国会報告 その122(2002.12.2発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(11/24〜11/30)



■11月24日(日)

小山に移動し、10時からトランポリンの選手権大会。

その後、宇都宮に戻って、恒例の問屋町びっくり市。食品衛生上の観点か ら夏の間は控えていたが、先月からタイの汁そば屋台が復活している。ア フガン難民への募金活動なども着々と実行できており、毎月ボランティア の皆さんには本当に頭が下がる思いだ。

18時からは会合。
20時すぎ、会合の会場を出て、車に乗ろうとしたところで足をくじいた。
道の脇がかなり急に傾斜している地形で、傾斜の角に車が止まっているよ うな構造になっていたようなのだが、真っ暗だったために何も見えず、車 に乗ろうとすると左足が大きく外転するような状態になってしまった。痛 みを感じながら帰宅し、まあ一晩寝れば治るだろうと思っていたのだが。



■11月25日(月)

恒例のマンデーリポートに行くため起床すると、昨晩よりもさらに足が痛 くなっており、とても歩けない状態。レントゲンをとらないと現状はわか らないが、少なくとも捻挫はしているのだろうから、ここで無理をしない 方が予後が良いだろうと判断して、マンデーリポートは断念。事務所スタ ッフとボランティアの方たちに国会報告のチラシ配りのみしていただく。

整形外科を受診すると、圧痛の様子からは「下駄骨折」(下駄の鼻緒が切 れて起こっていた骨折。昔はよくあったらしい)の疑いがあると言われて ドキリとしたが、レントゲンを撮ってみると、骨折線は見えず、捻挫でし ょうということだった。通常捻挫をする靱帯とは違うということで、ギプ スで固定しきれないとのこと。痛みを我慢すると治りが遅れるということ なので、ギプスを作っていただいた上に、松葉杖を貸していただく。

なにしろ歩く仕事なので、一日も早く回復しないと困る。受傷直後の今日 は本格的に安静を保つことにし、足の血流が増えるように、足を上げてお く。会合も代理出席とさせていただく。
なお、松葉杖をついて委員会や本会議に出席するためには、届け出が必要 である。凶器になりうるから、というのがその理由。国会議員なのだから そんなに固いことを言わなくても、という意見もあるが、「水かけ事件」 や、先日の殴り込み事件などを見ると、国会議員であっても凶器への配慮 は必要であるような気もする。
数日間、ということで届け出をすると、今国会中は有効だとのこと。翌日 の公報に「今国会中、松葉杖使用許可」と載ったため、いったいどんな大 けがをしたのかと心配してくださった議員もいたようだ。
松葉杖に許可のステッカーでも貼るのかと思ったら、必要ないそうだ。
「衛視に徹底させます」とのこと。国会特有の非効率を感じてしまった。



■11月26日(火)

昨日の安静のおかげで、足は明らかに快方に向かい、かかと歩きができる ようになった。
松葉杖をついて、9時45分の新幹線で東京へ。途中でいろいろな方に会 い、心配して声をかけていただいたり、「気をつけてね」と笑われたり。 これは、国会に着いてからも同じで、のべ100回くらい、 「どうしたの?」と聞かれて「軽い捻挫です」と答えただろうか。恥ずか しいやら、ありがたいやらである。

11時から厚生労働部門役員会議。
11時半から、臨時の厚生労働部門会議。独立行政法人国立病院機構法案 について。

12時40分からの代議士会に出席しようと歩いて行ったが、歩く速度が 遅かったため出席できず。
13時から本会議。弔詞奉呈報告と採決1法案のみですぐに終了。

本会議終了後、法務委員会。
会社更生法案について。

17時半から取材。

明日の厚生労働委員会で急きょ拉致被害者支援法案の審議が行われること になったという連絡が厚生労働委員会の山井理事よりあり、質問の希望を 聞かれた。この審議においては、残留孤児など、同じように帰国した他の 人たちへの支援状況も振り返る必要があると私は考えており、このところ 熱心に残留孤児の問題に取り組んでいる菅直人さんに是非質問に立ってほ しいと私の考えを伝える。
「菅さんですか」と驚いておられた山井さんは、その後直接依頼をしに行 ってくださったらしい。後で連絡があり、菅さんが質問を引き受けたとの こと。ありがたい。

