国会報告 その149(2003.6.30発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




国会報告 バックナンバー|HOME

国会報告(6/22〜6/28)



■6月22日(日)〜28日(土)



通常国会の会期延長後は、イラク新法の審議は連日行われていますが、私 が所属する委員会では、法務委員会のみが一般審議・法案審議(与党議員 立法の商法および株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律改正 案)と続けているだけで、あとは、審議よりも議員立法や政策立案作業が 中心の毎日になっていますので、この1週間の活動の主なものを、トピッ クごとにご報告したいと思います。



◆男女共同参画社会を考えるとちぎ県民の集い



6月22日、男女共同参画社会を考えるとちぎ県民の集いに参加しました。
これは、男女共同参画社会基本法が公布・施行されたこの時期に、毎年開 かれているものですが、今年は4月から男女共同参画推進条例が施行され ているというタイミングでもあり、ワークショップなども伴い充実したも のになりました。
記念講演には、日経新聞編集委員の鹿嶋敬氏がきてくださいました。

私は、挨拶の中で、私が取り組んでいる政策領域のすべての背後に男女共 同参画の問題があると指摘しました。
年金、税制、労働、医療、子育て、 という問題だけではなく、たとえば、犯罪の問題を考える上でもジェンダ ーの問題を考えざるを得ないものです。
私も法務委員として更生保護施設の視察に行ったことがありますが、刑期 を終えた人が更生しようとしても、炊事・自活能力がないため生活が不規 則になり再びアルコールに走って再犯に至る、というケースが少なくない そうです。
「男子厨房に入らず」では治安も悪くなる、ということは案外 知られていないのではないか、と話しました。



◆仕事と家庭の両立支援法案



この法案は、育児休業・介護休業法の改正案として、2001年に私たち が提出したものですが、先日、労働基準法改正によって有期雇用(契約社 員)の契約期間の上限が1年から3年に延びたことを受けて、育児休業の 取得対象から原則としてはずされていた有期雇用者(契約社員)が育児休 業を取得できるよう、微修正して再提出しようとしています。法制局との やりとりはほとんど完了し、現在、党内の手続きに入ったところです。
政 府・与党の掛け声だけの「次世代育成支援」ではなく、実質的な次世代育 成支援を打ち出しております。



◆パート労働者の均等待遇を確保するための法案



パート労働者が、単にパートであるということだけによって差別されるこ とがないように、均等待遇(同じ職務内容であれば時間あたりの待遇は同 じとするもの。
もちろん、責任の重さや、働いている時間帯など、待遇を左右する合理的 な理由は考慮する)の実現に向けて、民主党の法案作成責任者として2月 末に法案の骨子をまとめました。
その後、他党との協議と、法制局の方た ちと法案化の作業を進めています。
あといくつかクリアーしなければならない点はありますが、作業は順調に 進んでいます。



◆児童虐待防止法見直し作業



6月17日(火)に青少年問題特別委員会の理事懇談会が開かれる予定で したが、会期延長をめぐって国会が空転したため、開かれなくなりました。

現在は、視察の日程に関して与野党の筆頭理事間で内々に協議が行われて いるところですが、視察地をめぐって意見が対立しています。
与党側は視 察地を東京に、と主張しており(手軽に視察できるから、らしい)、私は 地方を視察すべきだ、と主張しています。

東京や横浜などは、まだ虐待問題への関心も高く、独自の助成もあったり して、やはり特殊な土地ということになると思います。
児童虐待防止法を 制定するときの視察地も東京だったと聞いており、「法律」を考える以上 は、全国のいろいろな地域の事情を配慮する義務があるため、今回はなん としても地方の視察にすべきだと考えています。

どうも内々の協議で落ちつけることのできるレベルを超えたようなので、 理事懇談会で堂々と協議したいと思っています。
また、万が一、委員会で の視察が東京になってしまうようなら(多数決でいけばそうなりそうです が)、民主党として地方視察をしなければならないと思っています。



◆児童買春・ポルノ禁止法の見直し作業



与党で了承された改正案についての議論が民主党でも始められました。
与党の改正案の概要は、以下のようになっています。

1.児童買春・ポルノに対して厳しい態度で臨むことの宣明
(1)児童買春・ポルノ法が児童の権利の擁護を目的とすることをより直 接的に表現
(2)目的のいかんを問わず、児童ポルノの製造、所持(保管)、運搬、 輸出入が許されないことを明記。
ただし、他人に提供する目的を有しない 所持(単純所持)等についての罰則は設けない。

2.施行状況を踏まえた法定刑の引き上げ
 悪質な事案に対して厳しい刑罰を科すことを可能にするとともに、社会 に対して、このような犯罪が強い非難に値することを明らかにする。
●懲役刑の上限の引き上げ(児童買春、児童ポルノ頒布等、児童買春周旋・ 勧誘:3年→5年、
 児童買春周旋・勧誘を業とした場合:5年→7年)
●罰金刑の上限の引き上げ(児童買春:100万円→300万円、 児童 買春周旋・勧誘、児童ポルノ頒布等:300万円→500万円、 児童買 春周旋・勧誘を業とした場合:500万円→1000万円)
●懲役刑と罰金刑の任意的併科の新設(児童買春周旋・勧誘、児童ポルノ 頒布等)

