国会報告 その193(2004.06.14発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回、発行しております



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国会報告(6/6〜6/12)



■ 出生率1.29 !



 日本の昨年の出生率(1人の女性が生涯に産む平均の子どもの数)がつ いに1.29まで下がりました。政府が2年前に行った最新の人口推計に よると、出生率は2007年に1.31まで落ち込むが、その後上昇して 1.39程度で安定するはずでした。
 当然、問題になるのは政府の人口推計を土台に組み立てられた年金改革 法です。今回、政府は戦後史上初の暴挙をもってこの法案を無理やり成立 させたのですが、その政府案は、出生率が1.39で安定することを前提 に組み立てられていました。
 この大切な数を年金審議の間には公表しなかったことについては大問題 です。審議の中では、出生率の最新データを出すように再三求められてい たのに、出さなかったのです。今回、新聞に情報が漏れて慌てて公表する ことになったわけですが、新聞記事がなければ国会閉会後まで公表を遅ら せるつもりだったようです。
 坂口大臣は、マスコミに情報が事前に漏れたことに対して「それ相応の 処罰を」と言っているようですが、ここまで情報を隠して年金審議を押し 切ったことについての「処罰」はどうなるのでしょうか。
 年金審議については、一貫して情報隠しが問題になってきました。厚生 労働省は確信犯的に情報開示の約束を破り、情報を隠してきました。そし て、成立後には最大の致命的な問題が明らかになったのです。国会が国権 の最高機関などではないということが改めて浮き彫りになりました。

 出生率が影響を与える問題は年金だけではありません。高齢者の医療や 介護なども、現役世代が高齢世代を支える仕組みです。社会保障政策だけ でなく、経済や社会の活力にも直結します。
 後述しますが、ノルウェーの出生率は1.85まで回復しているそうで す。日本の「超少子化」現象は明らかに政治の責任であって、それを放置 するどころか隠して年金審議をするのですから開いた口がふさがりません。



■ ノルウェー子ども家庭省 



 6月9日、ノルウェー大使をお招きしてノルウェーの子ども家庭省につ いての話を聞きました。 
 子ども家庭省については、昨年の夏にノルウェーを訪問して直接副大臣 や局長に話を聞いてきましたが、今回はさらに子ども家庭省の権限につい て質問しました。ここのところ、青少年担当の特命大臣なる小野清子議員 への質問を通して、すっかり「形だけの担当相」の無意味さを感じていた からです。 
 大使の説明によると、全ての省庁に子どもの問題を扱う部署があるそう ですが、各省庁が子どもの問題に関して計上している予算を子ども家庭省 に報告する義務があるそうです。予算の報告を受けることを通して、政府 全体がどの程度子どもの問題に取り組んでいるかを子ども家庭省は知るこ とができて、そこで包括的なリーダーシップを発揮していくことができる ということなのです。確か、私がノルウェーを訪問していたときのニュー スでしたが、子ども家庭大臣が、各自治体が保育のための補助金を別の目 的に使う場合は補助金の削減をすることを決めた、というようなことが報 道されていました。明らかに、大臣の存在感がありました。 
 ノルウェーでは大変大きな力を持っている子どもオンブードも、機構と しては子ども家庭省の予算下にあります。 

 男女平等も、子ども家庭省の大きな仕事の一つです。ノルウェーではす でに公的セクターでの40%クオータ制がありますが、これを民間セクタ ーにも広げようとする(民間企業の役員における女性の割合を40%以上 にする)法案が審議される予定だ、ということを昨夏現地で聞きました。 大使に改めて確認したところ、これは未だに法律になっていないようです が、期限までに達成できなければ法律にする、という条件を作ったため、 各企業が現在自助努力で女性役員をかなり増やしているということでした。 

