国会報告 その194(2004.06.18発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回、発行しております



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国会報告(6/13〜6/17)



■ 通常国会閉会



 6月16日、150日間に及んだ通常国会が閉会となりました。
 私自身にとっては、児童虐待防止法の改正をしたことが最大の成果でし たが、立法活動は、このほかにも筆頭提出者となって議員立法2本を提出 しました。
 民主党「次の内閣」の大臣として毎週の「閣議」に出席するのも初めて の経験でした。私は「雇用担当大臣」ですが、閣議のメンバーとなったこ とで、参院選向けのマニフェストにも、私が従来から主張してきた子ども 関係の政策(子ども家庭省、子ども手当、子ども有害情報)を入れ込むこ とができました。
 「雇用担当大臣」として、予算委員会で初めての質問をしたのも今国会 でした。そこで取り上げた若年雇用の問題については、関心を持ち続け、 参院選向けのマニフェストに大きな柱として加えることができました。 (後述)
 このほか、年金や青少年政策についての委員会質問も繰り返しました。

 通常国会は、「年金国会」でもありました。2001年の男女共同参画 調査会長時代から、民主党の年金案作りには関わってきましたが、衆議院 の厚生労働委員として、4月からは全面的に年金審議に全力投球しました。
 「未納問題」や党内政局へと議論が大きく逸れていく中で、政府が約束 しているという「50%」が、実態を伴わないものであることなど、法案 そのものの審議をするように努めたつもりです。でも、審議時間が十分に 確保されなかっただけでなく、私が衆議院段階で得た「年金支給開始年齢 の引き上げは考えていない」という大臣の答弁が、参議院ではさっさと翻 されるなど、結果として「何のための国会審議だったのだろう?」という 疑念がますます膨らんでいます。 

   全体を振り返って、ただでさえ形骸化した国会が、最後の「建前」まで 失った国会だったように思います。 
 もともと日本の政治は官僚主導ですから、三権分立そのものが形骸化し ているのですが、それでも、何か大きなポイントではそれなりに国会で騒 ぎが起こることによって世論を喚起する程度の効果はあったと思います。
でも、今回は、多国籍軍に自衛隊を参加させるという、歴史の転換点とも なるような判断を、法改正もせずに、国会で審議もせずに、いとも簡単に 実現しようとしています。 

 また、年金審議を強行に終えてから出生率のデータが出てくる、政治家 というよりも人間としての問題発言を大臣がする、総理大臣自らが厚生年 金に違法加入していたことが明らかになる、厚生労働副大臣や厚生労働委 員長が「年金の未納はない」と国会でウソをつく、というようなひどい事 態が次々と起こりながら、どれ一つとして政治の自浄作用が発揮されなか ったことには本当に驚いています。 
 日本人は政治の腐敗に慣れっこになってしまって鈍感だと言われていま すが、それにしても、ここまで鈍感になってしまうと、民主主義国家で生 きていく資格も失ってしまうのではないかと思ってしまいます。
    せめて、参議院選では、民主主義国家として日本が存続できるような結 果が出ることを祈るのみです。



■ 家西知加子さんを招いて



 6月13日には、宇都宮に家西知加子さん(家西さとるさんのパートナ ー)をお招きして「水島広子と語る会」を開きました。家西知加子さんの 誠実な人柄がにじみ出て、とても良い会でした。

 家西さとるさんは、「命を削ってよく頑張りますね」と言われるたびに 違和感を抱くそうです。家西さんは、「命を削って」「命をかけて」政治 をやっているのではなくて、「生きるために」政治をやっているのだ、と いう意識を強く持っているからです。それほど、家西さんの命は政治によ って損なわれ、振り回されてきたのです。
 でも、実はほとんどの人にとって、政治は「生きるため」のものである はずです。家西さんが一生懸命取り組んできた薬害の問題にしても、「一 部のかわいそうな人たち」の話ではありません。誰でも被害に遭いうる問 題なのです。誰でも、病院にかかるときには「ここで治療を受けて良くな りたい」という思いでしょう。そのときに投与される薬剤の安全性を確保 する仕事というのは、全ての人に関係のあることなのです。
 そして、それは薬害の問題にとどまりません。薄っぺらな小泉首相がブ ッシュ政権に追従してしまうことで、日本人であることのリスクは明らか に高くなっています。日本が国際社会の一員である以上、将来的には誰も がツケを払わされ得る問題なのです。 

