国会報告 その145(2003.6.2発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(5/25〜5/31)



■5月25日(日)

10時から、宇都宮の自衛隊駐屯地の記念行事に参加。
有事法制が衆議院を通過した直後のタイミングなので、自衛隊の雰囲気は どうだろうということも気になって参加したのだが、来賓挨拶がなかなか 特徴的だった。

与党議員は、当然のごとく、
「日本の主権と国民の生命財産を守るため・・・」という挨拶。
民主党の議員は、それぞれ、「有事法制は衆議院を通過したが、この法律 を使わずにすむようにすることが政治家の責任」「民主党の修正によって、 国会が緊急事態を終結させられる、シビリアンコントロール(市民による 統制)の仕組みが法に盛り込まれたことは本当に良かった」というような 挨拶。

私自身は、「この1年間、世界の各地で、また罪のない命が奪われた。子 どもたちは、生まれながらにして、前の紛争の遺物である先天異常などを 負わされた上、大人を信じて安心して成長する環境すら与えられない、と いう地域がまだまだ存在している。私たちは、世界規模での、本当の意味 での、一人一人の人間の安全保障ということを、真剣に考えなければなら ない」という趣旨の挨拶をした。

その後、問屋町のびっくり市や会合。



■5月26日(月)

7時45分から恒例のマンデーリポート。

9時半から、定例の事務所内打ち合わせ。

昼は事務作業や告別式。

夕方は会合。



■5月27日(火)

8時28分の新幹線で東京へ。

11時に厚生労働省の方たちが来室し、質問取り。
明日は、厚生労働委員会と、内閣委員会で、それぞれ比較的長時間の質問 をする予定。

12時40分から代議士会。
13時から本会議。採決3法案。

本会議終了後、法務委員会。仲裁法案の審議。

14時半から、質問取り。超党派議員立法である「少子化社会対策基本法 案」の審議なので、法案提出者である民主党の五島正規議員と肥田美代子 議員、衆議院法制局の方、さらに、関連質問のために厚生労働省、内閣府 の方たちが来室。

16時に、里親子支援の市民グループである「アン基金プロジェクト」の 方たちが来室。明後日の青少年問題特別委員会に参考人としてお招きして いるが、児童虐待防止法の改正に向けての意見交換をする。

里親については、私は昨年、宇都宮で里親による虐待死事件が起こった直 後に厚生労働委員会で質問をしている。そして、里親を支援する体制が貧 弱であるということを、大臣から答弁として引き出した。
このことによって里親の方たちは大変喜んでくださっているそうだ。こち らから見れば当たり前のことであっても、今まで、里親の方たちはとかく 色眼鏡で見られてきたらしい。虐待死事件のときにも、「これだから里親 は・・・」と言われることを最も懸念したそうだ。

子どもの虐待問題に関わっている私から見れば、里親は自分の家を提供し て子どもを育ててくださるありがたい貴重な存在だ。そんな里親の方たち が偏見を持って見られているということは、大変悲しい現実だと思う。全 力で是正していかなければならない。

夜は、朝日新聞社の方たちと、拙著「国会議員を精神分析する」の慰労会。



■5月28日(水)

10時から厚生労働委員会で質疑。
労働基準法改正案に関して、有期雇用の部分について質問。

有期雇用についての本格的な質問は確かこれが初めてだが、実は、あまり 注目されていないがかなりの大改正が行われることになる。その根拠もい い加減であれば、ますます正社員から契約社員への代替が進ことへの歯止 めの措置もない、ということが審議の中で明らかになった。

また、専門職の契約期間は、今回の改正で3年から5年に上限が延長され る。途中で、外国の研究機関などに招聘されて移る場合には、損害賠償金 を支払わなければならない事態も起こってくる。一方、私立大学の教員と いう形であれば、1年以上たっていればいつでもやめられる仕組みになっ ている。この矛盾をどう考えるのか。

このほか、多くの点について質問をしたが、論点が多すぎて、とても全て 質問しきることができなかった。詳しくは後日議事録をご覧ください。

12時から、国対役員・筆頭理事合同会議。

13時から、内閣委員会で質問。
少子化社会対策基本法案について法案提出者(主として自民党の中山太郎 議員)に、また、関連して文部科学省と厚生労働省に質問した。

まず、法案の名称が、「少子化社会対策基本法案」ではなく、「次世代育 成支援基本法案」であるべきではないか、ということ。少子化社会対策と いうのであれば、外国人労働者の問題であるとか、年金制度のあり方であ るとか、そういったことも全て含めて考えなければならない。今回の法案 はそのうちの次世代育成支援についての提案のみである。