まだ足を安静にしたいので、夜の日程はキャンセルして、事務所で事務作 業。

東京泊。


■11月27日(水)

8時から厚生労働部門会議。
各種事務連絡。
高齢者医療制度改革について厚生労働省よりヒアリング。
民主党障害者政策案について。
独立行政法人国立病院機構法案の附帯決議案について。

10時から厚生労働委員会。
独立行政法人国立病院機構法案について、採決及び附帯決議。

心神喪失者医療観察法案および我々が提出している法案について、法務委 員会への連合審査会開会申し入れについて了承。

その後、拉致被害者支援法案(北朝鮮当局によって拉致された被害者等の 支援に関する法律案)に関しての審議。法案そのものは委員長提案として 審議を省略されるが、関連して審議すべきことがあると我々が主張して実 現したもの。形式は一般質疑である。

菅直人さんの質問はやはり秀逸だった。日朝交渉の問題、拉致被害者の家 族への配慮の問題など、拉致関連の質問を安部官房副長官に鋭く尋ねた後、 拉致被害者と同様、自らの意思とは関係なく国外にいざるを得なかった残 留孤児の方たちの年金問題について質問をされた。今回の拉致被害者支援 法案では、日本にいなかった期間の国民年金の保険料を国が負担する形を 提案している。これは当然のことだろう。でも、残留孤児の方たちの場合 は、国は、国庫負担分の3分の1しか負担しない。従って、年金受給額に 見事に響いてくる。言葉も仕事もままならず、残留孤児の帰国者の方たち は、6割が生活保護を受けていると言われている。残留孤児の方たちにつ いても、同じような配慮をすべきではないか、というのが菅さんの主張。
坂口厚生労働大臣は「戦時中と平時の違い」を強調していたが、それなら 軍人の恩給はどうなるのだ、と菅さんに鋭く切り返されていた。本当の政 策通は、質問の組立も上手だし、その場での議論の進め方も上手だ。 質問の上手な議員を見ると、勉強になる。

この後、自由党の質疑の時間に騒ぎが起こる。今日の審議は、昨日の夕方 に突然決まったものだが、与党がどうしても今日でなければ困ると主張し て実現したらしい。それなのに、与党席はガラガラ。今日は被害者の家族 の方も傍聴に見えており、マスコミも多数入っているというのに、本当に 恥ずかしい。こんなことでは審議はできないと自由党の議員が主張し、委 員長は「定足数は満たしていますので・・・」と進めようとしたが、野党 の議員とわずかな与党議員で定足数を満たしているのだから、野党議員が 退室すればすぐに定足数は割れる。
このことを指摘すると、しばらく審議がストップする。

この後、法務委員会に移動。こちらは一般質疑。
12時に、心神喪失者医療観察法案に対する与党修正案の趣旨説明があり、 法務委員会は散会。
その後、厚生労働委員会に戻って、拉致被害者支援法案の採決。全会一致 で可決。

午後は、神奈川8区で、補選における唯一の女性候補者として健闘された 折田明子さんとともに、挨拶まわり。

17時から取材。

今日も夜は事務作業にとどめ、東京泊。



■11月28日(木)

8時から、司法と精神医療の連携に関するプロジェクトチーム。
与党修正案に関して、全国自治体病院協議会、日本精神神経学会、日本精 神保健福祉士協会よりヒアリング。

9時から法務部門会議。
各種事務連絡。
成年年齢の引き下げ等に関する法律案(成年年齢を18歳に引き下げるも の)、盗聴法廃止法案について。いずれも、過去に提出して廃案になって いるものだが、今国会でも改めて提出する。
死刑廃止議連で検討をしてきた死刑廃止関連法案(死刑と無期刑の中間刑 としての特別無期刑の創設、両院に死刑臨調(死刑制度臨時調査会)の設 置、死刑臨調での議論中は死刑の執行を停止)について。通常国会での提 出見込み。

名古屋刑務所集団暴行事件について法務省よりヒアリング。

11時から取材。

政局が複雑になってきたので、若手議員数名で、11時半から昼食をとり ながら情報交換。

12時40分から代議士会。
13時から本会議。採決6法案。

15時に、先輩医師が来室。漢方研究について、支援体制に関する情報交 換。

16時に法務省と厚生労働省の方たちが来室して、明日の質問のための質 問取り。

17時半に文部科学省の方たちが来室。不登校に関して、文部科学省の取 り組みの現状の説明を聞く。

その後、来客など。

東京泊。



■11月29日(金)