 これだけの抜本的な努力を続けて、ノルウェーは出生率を1.85まで 取り戻してきたということを思えば、日本がやるべきことも明らかだと思 うのですが。  
 「次の内閣」での私の主張が認められて、マニフェストに「子ども家庭 省」の設立を盛り込んでもらえることになりました。



■ パート均等待遇法案提出 



 パート労働者の均等待遇推進法案を6月11日に衆議院に提出し、記者 会見を行いました。 
 パート労働者の均等待遇推進法案については、昨年2月の「次の内閣」 で骨子が了承され、その後、「処遇が異なることの合理的な理由と考えら れるものは何か」という指針づくりも含めて、法案化作業を続けてきたも のです。 
 ヨーロッパでは職務概念が発達していますので、「職務が同じであれば 待遇も同じ」という均等待遇原則が適用されやすい社会環境にあります。 でも、日本は、企業を超えた職務概念が発達していないため、まずは骨格 となる法案を作り、指針については具体的な事例の積み重ねの中でコンセ ンサスを得ていくという作業が必要だと思っています。 

 パート労働者の均等待遇を法律にしようという努力は今までもありまし たが、かなり難しい議論の領域でした。今回は、理想を訴えるよりも現実 性をとって法案化作業をしました。  

 なお、パートの法案と同時に、マニフェストに新たに盛り込む若年雇用 政策についても記者発表を行いました。こちらについては、紙面の関係上、 次号でお知らせします。



■ 厚生労働委員会で質問しました



 6月8日、厚生労働委員会で質問をしました。
 国会は年金の強行採決をめぐって異常な状態になっていましたが、衆議 院では特に厚生労働委員会でとんでもないことが起こっていました。
 6月4日の衆議院本会議で厚生労働委員長の解任決議案の採決が行われ たのですが、この本会議が終わるやいなや、与党の厚生労働委員の走る姿 が目撃されました。野党の議員には知らされていないところで、何と、厚 生労働委員会が開かれたのです。
 当たり前のことですが、委員会が開かれるときには各委員に連絡が来ま す。公報に載っている時間ならいざ知らず、急に設定された委員会の連絡 をもらわなかったら、どうやって委員会に出席できるのでしょうか。こん な卑怯なやり方は議員になって初めて経験しました。
 さて、そうやって勝手に開かれた委員会で、児童手当法改正案が審議さ れ、勝手に採決されてしまいました。
 6月8日朝に行われた与野党国対委員長会談の結果、6月4日に行えな かった民主党と社民党の質問を補充した上で本会議の審議に臨む、という 方針が決まったそうです。そこで、11時頃になって、急きょ13時15 分から質問するように、と言われたのです。

 こんな経緯でしたので、私も大臣も準備の余裕がないままに臨んだ質問 になりました。
 質問の中では、井上発言、DVと児童扶養手当に関する行政の対応の他、 児童手当法改正案に関して、民主党の子ども手当政策の方がずっと本質的 に子育て支援になっているのだということを説明しました。これをよりよ くわかってもらうために、民主党の子ども手当をマニフェストに明記して もらうよう、「次の内閣」で求めました。



■ 南河内町集会



6月9日、南河内町で「水島広子と語る会」を開き、多くの方にご参加を いただきました。簗瀬進さんのパートナーと、家西さとるご夫妻をゲスト にお招きしました。薬害の問題は特殊な人の話ではなく誰にも明日にも起 こる問題であって、厚生行政の根幹に関わる問題なのだということを少し でも多くの方に理解していただきたいと思っております。



★お勧め!★

 家西さとるさんの妻・知加子さんが記した「希望の子」
(発行:株式会社ワニブックス 定価 1400円)


★定例街頭演説の時間・場所変更のお知らせ★

   初当選前から月曜日の朝の街頭演説を続けてまいりましたが、5月15 日からは毎週土曜日の街頭演説(14時〜二荒山神社前。第一土曜日のみ、 上三川・南河内)とさせていただいております。
 引き続きよろしくお願い申し上げます。





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