国会報告 その147(2003.6.16発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(6/8〜6/14)



■6月8日(日)・6月9日(月)


地元日程。



■6月10日(火)


朝の新幹線で東京へ。
今日は法務委員会。
担保物権及び民事執行制度の改善のための民法改正案について、午前と午 後、それぞれ参考人審議。

11時に、米国人の共同研究者が来室。摂食障害やメディアの問題につい ての打ち合わせ。

その後、児童虐待防止法の改正を求める全国ネットワーク主催の、第二回 緊急シンポジウム「STOP! 児童虐待 〜子どもと家族の現状から日本の 未来を考える〜」に出席。
地元栃木を含めて、よく存じ上げている方たちがいらっしゃって熱気に溢 れていた。
児童虐待をテーマにした漫画「凍りついた瞳」の原作者、椎名篤子さん (栃木県足利市在住)にもお会いできて感激。「凍りついた瞳」は、読み やすい漫画の形をとっているが、虐待の現場についてよく知らない方にと っても、とてもわかりやすく問題点を表現しているもの。旧シリーズはす でに単行本になって久しいが、新シリーズも間もなく単行本として出版さ れるとのこと。大変心強い存在だ。

12時40分から代議士会。
13時から本会議。

本会議散会後も法務委員会。

15時からは総括副大臣会議。

16時に厚生労働省の方が来室され、明日の質問に向けての質問取り。

その後、衆議院法制局の方が、仕事と家庭の両立支援法案の修正版をもっ て打ち合わせに来られる。
先日、労働基準法改正案が衆議院を通り、有期雇用の方の契約上限が原則 1年から3年に引き上げられた。これに伴い、私たちが2001年に作っ た仕事と家庭の両立支援法案も微修正しなければならなくなったため、現 在作業中。だいたいできあがったので、今後、党内の手続きに入っていく ことになる。



■6月11日(水)


9時20分から厚生労働委員会で質問。次世代育成支援対策推進法案と児 童福祉法改正案について。
今回の法案を作るに当たって、施策が遅れている自治体の事情などを聞い たのか。今回の法案が成立することによって、新たな事務作業ばかりが増 えて、税源はこない、ということでは、自治体をかえって混乱させること にはならないか。
300人以上の従業員数の事業所だけを対象とし、正社員の方たちだけを 対象としているのでは、実際の子育て当事者である若い女性たちの多くが 対象外となってしまうのではないか。

その他、60分にわたって様々な質問をした。

今日、確約をしてもらったのは、「子育てをする全ての家庭の支援」とい うのは、「平均的な家庭」という意味ではなく、母子家庭、障害児を持つ 家庭、障害者が親となっている家庭、など、様々な事情を持った家庭「全 て」のことだ、というのを、自治体向けの指針を書く上で明確にしてもら うこと。

当初予算と補正予算という2段組のために、福祉関係の予算が当初予算で 大幅にカットされて自治体を不安にさせる(そして、「政治家の力」なる ものが顕示されて、政治の質が落ちる)という慣習をなくすよう、小泉内 閣の姿勢を改めるよう小泉総理にはっきりと言う、ということを坂口大臣 に約束してもらった。

詳しくは後日議事録をご参照ください。

午前中は、法務委員会も開会中。
刑務所問題の集中審議。

11時から、子ども政策会議。
国際ECPAT名誉議長(初代議長)のオグレディ氏(ニュージーランドの方) が来日されているので、今日は特別ゲストとしてお招きした。
ニュージーランドにおいては、子どもポルノについての捜査権限は警察で はなく内務省にあるそうだ。
というのは、警察は、あらゆる問題に取り組まなければならないため、女 性や子どもに関する犯罪の優先順位は低くなってしまう。テロや殺人事件 が起こってしまうとそちらに主力が注がれてしまう。
そのため、子どもポルノの担当を独立させている、ということだ。
子どもポルノの問題を摘発することは、子どもの性的虐待の問題も摘発す ることにつながる。
ニュージーランドでは、最近刑罰が引き上げられた。ポルノ製造は懲役 10年、所持は懲役2年(1件2年なので、件数によってはもっと長くな りうる)。また、裁判官への教育訓練も行われているという。
日本の児童買春・ポルノ法見直しに向けて、参考になるお話をうかがうこ とができた。

12時から、国対役員・筆頭理事合同会議。

党本部に移動して、13時から役員室会議。

国会に戻り、午後の厚生労働委員会へ。

15時からは党首討論。

16時から厚生労働委員会再開。
最後の質疑の後、次世代育成支援対策推進法案、児童福祉法改正案につい て、採決。
審議の中で浮き彫りにされた問題点について、私が附帯決議を読み上げ、 賛成多数で採択された。

委員会終了後、18時8分の新幹線で宇都宮へ。

佐藤栄県議の当選祝勝会。

再び東京へ。



■6月12日(木)

