国会報告 その103(2002.7.15発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(02.7.7〜7.13)



■7月7日(日) 講演

午後、鹿沼市議の鈴木貢さんが代表を務められている 学習サークル「みち くさ」で、子育てについて講演。




■7月8日(月) 記者懇、支持者訪問

7時45分から恒例のマンデーリポート。
9時半か定例の事務所内打ち合わせ。
10時半から、後日の講演の打ち合わせ。
12時から、記者の方たちと懇談会。
午後は、支持者宅訪問。
19時半から会合。
その後、車で東京へ。




■7月9日(火) 栃木県知事、連合審査、本会議、精神科医

7時半から、赤坂プリンスホテルで、栃木県知事および県幹部の方たちと 県選出国会議員の懇談会。
当選直後のこの懇談会で、渡辺前知事に県立子ども病院を作るべきだと提 言したのが私と子ども病院の関わりの初めだが、子ども病院も立案の最終 段階に入ってきていると聞いている。
今日は、その子ども病院について、自治医大と獨協医大の役割分担をどの ように考えているのか、どの範囲の疾患を扱うのか、福祉や教育との連携 をきちんと取るのか、といったことを質問。
また、障害児について、養護学校の環境整備の遅れが指摘されながらなぜ なかなか進まないのか。例えば、宇都宮にある富屋養護学校にはプールも ないという問題がかねてから指摘されているが、どうなっているのかとい うことを質問。
さらに、統合教育についての知事の考え方を聞いた。
また、子ども虐待について、栃木県での虐待通報件数が増えたということ が報道されたばかりだが、県として虐待の防止・早期発見などの施策を進 める上で、国政に期待することは何か、ということも質問した。

答えは、いずれも形式的であまり内容のないものだったが(対政府の質疑 ではないので聞き流すしかないのだが)、唯一、統合教育について知事本 人が答えた内容はなかなか良かった。
知事は、10年ほど前に訪欧したときに、「ヨーロッパでは障害児のため の学校はなくなりました」と言われて、日本の教育行政が間違った方向に 進んでしまったのではないか、と思ったそうだ。基本的には統合教育が望 ましいという考えを持っているが、養護学校も各地にある中で、一足飛び に統合教育を、ということも難しい、という答弁だった。

9時に議員会館に移動し、内閣部門会議役員会。

10時から、法務委員会と厚生労働委員会の連合審査会。
心身喪失者医療観察法案と私たちの対案について、参考人質疑。
午前中は、都立大法学部教授の前田雅英氏、関東学院大学法学部教授の足 立昌勝氏、京都学園大学法学部教授の川本哲郎氏、全国精神障害者家族会 連合会(全家連)の池原毅和氏(弁護士)、元東京都立総合精神保健セン ター所長の菱山珠夫氏。同じ刑法学者でも参考人の意見はまっぷたつに分 かれた。また、池原氏は、最近アメリカで開かれた法律家の会議で「今度 の新法は対象者の適正手続きも保障されていない」と話したところ会場が どよめいたというエピソードを紹介した。

12時40分から代議士会。
13時から本会議。
郵政関連4法案について、総務委員長からの報告の後、民主・自民・自由 ・共産・社民の各党から、それぞれの立場での討論の後、採決。

14時過ぎから連合審査会が再開。
午後は、医科歯科大難治疾患研究所教授の山上皓氏、多摩あおば病院精神 科医の中島直氏、日本精神病院協会会長の仙波恒雄氏、北海道立精神保健 福祉センター所長の伊藤哲寛氏。
こちらも、同じ精神科医でも意見が見事に分かれた。私たちが推薦した中 島医師と伊藤医師はともに政府案反対だが、委員会に出席していた議員が 帰りにぽつりと「自分が精神病になったら中島先生や伊藤先生のような人 に診てもらいたい」ともらしていたのが印象的だった。

夜は会食。




■7月10日(水) 厚労、供血、開発と女性、

8時から、厚生労働部門・障害者施策推進プロジェクトチーム合同会議。
障害者福祉における支援費制度の詳細について。
「障害者対策に関する新長期計画」及び「障害者プラン」における施策の 達成状況と評価、ならびに新しい「基本計画」及び「プラン」の策定につ いての基本的考え方について。
ともに、厚生労働省より聴き取り。

9時から厚生労働委員会。薬事法及び採決及び供血あっせん業取締法の一 部改正案について。
16時前まで。

16時から「開発と女性 議員連盟」の設立総会。超党派の女性議員によ る議員連盟である。ODAにおけるジェンダーの問題を検討する議連なの で「ODAとジェンダー・人権 議員連盟」という名前を提案していたの だが、自民党に持ち帰ったところ難色を示されたということで、最終的に 「開発と女性 議員連盟」という名前になった。まだまだジェンダーとい う言葉は自民党においては禁句ということなのか。

