国会報告 その153(2003.7.28発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(7/19〜7/26)


★国会報告 7月19日(土)〜7月26日(土)



◆民主党と自由党との合併



7月23日の菅直人・小澤一郎会談で、両党の合併についての合意書に署 名が行われ、翌24日の民主党両院議員総会でその方針が了承されました。 多くの方にとって突然の合併話だったのではないかと思います。私自身、 概要を知らされたのは22日の夜でした。
両党の「合流」については、鳩山前代表の強い希望もあり、菅体制になっ てから両党間の協議が進められてきました。
そして、統一会派を、という民主党側の結論を、自由党が受け入れなかっ た、という経緯があります。
その後も、政権交代という目標は変わりませんから、選挙協力は積極的に 進めてきました。

今回の合併話はその延長線上にあるものと受け止められますが、以前の合 流話とは意味合いが違います。
私は、合流について岡田幹事長に意見聴取をされたときには極めて慎重な 姿勢を示しましたし、この国会報告でも「合流に反対」と書いてきました。 それは、当時、政策面での協議が行われないままに合流話が進められてい たということに強い違和感を抱いたからです。
今回は違います。以下に、菅さんと小澤さんが交わした合意書を転記しま すが、その中で、「合併後の新政党の規約、政策、マニフェスト等は現在 の民主党のものを継承する」ということが明記されているからです。民主 党の政策や実績を自由党の方たちがそれなりに評価して合併を受け入れて くださる、というのは、支持基盤を広げたい民主党としては拒む理由など あるわけがありません。

「野合」「数合わせ」などと批判しているメディアもあるようですが、政 策協議はきちんと行われて決着がついている、ということをぜひご理解い ただきたいと思います。



◎民主、自由両党の合併に関する合意書

日本は経済、政治、社会のあらゆる分野で弱体化し、進むべき方向性を見 失っている。その最大の原因は、政治が真の意味での指導性を発揮してい ないことにある。
今日の自民・公明連立の小泉政権に真の指導性を期待す ることができないことは、この二年間の小泉政治を見れば誰の目にも明ら かである。日本再生のためには、自民党内の総理交代ではなく、政権与党 と総理を替える本格的政権交代が何よりも急務である。
平成五年の細川政治改革政権により、政権交代可能な小選挙区中心の選挙 制度が導入されたが、その後の二度の総選挙では野党間の選挙協力体制が 構築できず、政権交代は実現していない。「仏作って魂入れず」の状態に ある。よって両党は「小異を残して大同につく」覚悟で、左記のように合 併することで合意した。


              記

一、民主、自由両党は平成十五年九月末日までに合併する。
二、両党合併に伴う存続政党は民主党とし、現在の自由党は合併と同時に 解散する。
三、合併後の新政党の代表は民主党の菅直人代表とし、新政党の運営は現 在の民主党執行部によって行う。
四、合併後の新政党の規約、政策、マニフェスト等は、現在の民主党のも のを継承する。
五、総選挙の候補者調整及び擁立は、平成十五年九月の両党合併までに完 了させる。なおその際、小選挙区の候補者調整については、前回小選挙区 で当選した者及び比例区との重複立候補で当選した者のうち、惜敗率の高 い者を優先することを原則とする。
六、両党の合併を円滑に実現するために、両党は速やかに両党幹事長を責 任者とする「合併準備委員会」を設置し、合併準備を進める。

        平成十五年七月二十三日
             民主党代表 菅直人  自由党党首 小澤一郎





この文書は、どうやら菅さんが自らワープロで打ったようです。
今回、菅さんは、見事なほど情報を漏らさず、しかも幹事長などとは腹あ わせをしながら、合併話をしっかりとリードしてきました。代表になって から半年あまり、いろいろなことを言われながらも、目的意識を持ってが んばってきた菅さんらしい英断だったと私は評価します。
「小泉改革」なるものに失望した財界の方たちからも、大きな期待が寄せ られているようです。
自民党政権では不可能なことで、明らかに国民のためになることを、しっ かりと掲げて政権交代につなげていきたいと思っています。



◆仕事と家庭の両立支援法案を提出しました



7月17日12時半、衆議院事務総長に仕事と家庭の両立支援法案を提出 しました。
民主党の労働政策をアピールするためにも、年齢差別禁止法案を提出する 加藤公一議員とそろって行動しました。
同じ日のうちに、厚生労働省で記者会見を行いました。
育児休業の分割取得可能(育児休業を分けて取れるので、父親が育児休業 をとるハードルが低くなる)、パパ=クオータ制(両親がそろっている家 庭では、両親のそれぞれが育児休業をとれば1ヶ月長くとれる)、看護休 暇の請求権化(子どもが病気になったときに休む権利ができる)、育児期 間中の勤務時間短縮制度(完全な育児休業をとるのではなく、短時間の労 働を選択できる)などの特徴を持っている私たちの法案は、2001年当 時からほとんど変わらず、今回、有期雇用の方に関する部分だけ若干の修 正をしました。
この法案については、記者の方から、「これが成立すれば理想的ですけど、 現実には難しいですよね」という意見が出ていましたが、決して不可能な 内容を法案化しているつもりはありません。
成立に向けて、とにかく廃案にされないように努力していきたいと思って います。