3.条約上の義務に対する対応等
(1)国際的動向を踏まえた立法であることを法律の目的で明示
(2)処罰法規の新設(サイバー犯罪条約と子どもの権利条約の選択議定 書に基づく)
●児童ポルノの画像データ(電磁的記録)の提供(サイバー犯罪条約)と これを目的とした「保管」の犯罪化(子どもの権利条約)
●特定・少数の者に対する「提供」(サイバー犯罪条約)とこれを目的と した「製造」・「所持」等の犯罪化(子どもの権利条約)
●「児童に姿態をとらせて児童ポルノを製造する行為」の犯罪化(子ども の権利条約)


児童買春や児童ポルノについては、子どもの権利という観点からももっと 厳しく取り組むべきだと私は考えていますが、常に、警察による恣意的運 用を避けるような配慮を怠ってはならないと考えています。


◆DV(ドメスティック・バイオレンス;家庭内暴力)防止法の見直し作業



民主党の男女共同参画政策会議で勉強会を始めることになりました。
私が 男女共同参画政策会議の座長ですが、この法律はもともと参議院の共生調 査会が母体となって作られたものであり、改正も参議院先議で行われるだ ろうという見通しの元、神本美恵子参議院議員に政策会議の事務局長代理 に就任していただき、連携をとっていくことにしました。



◆学童保育



6月27日(金)の子ども政策会議で、全国学童保育連絡協議会の方たち からヒアリングをしました。
昨年も同じようにヒアリングをし、私自身も国会活動の中で学童保育の問 題に取り組んできましたが、今年もまたご意見をうかがう機会を作らせて いただきました。

学童保育はここのところ確かに増えてきています。
それでも、学童保育がまだ1ヵ所もない市町村が3割弱あります。
また、小学校数と比べた学童保育の設置率はやっと6割で、保育園を卒園 した子どもの半数以上が入所できておらず、母親が働いている小学校低学 年児童(末子)のうち、学童保育に入れている子どもは、まだ4分の1程 度です。
定員のある学童保育では待機児童問題があり、定員のない民間の学童保育 では大規模化が進んでおり深刻な問題になっています。

数を増やさなければならないとともに、質の拡充も重要な問題です。
この 問題は、私自身も委員会の質問で取り上げたことがありますが、学童保育 は、「施設」という位置づけではなく「事業」という位置づけであるため、 最低基準がありません。
今回、全国学童保育連絡協議会の皆さんが、「私たちが求める学童保育の 設置・運営基準」という提言をまとめてくださいました。

対象児童を、小学校6年生までとする(現在は主に3年生まで)、
1学童 保育の上限を40名とし、超えた場合は2ヶ所目を設置する、
施設基準と して生活室・プレイルーム・静養室・事務室・台所設備等を設ける、
広さ の基準を設ける(生活室・プレイルームともに子ども一人あたり1.98 ?以上とする)、
指導員の配置基準を設ける(専任・常勤・常時複数配置、 子ども30名までは2名以上、40名までは3名以上とする)、
指導員の 公的資格を創設する、
ということなどが規定されており、大変参考になる 内容です。また、子どもが健全な試行錯誤をしながら成長できるようにす るためには、傷害保険、賠償責任保険への加入も重要な問題です。

今までもがんばってきましたが、ご意見を踏まえて、さらにがんばってい きたいと思っています。



◆集団レイプ問題



太田誠一衆議院議員がシンポジウムで「集団レイプをする人はまだ元気が あるからいい」などじと発言したという問題に、強い憤りを感じています。
衆参女性議員懇談会(超党派)の有志でも、抗議行動を行いました(与党 の女性議員にも呼びかけましたが、返事はなかったそうです)。
太田氏は、 「被害者はもちろん、すべての女性の尊厳を著しく傷つけた。不愉快な思 いをさせ、まことに申し訳ない」などと陳謝し、事実を認めたそうです。

性犯罪は、被害者に対して、一生克服できないほどの傷を与えます。
「冗 談」や「大人の対応」で許されるレベルの話ではありません。犯罪の中で も特に卑劣で悪質なものを、「元気がある」とは、失言とも呼べるもので はありません。

太田議員は、自民党の有力議員ですが、今までにも、選択的夫婦別姓を強 硬に反対したり、児童虐待防止法制定時にも「親による懲戒権」に強くこ だわったことで知られていました(ちなみに太田氏は私が当選したときに は青少年問題特別委員会の与党筆頭理事でした)が、まさかここまでの人 権感覚だとは、とあきれ返っています。
議員としてはもちろんのこと、社会人としての資質の問題だと思います。




国会報告 バックナンバー|HOME