国会報告 その169(2003.12.08発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(12/01〜12/07)


★足利銀行問題について★



■足銀問題で金融庁よりヒアリングおよび党内討議




12月3日、東京に行き、民主党の財務金融部門会議において、足利銀行 (以下、足銀と略)問題について金融庁の検査局、監督局の各課課長から の聞き取りをしました。
思ったとおり、金融庁の姿勢にはいろいろと問題を感じました。
まず、これほど大きな事件が起こっているというのに、とりあえず最初に 用意してきた資料は新聞を読んで知っている程度のものばかり。民主党の 議員たちから追加資料の要請があって、初めて提出を了解するという状態 でした。官僚が情報を開示したがらないという特徴は以前から知っていま したが、議員が無能だと、このまま納得させられてしまうのだろうな、と 改めて背筋がゾッとしました。

また、預金保険法第102条第6項の規定に基づいて国会に提出された報 告書の書きぶりも、見事に金融当局の責任を回避するような内容です。
たとえば、「平成15年11月29日、株式会社足利銀行から金融庁に対し て、平成15年9月期決算において債務超過となる旨の報告があり(中略) 旨の申出がなされた」とシンプルに書かれています。
この表現は、そっく りそのまま、内閣総理大臣の談話にも採用されています。確かに、手続き 上は、足銀が預金保険法の適用を申請した形となっているわけですが、足 銀を債務超過と判断して破綻させたのは金融庁です。
足銀側の言い分は、 「あと2年半で改善するから待ってほしい」というものだったと知事から 聞いています。後述するように、私は、金融庁の検査体制にも大きな問題 があると思っていますので、この報告書の書き方も釈然としません。
さらに、これは、金融庁の官僚の問題というよりも自民党政権の問題です が、地域金融を政策上特別のものとして考えることができていない、とい うことも改めて明確になりました。



■足銀とりそなとの違い




今年の5月に経営不振が発覚したりそなグループでは、預金保険法102 条の一号措置を受けました。一号措置は、追加資本増強であり、今回足銀 が受けた三号措置(一時国有化)とは本質的に異なり、りそな銀行は生き 残り、株主責任も問われず、公金が二兆円注入されて、そのまま再建を目 指しているわけです。
一号が適用されるか否かは、銀行が債務超過に陥っているかどうかで決ま ります。りそなの場合、金融庁は「債務超過ではないが自己資本不足」と して一号措置を適用したわけです。12月3日には、主要行の中間決算関 係資料も見せてもらいましたが、その中のりそなのデータを見ても、本当 にりそなは債務超過ではなかったのか?ということは今でも疑問です。

足銀の場合は、「債務超過」という評価で、三号措置を受けたため、株価 は事実上ゼロになり(株主はあしぎんファイナンシャルグループ《足銀の 持ち株会社》の株を持っており、足銀の株を持っているわけではありませ んが、あしぎんファイナンシャルグループの主要子会社である足銀が国有 化されてグループと無関係になったため、実質上、グループの株価もゼロ になるという理屈です)、株主を直撃します。
また、経営権は一時的に国に移るわけですが、今後、どのような銀行が受 け皿になるのか、債権のうちどれほどがRCC(整理回収機構)にいくの か、先行きが見えない不安な状態です。

足銀とりそながなぜ違う扱いを受けたのか、「債務超過」か否かを金融庁 のさじ加減で決めてよいのか、といった本質的な問題はすでに議論の対象 となっていますが、ここで、検査の頻度について問題提起したいと思いま す。

足銀は過去に公的資金の注入を受けた銀行です。その後、2001年には 無配転落を公表し、問題のある金融機関だということは周知の事実でした。
それなのに、金融庁の検査は2年に1度と、他の地銀と同様で、前回の検 査は2001年の7月に検査結果通知が出されたのが最後だったわけです (8月には要改善命令が出されています)。今年3月の決算については監 査法人は「妥当」と承認しています。でも、金融庁の検査では「債務超過」 という判断になっているわけです。りそなの場合は、監査法人が今年3月 の決算で繰り延べ税金資産の資本算入を5年から3年に減額し、「自己資 本不足」と判断されました。さらに、金融庁の頻繁な検査(大手行として の毎年の検査に加えて2年連続で特別検査を実施)も、経営見直しを促進 したと言えます。

