国会報告 その12(2000.10.2発行)

水島広子の国会内外での活動をお伝えするために、週1回程度、発行の予定です。



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国会報告(9/24〜9/30)


■9月24日(日)

8時半から、第16会栃木県スポーツ大会に出席。朝まで雨だったが、開会式の頃から晴れてきた。

12時半から、サンケイスポーツの取材。この日、高橋尚子選手がマラソンで金メダルを取ったため、それに関連した取材。話はスポーツにおけるジェンダーフリーの話から、だんだんとそれて社会全体の話へ。「理由のないルールを撤廃して、男性も女性も自分らしく暮らせる社会を」という結論になる。

13時半から労組の大会に出席。
挨拶後、大急ぎで移動して、14時半から第二回「女性のための政治スクール」。今日のテーマは「少子化について」。座談会形式で、参加者の方たちから自由に意見を出していただいた。「教育にお金がかかる。今の日本社会は年金や介護など老後の不安が大きいため、子供をたくさん生む余裕がない」「いくらお金があっても預ける場所がない。病気の時に預かってもらえる場所がない」「職場では他の人と同じように残業をしないと『不平等だからやめてほしい』と言われる。こんな環境では子供を産めない」「健常児の育児環境も悪いが、障害を持った子供に至っては、その育児環境はないに近い」などという意見が出された。
どの意見が最も正しいということではなく、全ての意見が少子化という現象の真実なのだと思う。ある人にとってはお金が重要だし、ある人にとっては保育施設が重要だし、ある人にとっては柔軟な働き方が重要だし、ある人にとっては障害児のための環境が重要だということなのだろう。どれか一つで良いのなら、誰も頭を使う必要などない。全ての人のニーズを満たせるように、社会のそれぞれの側面を充実させていくのが政治家の役割なのだと思う。
参加者の皆さんが共通して持っていた認識は、「少子化というのは、女性が子供を産む産まないというだけの問題ではなく、暮らしにくい社会の結果として必然的に起こってきた現象である」ということ。単に「産めや増やせや」で解決する問題でないということでは、皆が一致していた。
いろいろな立場からご意見をいただいて、とても有意義な政治スクールだった。これからもこんな調子でやっていきたいと思いますので、どうぞ奮ってご参加ください。発言の機会のなかった方は、ぜひ次回のご発言を。

事務所に戻って打ち合わせ。夜までかかった。



■9月25日(月)

7時45分から、恒例のマンデーリポート。

9時10分の新幹線で東京へ。
打ち合わせをした後、11時半から正副幹事長会議。私も幹事長補佐に就任したため、この会議に出ることになったのだ。菅直人幹事長、熊谷弘幹事長代理、副幹事長、幹事長補佐、という構成の幹事長室のメンバーそれぞれに、代表との連携、マスコミ対応、国際関係、などの分担が与えられた。私は、「教育関係係」と、なぜか「子供や女性の問題に限らず、これはおかしいと思うことを発言する役」をいただいた。幹事長室全体としては、危機管理や地方組織の強化に取り組んでいく。大賛成である。

12時30分から代議士会。今日は、民主党から鳩山代表と岡田克也政調会長が代表質問に立つ。岡田さんは再質問をする方針であり、みんなで応援することを確認し合う。再質問は、自分に与えられた質問時間の中で、3回までできるという。質問は、答弁の内容に対して、ということに限定されるそうだ。

13時から本会議。岡田克也さんの質問はとても良かった。再質問、再々質問までした。そして最後に「国会の議論を活性化するために皆さんも再質問をしましょう」と締めくくった。
再質問をしたのは、新聞報道によると7年ぶりとか。再質問の良いところは、事前通告をしなくて良いため、首相が自分の言葉で答えざるを得ないということだ。当然、議論は緊迫する。席の近い一年生議員の仲間たちと、「これからは最初の質問を短くしてどんどん再質問をしよう」と話し合った。私も代表質問で再質問が可能だということを知っていれば、特に、非嫡出子の問題など、再質問してみたかったと思う。
この日の代表質問は、鳩山代表、自民党、岡田さん、公明党の順でおしまい。残りは翌日に持ち越しとなる。