設立総会では、「国連を中心とする女性の地位向上・ジェンダー平等を目 指す活動と日本のODA」というテーマで、上智大学教授で「国連婦人の 地位委員会」日本代表の目黒依子氏より講演をいただく。
過去25年間の努力で女性の地位は飛躍的に向上したが、それは名目的な 部分であって、実質ではない。女性の就労は増えたが、仕事に対する包括 的な取り組みが必要。経済発展と、女性のエンパワーメントには相関関係 がない。つまり、女性の地位向上のためには経済発展だけをすれば良いと いうことではない。
WID(開発における女性;男性が与えた役割の中での援助の対象として の女性という捉え方)からGAD(ジェンダーと開発;開発の主体として の女性という捉え方)へと世界は移行しているが、日本はまだまだWID 中心。ジェンダー平等の実現への支援が最も効果的な開発援助であるとい う世界の認識(世界銀行の調査では、ジェンダーギャップ(男女不平等) がある国では、開発も進まない。過去の開発計画の反省から、経済開発の ためにはジェンダー平等が不可欠だという戦略に、あの世界銀行でさえ転 換しているそうだ)を日本も共有することが必要。男女平等への違和感が 未だに強い日本は、国際社会で孤立するのではないか。
というようなお話をいただいた。

今日は政策秘書の鳥居さんがカゼでダウンして早退。「秘書問題」によっ て労働実態のない政策秘書が話題になったが、鳥居秘書は、朝7時半から 夜遅くまで、連日過労勤務を続け、私が2年間に提出者となって提出した 9つの議員立法と、30回の質問に重要な役割を果たしてきた。名義貸し など考えもつかない。国会議員が立法機能をきちんと果たすには、やはり 政策秘書一人というのは少なすぎると思う。




■7月11日(木) 税調、死刑、視察、経済フォーラム

8時から税制調査会・年金改革プロジェクトチーム合同会議。
今後の年金国庫負担分の財源の見通しについて、財務省より聴き取り。

9時に法務部門会議へ移動。
各種事務連絡。法案対応。
死刑存廃の論点について。
死刑については、1989年に国連総会で死刑廃止条約が採択され、翌年 発効している。1998年、国連規約人権委員会は日本政府に対して、死 刑廃止を目指した措置をとるよう勧告している。
さらに日本は、欧州評議会から、2003年1月1日までに死刑執行を停 止し廃止に向けて措置を取らなければオブザーバー資格の継続について検 討する旨を決議されている。
現在、死刑存置国は世界の3分の1程度に過ぎない。

死刑については、いくつかの論点があるが、
1.最近死刑を廃止した国では、凶悪犯罪は増えるどころかむしろ減って いる。死刑の抑止力については実証性がない。
2.応報感情は無視し得ないが、絶対的応報(殺人は死刑、傷害は同じ事 をやり返す、というような「目には目を」方式)という考えに立たない限 り、刑の上限について死刑が適切かは別問題。
3.えん罪の場合、取り返しがつかない。
4.1999年総理府世論調査によると、廃止すべきだというのは 8.8%に過ぎず、国民の圧倒的多数は存置論である、と言われているが、 この選択肢は、「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」「場合によっ ては死刑もやむを得ない」「わからない」などとなっており、誘導的だと 指摘されている。
94年のNHK世論調査では、存置62.8%、廃止17.2%だが、 「仮釈放を認めない終身刑を設置して死刑を廃止することに賛成・反対」 という質問項目に対しては賛成46.7%、反対42.9%となっており、 実質的には死刑廃止論の人が多いとも言える。

10時から、法務委員会と厚生労働委員会合同の視察。都立松沢病院と成 増厚生病院。

15時から、心身喪失者等医療観察法案について、日弁連主催の院内シン ポジウム。政府案における「医療」の内容を検討してみようというもの。

16時に厚生労働省の方が来室。心身喪失者医療観察法案で提案している 「指定入院医療機関」で行われる医療はどういうものか、と、先日の委員 会で私が資料請求したものを持参された。

16時半から女性政策草案会議。文章の最終チェック。

麹町会館に移動して、18時半から「経済フォーラム」。民主党の財務・ 金融関係若手議員と労働組合の方たちとで定期的に開いている会議。「民 主党の年金政策と今後のあるべき年金制度」というテーマで今井澄参議院 議員と山本孝史参議院議員より話題提供をいただいた後、参加者で討議。

明日の委員会で自民党からの質疑通告があったので、終了後、答弁の段取 りなどをバタバタと連絡しあう。




■7月12日(金) 税調、連合審査会答弁、→宇都宮

8時から、昨日に引き続き、税調と年金改革PT合同勉強会。
東京大学空間情報科学センター教授の八田達夫氏より、税と年金について というテーマで聴き取り。

9時半から法務委員会厚生労働委員会連合審査会。
心身喪失者医療観察法案および私たちの対案について。
今日も自民党の議員から民主党案への質問が出され、私が答弁した。これ で、共産党を除く各党から質問が出されたことになり(共産党も近々質問 するらしい)、野党の提出法案としてはまさに異例の待遇。ありがたいこ とである。

午後はいろいろと打ち合わせをしたり用事をすませ、夜、車で宇都宮へ。




■7月13日(土) 講演、支持者訪問

葛生町に移動して、最近の政治状況や男女共同参画について講演。
昨年、私が切迫早産で「ドタキャン」をしてご迷惑をかけてしまった講演 が、1年後にようやく実現してホッとした。

宇都宮に戻って、支持者宅訪問。


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