◆鴻池大臣問題のその後



7月23日、青少年問題特別委員会の理事懇談会の席で、「小泉首相を呼 んで委員会を開いてほしい」という要求をしました。
前回の委員会で、なぜ青少年問題についての知識も実績もない鴻池さんが 青少年担当大臣に任命されたのか、という質問に、鴻池大臣が「総理に聞 かないとわからない」と答えたためです。
また、鴻池大臣は、内閣委員会で「子どもの権利条約にそって対応するの は承服しかねる」と答弁しておきながら、それを翌日の青少年問題特別委 員会で指摘されると、「そんなことは答弁していない」と言いました。こ の2つの発言の矛盾が、速記録によって明らかになり、この点でも大臣の 責任が問われることになりました。

結論は「委員長一任」ということになりましたが、私は、その日の党首討 論で菅さんにこの問題を取り上げてもらおうと考え、早速菅さんに連絡を 取りました。党首討論まで2時間というときでしたが、「どうしても重要 な問題だから」と頼み、最終的には党首討論の冒頭でこの話題に触れても らいました。
「与党は犯罪被害者に関する立法を怠っておいて、そのことへの国民の憤 りを、加害者への野蛮な報復感情にすり替えている」という私の主張(な かなかメディアではこうした観点からこの問題を捉えてくれませんが)を 菅さんにしっかりとアピールしてもらうことができました。
民主党が提出している「犯罪被害者基本法案」についても、党派を超えて 実現したいということを小泉首相に約束させました。

さらに、7月25日、内閣不信任決議案の趣旨弁明を菅さんがしたときに も、鴻池さんを大臣に任命した責任に言及してもらうよう頼み、実現しま した。
内閣不信任案の提出によって、私が求めていた「小泉首相を呼んでの青少 年問題特別委員会」は幻のものになってしまいましたが、党首討論、本会 議での趣旨弁明、とできるだけのことはできたと思います。
次の国会でもまだ鴻池さんが大臣を務めているようでしたら、まともな大 臣を求めて引き続きがんばってまいります。



◆党首討論とイラク特措法



7月23日、今国会最後の党首討論が行われました。
前述したように、その冒頭では子どもの問題に触れてもらいましたが、大 方はイラク特措法についての議論になりました。
中でも、小泉首相の最大の問題発言は、「非戦闘地域などあるのか」と菅 さんに問われて、「そんなこと私にわかるわけがない」などと開き直った ことでしょう。
自衛隊をイラクに派遣することに私たちは反対ですが、政府は、「非戦闘 地域にしか自衛隊は出さない。だから合憲だ」と言い張っています。でも、 イラクでは全土がゲリラ戦の状況にあるとアメリカも認めているのです。
そんな中で、「非戦闘地域」なるものをたてに、とにかくブッシュ政権の 機嫌をとるための法律を作ろうとする政府の姿勢を見ると、「この政治が 大変な時期に、何をやっているのだろう」と深刻な危機感を抱きます。
何とか今国会中の法成立を阻止しようと参議院を中心に努力しましたが、 残念ながら成立してしまいました。
実際に自衛隊がイラクに送られる前に、 解散・総選挙をもって政権交代するしか道は残されなくなってしまいまし た。

◆憲法調査会総会で発言しました。



7月24日(木)、憲法調査会総会で発言しました。
私はこの通常国会から憲法調査会のメンバーになったので、議員同士の 「自由討議」など、憲法調査会ならではのやり方を興味深く見てまいりま した。
でも、せっかく参考人を招いて一定の議論の方向性が示されても、次の総 会が開かれると、また元に戻って従来の主張を繰り広げる人がいるのは、 何とか改善できないのだろうか、と問題提起をさせていただきました。
たとえば、憲法に「家族を大切に」ということを書き加えるべきだ、とい う意見がこの日の総会でもまた出されたのですが、道徳を法律にしてしま うと逆効果になる、ということはすでに小委員会でも議論されたことです。
前の議論に新たな視点を提示して、建設的に議論をやり直すというのなら 良いのですが、どうも、国会における議論というのは「砂の城」のような 感じがします(拙著「国会議員を精神分析する」にもそんなことを書かせ ていただきました)。
「大変僭越な意見を申し上げて失礼いたしました」と最後に述べたところ、 中山太郎会長が「大変貴重な意見をいただきありがとうございました」と 言ってくださいました。



◆欧州視察について



7月31日〜8月9日、青少年問題特別委員会の派遣で、イギリス、ノル ウェー、デンマークの視察に行ってきます。
派遣団の国会議員は青山二三 委員長、森田健作与党筆頭理事、私の3名で、野党からは私ひとりの参加 となります。ノルウェーでは、家庭・子ども担当の大臣にもお会いできそ うです。保育、教育のあり方をはじめ、薬物依存、少年犯罪などについて も現場を視察できるよう、準備しているところです。

「選挙がありそうなのに大丈夫?」と心配してくださる声もいただきます が、野党筆頭理事としての重要な仕事ですので、しっかり視察をし、国政 に反映させられるよう、皆さまにもご報告してまいりたいと思っておりま す。

なお、視察中のため、8月4日の国会報告の発行はお休みとし、8月11 日にまとめてご報告させていただきたいと思います。



◆天王祭に参加しました



7月19日、恒例の天王祭に参加しました。
3年前に続き、今年もお神輿 の上に立たせていただきました。高所恐怖症ではあるのですが、大変名誉 なことですので、しっかりと頑張りました。
宇都宮に移ってから知った楽しみの一つが地域のお祭りです。

子どもたちの問題を解決するひとつの鍵がここにあると思っています。




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