18時48分の新幹線で宇都宮に戻り、20時からの会合に出席。



■9月26日(火)

朝、労組の大会に出席してから、10時20分の新幹線で東京へ。

12時20分から取材一件。
13時から、金田誠一代議士(厚生部会の部会長)と打ち合わせ。小児科医療のプロジェクトを本格的に始めるための計画を持っていったのだが、ありがたいことに、明日行われる厚生部会の議案書にすでに私が座長となる小児科医療のワーキングチームが盛り込まれている。そのほか、精神療法にきちんとした報酬をつけること(今は、効果が実証されている専門的な精神療法を行っても、3分間だけ話を聞いても、診療報酬は事実上同じことになっている)、漢方などの代替医療の研究を促進することなど、私が厚生部会で発言してきた内容を再確認する。今後、国会内で質問のチャンスを作ってくださるとのこと。

13時40分から代議士会。

14時から本会議。今日は、自由党、共産党、社民党、保守党のそれぞれの代表による代表質問。自由党の質問は元気が良かった。残念ながら空席が目立ち、眠っている人も(大臣を含め)多かった。

本会議終了後、小児科医療のワーキングチームに参加してくれそうな人を探し、事務所に戻って打ち合わせ。

新幹線で宇都宮へ。



■9月27日(水)

6時36分の新幹線で東京へ。
8時から厚生部会。部会内外に作るプロジェクトチームやワーキングチームの確認。私が座長をつとめる「小児の医療検討ワーキングチーム」も正式に承認され、スタートすることになる。
後半は、医療法改正と健康保険法改正について、厚生省から説明を受ける。何点か疑問があるが、国会での質問の機会がありそうなので、その時改めて話を聞くことにする。

10時から「こっこくらぶ」の取材。この雑誌には、以前、精神科医として悩み事相談のコーナーに載ったことがあり、担当者の方と懐かしく再会。今日は、「リーダーシップをもった子供を育てるにはどうするか」というようなテーマでの取材だった。

11時から、民主党の税制調査会(税調)事務局会議。私は何と税調の事務局次長になってしまったのだ。今まで税調内に女性議員は小宮山洋子さんしかいなかったので、「税制に女性の視点を」ということで私が採用されたらしい。税調は、事務局会議と役員会議がそれぞれ週1回ずつあり、その他に勉強会やら総会やら海外視察まである。忙しい国会日程の中では異常な過密スケジュールだ。でも、税金を征するものは民主主義を征する(?)と思って頑張っていきたい。
今日は、事務局の初顔合わせと、活動計画の確認。

12時からサンドイッチの昼食。政策秘書の鳥居さんが、「議員会館の売店でのベストセラー」と言って、きなこパンとカレーパンも買ってきてくれている。きなこパンは特別おいしいわけではないが、昔の給食で出た揚げパンを思わせる懐かしい味だった。

今野東代議士から電話があり、厚生部会の医療事故ワーキングチームに加わってほしいとの依頼。喜んで引き受ける。

13時前に、民法改正の仲間がふらりと寄ってくれた。13時半からの会議(後述)に出るために来たとのこと。

13時から、民主党の新人議員研修会。だが、衆議院事務総長の講演を最後まで聞けずに、13時半からの「衆議院女性議員と女性団体の交流」へ。「国際婦人年日本大会の決議を実現するための連絡会」(多数の女性団体が加盟)による懇談会。女性議員は自由党を除く各党から参加した。民法改正、女性に対する暴力、売買春問題、女性の政治家を増やすにはどうするか、働く女性の環境、世帯単位から個人単位への税制、参議院の非拘束名簿などが話題に上った。連絡会の方の中には、私の母親よりも上の世代の方もいらっしゃった。議員側は、最年少の原陽子さんも参加しており、女性運動がきちんと世代間で継承されていることを感じた。