8時から外務・安全保障合同部門会議およびイラク問題等プロジェクトチ ーム会議。
民主党イラク調査団(末松義規議員、首藤信彦議員、若林秀樹議員)によ る現地調査報告。

9時から憲法調査会総会。
高松地方公聴会についての報告の後、統治機構の在り方に関する調査小委 員会(財政)についての報告と自由討議、基本的人権の保障に関する調査 小委員会(基本的人権と公共の福祉)についての報告と自由討議。
この後、「安全保障と憲法」を中心として、今国会での議論を振り返って 自由討議。

私も発言をした。
安全保障問題を考える上では、「人間の安全保障」という視点を持ってい くことが重要。そのためには、いろいろな心のバリアを払っていく必要が ある。
「国家の主権」ということを声高に訴える方たちは、個人については義務 規定を明確にする必要性を訴える、という相関が高いと感じる(全議員が アンケートに協力してくれれば多分実証できるだろう)が、矛盾を感じる。
先日の基本的人権に関する調査小委員会での小林参考人の意見は、安全保 障を考える上でも示唆に富む。押しつけられる公ではなく、一人一人が積 極的に気持ちよく参加できる公共を育てていくことが大切。
その他、いろいろと意見を述べた。

詳しくは後日議事録をご参照ください。

赤坂に移動して、昼は国のかたち研究会。

国会に戻って、12時40分から代議士会。
13時から本会議。
人事案件7名と、法案13本の採決。
このうち、保険業法の改正案については、野党各党から反対討論が行われ た。
この法案は重要なものだが、スペースの関係上、次号で詳しく触れたい。



■6月13日(金)


今日は厚生労働委員会と法務委員会。
厚生労働委員会は、公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係 法律の整備に関する法律案についての審議。
法務委員会は、担保物権及び民事執行制度の改善のための民法改正案の審 議。

13時から、市民・子ども部門の人権政策会議。
性同一性障害の戸籍性別訂正について、家族と共に生きるGID(性同一性障 害)の会からヒアリング。
性同一性障害(女性であるのに男性の身体で生まれてきてしまう、男性で あるのに女性の身体で生まれてきてしまう)の方たちは、いくら手術を受 けて身体の性を転換しても、戸籍上の性別を変えられないため、様々な苦 労をされている。
今回、ようやく与党でもこの問題への関心が実を結び、 戸籍性別訂正についての議員立法案が作られた。そのこと自体は良いこと なのだが、「子どもを持っていないこと」が条件としてつけられている。 その根拠は、子どもから見て、昨日までお父さんだった人が今日から急に お母さんになる、というようなことでは、子どもの権利侵害になるのでは ないか、というような論拠らしい。

実際に、性同一性障害で子どもを持っている方はいる。
そもそも、性同一 性障害が医師によってきちんと診断される障害であるということが知られ るようになったのは、ごく最近のことだ。だから、自分の性別に違和感を 感じる人たちは、その違和感を乗り越えようとして、また、周囲からのア ドバイスを受けて、「結婚してみれば変わるのではないか」「子どもが生 まれれば変わるのではないか」というような気持ちで、結婚をし、子ども をもうける、ということをする。でも、障害は障害であって、もちろん個 人の努力で変えられるものではない。
現実の生活では、戸籍上男性となっていても、こうした人たちは「母親」 として子どもにも接し、地域社会でも女性として活動している。今回の法 改正によって、「昨日までお父さんだった人が今日から急にお母さんにな る」というようなことではないのだ。
ここが、いつもながら国会の「机上 の空論パターン」なのだな、と感じる。
今日のヒアリングでは、性同一性障害の母親(現在の戸籍上は父親)を持 つ青年もこられた。
「僕たちの家族には何の問題もない。僕という子ども が存在しているために母が女性になれないのだとしたら、自分にとっての 負い目となる。家族の大切なメンバーである母のために、法改正を望むの は自然な気持ち」と述べられた。
その通りだと思う。
また、「障害者のぶんざいで子孫を残すなということか」という、この条 項の優性思想を指摘した方もいた。

これと全く同じ構造の問題が国会では繰り返されると感じている。つまり、 全体としてみれば一歩前進と評価できるものでも、一部の人たちを今以上 に追いつめることになりかねない、というような立法が行われる、という ことだ。
選択的別姓を、これから結婚する人にのみ適用しようとする考えもこれに 似ている。ただし、別姓の場合、この条件を逃れようとすれば「ペーパー 離婚」という手段もあるが、子を持つ人が「子どもを持たない」という条 件を満たすことは、どうやってもできない。

厚生労働委員会と法務委員会は午後も続き、それぞれ採決まで行われた。

夕方の新幹線で宇都宮へ。



■6月14日(土)


地元日程。




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