おかげさまで足はだいぶ回復した。まだ本調子ではないが、今日からはギ プスもはずして歩けるようになる。

8時から、司法と精神医療の連携に関するプロジェクトチーム。
前半は、イタリア・トリエステ地方の精神保健の現状について、トリエス テ精神保健センター副所長のブルーノ・ノルチョ博士よりヒアリング。
イタリアでは精神病院を全廃した(急性期の患者については、一般病院の 精神科病床や精神保健センターに入院する)が、そのきっかけになった先 進的な地域ケアが行われているのがトリエステである。
世界の脱施設化の流れを背景に、トリエステの医師バザーリアが改革に乗 り出した。1961年以降、家族と関わる地域密着型の試みを始め、若い 医師や看護師、ボランティアが加わり、患者が何を必要としているのかを 一緒に模索し、重症患者もリハビリで地域生活が可能となったという。
司法と精神医療の連携については、精神障害を持っていても責任能力を認 める方向に変化してきているそうだ。そして、刑務所内であっても、 医師・看護師・ソーシャルワーカーなどに訪問してもらう権利を持ってい る。また、一定期間刑務所から出て地域ケアに身をゆだねるやり方もある そうだ。

やはり、私たちが民主党案で提案している内容は正しいことが確認できた と思う。重要なのは、司法と精神医療の連携を適正にすること、地域で精 神障害者を支える仕組みをきちんとしていくこと、であるのは間違いがな い。
その点を、今日から再開する審議の中でどれだけ確保していけるかが問わ れていると思う。

9時過ぎからは、与党修正案について、当事者の方たちからヒアリング。

昼までは様々な打ち合わせ。

13時10分から代議士会。
13時半から本会議。
石井紘基さんに対する追悼演説と、憲法調査会中間報告。

14時から、代表選挙検討委員会。先日の代表選についての検証と、今後 に向けての提言をすべく作られたもの。仙谷由人さんが委員長で、岡田克 也幹事長代理を含む10人程度のメンバー。私もなぜか入れていただいた。

14時50分からは法務委員会と厚生労働委員会の連合審査。心神喪失者 医療観察法案について。政府原案の他、与党の修正案、そして私たちが提 出している対案が審議の対象。
私は質問のトップバッターに立った。
修正案審議の第一回目の今日は、与党修正案の内容について法案提出者の 塩崎議員に質問、および、附則に基づいて厚生労働省がどれだけ一般精神 医療を進めていくつもりがあるか、などの確認。45分間の質問時間があ っという間に終わってしまう。詳しくは後日議事録をご参照ください。

17時4分の新幹線で宇都宮へ。

18時から宇都宮駅前で連合栃木の方たちと共に、連合全国一斉街頭宣伝 活動。

18時半からは、シンポジウム「臨時国会。変えよう! NPO制度」に パネリストとして出席。
これは、認定NPO法人制度改正のための全国キャンペーンの一環として、 栃木で行われたもの。シーズ(市民活動を支える制度をつくる会)事務局 長の松原明さんをお招きして、とちぎボランティアネットワークの主催で 開かれた。
日本で10番目の認定NPO法人になったばかりの青少年の自立を支える 会(星の家)の福田雅章事務局長もパネリストとして参加され、栃木にと っては最もタイムリーな話題だったと思う。

シンポジウムは21時半まで続いたが、この間に、鳩山代表が記者会見で 統一会派構想や事実上の辞意表明などをされたらしく、シンポジウム終了 後に電話取材を受ける。



■11月30日(土)

13時から、労組の定期大会。

14時からは女性のための政治スクール。「バリアフリーな雇用と労働」 がテーマ。

19時からは、「水島広子と語ろう!フランス料理を楽しむ夕べ」。水島 広子と歩む会会長の渋川典子氏の主催で、毎年恒例にしていただき、今年 で3回目になった。宇都宮が世界に誇る音羽シェフのオーベルジュで、皆 さんと楽しく過ごさせていただく素敵なパーティーである。


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