会議を中座して15時半から税調の総会へ。午前中の事務局会議での打ち合わせに沿って、民主党の税制の基本理念などが説明される。

16時半からは、年金改革プロジェクトチームの会議。前半は、農業者年金制度について、農水部会内の年金政策作業チームの座長から説明があった。後半は、確定拠出年金法案について厚生省から説明。

この後、いよいよ構想もまとまり立ち上げが決まった「子供を有害情報から守るためのプロジェクトチーム」について、座長となっていただく肥田美代子代議士に、最終了解をとる。

19時24分の新幹線で宇都宮へ。



■9月28日(木)

7時11分の新幹線で東京へ。
8時半から法務部会。少年法について。29日に与党から少年法の改正案が出されるため、それへの対応を話し合う。
社会的な議論になっている少年法の問題だが、私にはどうしても表面的な議論に終始しているような気がしてならない。そもそも、刑事罰を科せる年齢を14歳に下げるということであるが、その日本における「刑事罰」の現状は何なのだろうか。世論に答えるとしても、それは、「目には目を」という方向であってはならないと思う。「社会全体の安全性を高めるために、いかにして再犯率を下げるか」という視点が絶対に必要だと思う。何のデータにも基づかずに感情的に法律をいじっていると、取り返しのつかないことになるのではないかという危機感を持っている。少年刑務所のあり方も含めて冷静な議論をしていくべきだ、という流れで、部会内の意見もほぼまとまる。

12時から広報委員会。いかにして有効な広報活動をしていくかについて様々な意見が出されるが、より詳しくは10月5日に懇談会を行うことになる。

13時から、予算委員会の応援傍聴。勉強と応援を兼ねて、一年生議員には義務づけられている。前回の臨時国会に続いて今日は2回目。菅直人さんと石井一さんの質問。議員用の傍聴席は一杯で、2時間以上にわたって立ち見をする。初めのうちは民主党の同僚議員たちと共に椅子に座っていたのだが、自民党の議員から「そこは与党席だ」と言ってどかされる。傍聴席にも与野党の区別があるとは知らなかった(本当に区別があるのかどうかは未だに確認がとれず)。
席と言えば、予算委員の議員たちの着席方法について、とても妙なことを発見した。野党の委員たちは、自分の名札のある席に一貫して座っている(これが当然のこと)。が、自民党の議員たちは、やたらと頻繁に席を移るのだ。名札通りに座っている人の方が少ないのではないかと思うくらいに、一人の議員があちこちの席を転々としている。また、名札が立っているのに、別の人をその席に座らせて自分は傍聴席に座っている人もいる。本来、委員会に出席できないときは、他の議員との差し替えができるが、その場合には名札ごと変えるはずである。私には全く理解できない現象だった。
肝心の質問の方であるが、さすが菅直人さんは質問が上手である。立ち見でも十分楽しむことができた。自民党からは激しくヤジが飛んでいた。が、ヤジの内容は、「もっと上品な例えを使え」などと感情的なものが多かった(ちなみに、「上品な例えを」とヤジられたのは、「亀井さんが言っていることは、ダイオキシンが出ている焼却炉のまわりにビニールシートをかぶせて『これでもう大丈夫だ』と言っているようなもの」という例だった。私には別に下品な例えとも思えないのだが)。
森首相の答弁は例によって内容がなかったが、やはり問題発言はあった。翌日の新聞でも報道されたが、森首相誕生劇について菅さんが「密室で決められた」と批判したところ、「密室で私生児のように生まれたと言われると、大変不愉快だ」と反論。「私生児」という差別用語を使ったのも問題だし、そもそも、自らの出生に関して何の責任も持たない子供への差別を助長するような文脈で語ったのも大問題だと思う。官房長官が「適切な表現ではない」と釈明して議事録から削除されたとは言っても、現職の首相から公的な場でこのような発言が飛び出すということの重大な意味を考えると、削除されてすむ問題ではないと思う。「神の国発言」よりもずっと罪の重い、見過ごせない発言だと私は考える。
また、サミットで行われた日米首脳会談の内容について菅さんから質問された森首相の答弁の中で、森首相がSACO(日米特別行動委員会)最終報告の内容も知らずに普天間問題を語っていたことが明らかになった。15年という使用期限が沖縄にとっての切実な問題だが、森首相は、15年という数字がSACO合意に入っていると思いこんでいたらしい。こんなことで沖縄の人たちの意見を代弁して首脳会談に臨むことができるのか。森さんの答弁には、河野外相も驚いていたようだ。「首相の答弁で誤解があったようですが・・・」と補足説明に立ったが、これは「誤解」ではない。また、菅さんの追求の結果、森さんは7月の日米首脳会談では、日本側の要望をほとんど伝えていないということが明らかになった。日露首脳会談でも何も事態を進展させることができなかった。現政府の外交手腕には改めて多難を感じる。
石井さんからは、参議院比例区での非拘束名簿式について「与党が勝手に選挙制度を変えて良いのか」という質問が出された。森さんはこの質問に真正面から答えることはなかったが、与党委員からのヤジで「長い議論の末だ」というのが飛んでいた。誰がどう客観的に見ても「長い議論」とは言えまい。ずいぶん無責任なヤジを飛ばすものだと思った。