足銀の場合、監査法人は「妥当」としていたのに、今回の金融庁の検査で 突如つぶされた、ということになります。公金を過去に投入している銀行 なのですから、もっと頻繁に検査をして、こんな不幸な事態を防ぐべきた ったのではないでしょうか。そもそも、1999年、2000年、と、公 金を投入したときの判断はどうだったのか、など、問題点は次々と湧き出 してきます。
いい加減な金融行政の中で、結局は栃木県民が、公金投入で血税を奪われ、 「県の経済のため」と増資に応じた善意を踏みにじられ、さらに、これか らは足銀ショックによる県内経済冷え込みの恐怖におびえなければならな い、というのはあまりにも理不尽です。今の日本の政治を象徴する事態で す。

足銀問題については、閉会中であっても重要なテーマであるということを 民主党が主張し、12月4日に衆議院で、5日に参議院で閉会中審査(国 会閉会中に開かれる委員会)が行われました。
この審議の中で、与野党とも栃木県選出の議員が質問をしましたが、政府 の方針を覆すことはできませんでした。
与野党の姿勢が一見似ているため、一部メディアでは「与野党とも地元族 議員化」などと書かれているようですが、民主党はあくまでも地域金融と いう全国共通の政策問題を論じているということをご理解いただきたいと 思います。



■足銀問題でもデマ?




足銀問題で地元と東京を往復する中、「水島さんは選挙中の演説で、 『足銀への公金投入は無駄』と主張していたと聞いた。こんな人を応援し ていたと思うとショックだ」という声が事務所に届けられてビックリしま した。ご本人のもとにうかがって直接お話をさせていただき、誤解はとけ たのですが、それにしても、総選挙のときには足銀問題はまったく話題に なっていなかったわけですから、一度も演説の中で取り上げたことはあり ません。どの演説のどの部分を聞き違えられたのか、驚きました。

民主党では、地域金融の問題には特に力を入れてきました。金融アセスメ ント法案については以前にも皆さまにご紹介いたしましたが、今回の選挙 のマニフェストにおいても、担保に偏らずにキャッシュフロー(お金の流 れ)に重点を置いた中小企業向けの金融政策を明記してあります。地域金 融は、まさに地域経済の血液です。スムーズに循環しなければ、地域が死 んでしまいます。
選挙の中ではこういうことを訴えていたのですが・・・。




★赤松良子さんの叙勲お祝い会に参加★

12月6日(土)、東京で開かれた赤松良子さんの叙勲お祝い会に参加し ました。
赤松良子さんは、元文部大臣として知られていますが、私が推薦をいただ いているWIN WINの代表を務められています。
赤松さんが秋の叙勲で受けられたのは「旭日大綬章」ですが、これは今ま で「男子に限る」とされていたものだそうです。
今度の叙勲から制度が変 わり、赤松さんが女性として初めての受勲者となられました。文部大臣、 ウルグアイ大使としての功績のほかに、「女性の地位向上に貢献」と受勲 理由が挙げられており、赤松さんは「これが一番うれしい」と言ってくだ さっています。
叙勲制度については政治的な議論が必要ですが、赤松さんの多年にわたる 男女共同参画への貢献が評価されたこと、そして、何であれ「男子に限る」 とされていたところに女性の先輩が参画されたことを、まずは素直に喜び たいと思っています。
赤松さん、本当におめでとうございました。

お祝い会には、会場提供者の下村満子さんをはじめ、樋口恵子さん、堂本 暁子さんなど、男女共同参画の大先輩が多く出席されていました。
イラク状勢を見ても、今こそ女性の政治参画が大きく求められていると思 います。
男女共同参画の民主党をしっかりと売り出すように、先輩からの注文をい ただきましたので、菅代表にすぐに電話して伝えました。






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