また、今回の法案が「産めや殖やせや」になることに歯止めをかけるため の条項が必要であると述べた。産みたくても産めない人、産みたくないの に産まされて子どもを虐待してしまう人、という存在に配慮した法案でな ければならない。この点は修正を強く希望した。

このほか、幼稚園と保育園の問題に関して、子どもたちを縦割り行政から 解放して、希望する子どもたち全てに家庭以外の居場所を、というかねて からの訴えを申し上げたり、地域における男女共同参画の問題について質 問をした。

詳しくは後日議事録をご覧ください。

その後、法務委員会へ。こちらは名古屋刑務所問題の集中審議を朝から続 けている。

19時から懇親会。



■5月29日(木)

8時から医療問題プロジェクトチーム。
再診料等の逓減制見直しについて、また、保険者と医療機関の個別契約 (閣議決定された、規制改革推進3カ年計画)について、厚生労働省より ヒアリング。

診療報酬は、昨年の4月に逓減制が導入されたばかりだが、今回(6月1 日から)、さっさと見直されることになった。まさに朝令暮改だ。逓減制 の導入もかなりの問題があったが、今回、あっさりと方針転換することに よって、ますます無駄な医療が増えるかもしれない。それも、方針転換の 理由として挙げられているものは、昨年、私たちが指摘したものばかりだ。

8時50分から青少年問題特別委員会理事会。
9時からは委員会。
今日は児童虐待防止法改正に向けての参考人招致。

全国児童相談所長会会長、全国児童用ご施設協議会会長、アン基金プロジ ェクト事務局長坂本和子さん、日本子どもの虐待防止研究会理事の平湯真 人弁護士が参考人として来てくださった。
私も参考人に対する質疑を行った。

今回の改正のポイントは、親権の柔軟で多様な制約(現在は、親権喪失と いう究極の選択しかない)、虐待をした親への心理的援助(親は加害者で あると同時に被害者であることが多く、ケアによって子育て機能を取り戻 すこともあるが、現在は、ケアを受けることが義務づけられていないため、 親がケアの手前で拒否をしてしまっている)、児童相談所、児童養護施設、 里親など、虐待に関わる人たちを量・質ともに拡充すること、そもそもの 虐待の発生を予防する仕組みづくり、といったところが主なものだと思う。
これらの点について、現状や考えについて各参考人に質問した。

詳しくは後日議事録をご覧ください。

同時間帯に憲法調査会総会が開かれているが、短時間の出席しかできず。

昼は赤坂に移動して国のかたち研究会。

12時40分から代議士会。 13時から本会議。 採決2法案および国会移転に関する特別委員会からの報告。
国会移転については、私は候補地(栃木・福島)の議員として、国会の場 当たり主義に振り回される地方の悲哀を現実として味わっている立場だ。

この問題についての私の考えは、「東京への一極集中」という問題の本質 は、日本の中央集権的システム(ソフト面)にこそあるのであって、首都 がどこにあるかという物理的な問題ではないというものだ。

税源の委譲をきちんと盛り込んだ地方分権システムが成立して初めて、国 会をどこに置くか、という議論も意味が出てくる。そもそも、現在熱心に 誘致活動をしている各候補地の方たちも、地方分権が制度上きちんと確立 して、各地方にそれぞれの活気が出てくれば、 「国会さえここに来れば・・・」という気持ちも減じるだろう。

そろそろ民主党は、この問題が、中央集権システムを手放したくない与党 側の巧妙な「論点のすり替え」に利用されている、ということを指摘すべ きではないだろうか。

14時半に法務省の方が来室。法務省提出法案についての説明。

15時に厚生労働省の方が来室。臓器移植の問題について。

16時から、少子化社会対策基本法案についての修正打ち合わせ。

党本部に移動して、17時半から両院議員懇談会。
自由党との合流問題について執行部から詳しい説明。

今日も夜は懇親会。



■5月30日(金)

今日も午前中は厚生労働委員会と法務委員会が開かれている。
厚生労働委員会は、労働基準法改正案の審議。
法務委員会は、仲裁法案の審議。

11時からは議員会館で、児童虐待防止法改正に向けてのシンポジウムが 開かれているため、数分のみ顔を出して激励。

法務委員会では、12時頃、仲裁法案の採決が行われた。

12時40分から代議士会。
13時から、本会議。
同意人事の採決の後、保険業法の一部改正案について、竹中大臣から趣旨 説明の後、各党より質疑。
生保の予定利率を引き下げる問題法案だが、一つの通常国会に、同じ法律 の改正案が二度かかるというのも異常事態。これは単に、統一地方選を意 識した与党の都合だと言われているが、党利党略もここまでくるとひどい ものだ。

16時16分の新幹線で宇都宮へ。

18時半からは山田みやこ県議の選対解散式。



■5月31日(土)

地元日程。会合やミニ集会。


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