16時から取材一件。英語での取材で疲れる。
プロジェクトチームのことで電話連絡などをして、新幹線で宇都宮へ。


■9月29日(金)

9時27分の新幹線で東京へ。
10時45分に城島正光代議士が、青少年問題特別委員会のことについて打ち合わせに見える。城島さんが野党の筆頭理事になったのだ。自分が取り上げたいテーマを説明。

11時から男女共同参画調査会。総理府の男女共同参画室長の大西珠枝さんから、男女共同参画審議会の答申「男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」についての説明。その後、NGOの北京JACの世話人である、橋本ヒロ子・十文字学園教授から、上記答申についての意見について聞く。

12時から、青少年問題特別委員会の理事懇談会。顔合わせと、今後の議題について話し合う。私は、有害情報の問題、少年刑務所の視察および改善、いじめ問題に対するピア=カウンセリングなど有効な手法の検討などを提案。
青少年問題特委は、ユニークな委員会である。5月に成立した「児童虐待防止法」の立役者であったのがこの委員会である。委員会というのは本来は立法のためにあるのではない。が、青少年問題特委では、「子供の問題は超党派で。どれほど国会が荒れようと、合意できる点は合意していく」という「紳士協定」を結んで、法案成立にこぎつけたという。素晴らしい考え方だと思う。そんな委員会の理事になることができて、改めて感謝。

13時から、厚生省の精神保健福祉課の方たちから、医療法改正に当たっての精神科の現状について説明を受ける。他科では医師対患者が1:16となっているのに、精神科ではなぜか1:48であり、これではとても細やかな医療はできない。また、触法患者(罪を犯してしまった患者)の扱いなど、日本は精神科領域においても後進国である。さらに検討を進めて委員会などで質問していきたいと思っている。

15時16分の新幹線で、政策秘書の鳥居さんと共に宇都宮へ。
18時から民主党栃木県連の「ミレニアム躍進パーティー」が開かれるため、早めに戻って準備。私は羽田孜特別代表の送迎担当。
1000人を越える方が来場してくださり、盛会だった。混雑して立ちっぱなしでご苦労をおかけしましたが、おかげさまで、経済的にも随分助かったようです(未確認)。懐かしいお顔にもずいぶんお目にかかることができました。パーティー券の購入に御協力くださった皆さま、そして、当日ご来場くださった皆さま、本当にありがとうございました。



■9月30日(土)

地元で、支持者の方による催しに顔を出させていただいたり、ミニ集会。



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