 全ての人が家西さんのように「生きるために」政治に関わってくれれば、 政治は明らかに変わるはずなのですが。政治家になると瞬く間に変わって しまう人も少なくない中で、当事者である家西さんは変わりようもありま せん。間違いなく、信頼できる政治家だと思います。
 私も選対事務局長として引き続き頑張ります。



■ メアリー・ハーベイ博士講演会



 ウィメンズハウスとちぎの主催で、6月13日に、メアリー・ハーベイ 博士の講演会が宇都宮で開かれ、私もホスト研究者として参加しました。
ハーベイ博士は「心的外傷と回復」で有名なジュディス・ハーマン氏と共 にトラウマの被害者プログラムを始めた方で、現在ケンブリッジ病院暴力 被害者プログラムの主任をされています。特に地域におけるDVへの理解 の乏しさに直面することが多いため、こうした啓発活動は本当に価値があ ると思っています。
 DV対策の先進国のアメリカですが、やはりブッシュ政権になってから は揺り戻しが起こっているとか。現場で取り組む人たちにとっても、政治 はやはり重要です。



■ 若年雇用政策



 6月11日、パート労働者の均等待遇水新法案と共に、マニフェストに 新たに盛り込む若年雇用政策についても記者発表をしました。

 若年の雇用状況はかなり深刻です。私も2月の予算委員会で質問いたし ましたが、昨年はついに失業率が10%を超えました。
 そんな中、私たちの若年雇用政策は2本の柱からなります。
 一つは、「希望する若者に自立とマンツーマンの就労支援を」。失業扶 助制度のない日本では、雇用保険に加入した経験のない若者は、親がかり で居続けることしか選択肢がありません。私たちは、マンツーマンのカウ ンセリングを基本として、職業訓練を含む3ステップの就労支援策を考え ていますが、このコースに参加することを条件に、若年就労支援手当を支 給することを決めました。このことによって、経済的に自立しながら就職 活動をすることができます。
 今の日本の制度では、親が子どもを自立させたいと思っても手段があり ません。育児や介護とともに、自立支援も家族が担わされているという社 会構造だと思います。

 もう一つの柱は、明確な就労意欲のない若者向けです。学校にも行って いない、就職もしていない、職業訓練も受けていない、という「ニート」 の若者は、15歳から24歳でも30万人はいると推測されています。
 ニートの特徴の一つは、「自信のなさ」です。そんな人たちに就労に向 けて一歩を踏み出してもらうためにも、職安やジョブカフェに「場」を作 って集まれるようにし、ピアカウンセリングなどを行えるようにしようと しています。また、様々なバックグラウンドを持つ個人アドバイザーを確 保して、ニートの相談にも乗れるようにしていこうと考えています。
 中学2年時に5日間以上の職場体験を全ての子どもができるようにする ことも重要な柱です。
 さらに、義務教育段階からキャリア教育を充実させること、義務教育段 階で、労働関係の法令を、実際に働いたときに役立つ形で教えること、と いう仕組みも作りました。 

 若年雇用を全体に見渡してみると、雇用の確保が問題である一方で、働 いている若者については働き過ぎという現象も指摘されています。二極化 が進み、どちらの若者も「仕事と私生活の両立のバランス」を欠いてしま うのだとしたら、かなり深刻な問題だと捉えています。 
 今回のマニフェストを第一歩に、この領域にはますます取り組みたいと 思っております。



★参院選の間、国会報告はお休みします★

 6月24日、参院選が公示となります。公職選挙法の規定により、選挙 期間中の政党の広報活動は制限を受けますので、定例の街頭演説および国 会報告の発行はお休みとさせていただきます。選挙後の7月17日(土) より再開いたします。集会のお知らせなどはホームページ「イベント」欄に掲載します。

★お勧め!★

 家西さとるさんの妻・知加子さんが記した「希望の子」(発行:株式会 社ワニブックス 定価 1400円)






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