワン会議の設立趣旨から抜粋すると、「これは、それぞ れの地域で、生活と社会参加の双方を同時に担っている女性議員をさらに 一人プラスしていこうという取り組みであると同時に、女性議員一人ひと りが福祉や教育、子育てなどのテーマをもって行動し、分権時代にふさわ しい地域行動を巻き起こしていこうという呼びかけでもある」ということ になります。

 13時からの発足会には岡田代表も出席され、その後、16時からは有 楽町で街頭演説、そして夜には川端幹事長の出席を得て懇親会が行われま した。
 全国から民主党女性地方議員約60名が集まり、栃木からも山田みやこ 県議が参加してくれました。

 全国から集まった個性豊かな、そしてエネルギーあふれる女性議員の皆 さんを見て、「女性の元気が社会を変える」ということをつくづく感じま した。
 また、女性議員(候補者)が直面する様々な悩みを共有し、「男社会」 の議会で孤立しがちな女性議員を支えていくことができれば、ますます女 性議員を増やしていけるはずだと感じました。
 なお、この女性議員プラスワン会議は、女性地方議員の方たちの自主的 な取り組みという位置づけになっており、私たち男女共同参画委員会は側 面から支援するという役割になります。女性議員プラスワン会議の世話人 代表は、宮城県議の遊佐美由紀さんになりました。



■小児慢性特定疾患




 改正児童福祉法のうち4月から施行される小児慢性特定疾患の部分につ いて、厚生労働省の課長が経過報告に来てくださいました。

 私は質疑や附帯決議において、保護者の手続きを簡略化してほしいとい うことにこだわりましたが、私の要望どおり、償還払いの申請も郵送でで きることになったそうで、ほっとしました。後は現場の自治体でその趣旨 をどの程度理解してもらえるか、ということです。
 うまく運用されていない実態などありましたら、ご連絡ください。  



■予算委員会




 予算委員会で、自民党議員が民主党の議員について誹謗中傷としか呼ぶ ことのできないおかしな議論を展開したことについては、まさに国会の質 が落ちるところまで落ちたという感想を持っています。

 本来、国会審議というのは立法府の国会議員が行政府に質問をすること であって、国会議員同士が攻撃をし合うところではないはずです。
 「民主党も自民党に対してやったではないか」という意見があるようで すが、民主党は政治とカネの不祥事の解消をめざした制度改正を提案し、 その必要性を実証するために個別ケースを取り上げ、証人喚問を求めてい るということをご理解いただきたいと思います。
 また、与党の質問の場合、答弁者は政府ですから、どんな言いがかりを つけられても野党の議員には反論する場がありません。それをテレビカメ ラの入ったところで延々とやられてしまうのはやはり公正とは言えません。

 この自民党のやり方は、細川内閣時代の野党・自民党を思い出させる、 と岡田代表は言っていましたが、自民党が民主党に対してかなりの危機感 を持っている証拠であるとも言えるでしょう。
 ただ、国会の本来のあり方を大きく逸脱した議論を続けていると、政治 そのものへの不信がますます高まることが問題です。

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「水島広子と歩む会」からのお知らせ
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■水島広子と歩む会第2回総会

日 時 2005年2月26日(土)午後4時30分から
場 所 ホテルニューイタヤ 桜の間
    宇都宮市大通り2-4-6 TEL.028-635-5511
参加費 無料


■水島広子と歩む会2005年躍進のつどい
日 時 2005年2月26日(土)午後6時00分から
場 所 ホテルニューイタヤ 天平の間
    宇都宮市大通り2-4-6 TEL.028-635-5511
参加費 5000円(着席パーティー形式)
    (事前にお申し込みいただけますようお願いいたします。)

 お問い合わせ・お申し込みは水島広子と歩む会事務局(水島広子事務所内)
TEL.028-649-6600 FAX.028-614-1134 までお願いいたします。
 なお、躍進のつどい参加費は事前に集金に上がらせていただきます。





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